命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強 作:Hetzer愛好家
300超えるのが早くて毎日驚いています。やっぱりペルソナ3は大人気ですね。ついでにUAも10000を超えました。本当にありがとうございます!
今回は前半が三人称で後半が一人称です。それではどうぞ、お楽しみください。
神域
『な、何なのだ……あのイレギュラーは、何者なのだ!?』
神域。それは、神のみが生息している絶対不可侵の領域だ。何人たりとも侵入を許したことなく、トータスが生まれてから既に永い時間が経過しているがこの神域だけは生まれたままの姿をしている。
そんな神域に現在生息しているのは、聖教会に崇め讃えられているエヒトのみである。
“エヒト”というのはあくまでも略称であり、本名は“エヒトルジュエ”なのを知っているのはごく一部の人間と神々しかいない。
そんなエヒトルジュエの焦りを含んだ悲鳴が神域に響き渡っていた。
エヒトルジュエはこのトータスに唯一存在している絶対神だ。何者も敵わず、彼の前では絶望に顔を歪めて平伏す……というのが専らの噂である。
そんなエヒトルジュエが悲鳴を上げるのは異常事態であった。
その理由は、つい最近トータスにやって来た一人の男に他ならない。
『我の新しい肉体を探すために異世界から人間を召喚したが……これは想定外を遥かに超えているぞ! 奴は何者なのだ……!』
奴、というのは結城理である。
彼のステータスは、数値だけ見るならエヒトルジュエの方が遥かに高い。足下にも及ばないレベルだろう。エヒトルジュエが目線を送るだけで、結城は死んでしまう。
そう、
結城の持つ技能である〝大いなる封印〟は、下手したら絶対神であるエヒトルジュエすらもアッサリと封印されてしまう可能性がある代物なのだ。
仮に〝大いなる封印〟から逃れたとしても、即死技をポンポン繰り出す〝アリス〟や〝タナトス〟と言った闇属性ペルソナや一撃必殺という名に相応しいメギドラオンを放てる〝メサイア〟。そして全属性に対応可能なその他大勢のペルソナとあまりにも隙が無い。
もっとも、結城が大いなる封印を外す事は有り得ない。大いなる封印はあくまでも最終手段であるため、確実に叩き込めてかつ必要でないと使用すらしない。強力な敵には専らアリスの〝死んでくれる?〟やメサイアの〝メギドラオン〟を叩き込むために様々な布石を打つだろう。
そして何より、結城は不老不死である。老いる事はなく、また死ぬこともない。不死身なのだ。魔力依存ではない。本当に不死身なのである。唯一、欠損した部位を治すには時間が必要ということ以外はまるで弱点が見当たらない。
エヒトルジュエが結城に勝つためには、物理的に動けなくなるまで傷付けてから元の世界へ強制送還するか宇宙空間に放り出すぐらいしないと不可能である。そう、不可能だ。
……見れば分かるだろう。
絶対神であるエヒトルジュエでさえ、結城との正面戦闘で勝つのは実質
『これは明らかにマズい。何とか対策を練らなくては……』
エヒトルジュエは必死に頭を働かせ、一先ずの時間稼ぎと結城の力を測るのを兼ねて自らの傀儡人形とも言える神の使徒を複数人送り込むことを決めた。
そして、彼自身は他の異世界を覗いて強力な力を持っている人間を見つけ出してかつ乗っ取れる人間を探すのだった。
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……ステータスプレートを渡された翌日から、俺たちは本格的な訓練を始めた。訓練の内容は主に二つだ。
まずは「座学」だ。戦闘の基本をミッチリ脳内に詰め込まれる。その過程で魔法の出し方も説明されたのだが……俺はiPodにイヤホンを繋いで終始音楽を聴いていたので何を話していたのかは知らない。
ちなみにこのiPodはとある先輩がお抱えの研究員に頼んで作らせたものだ。先輩は大富豪の娘さんであり、影時間でも動けるバイクや武器を開発する等凄まじい技術を持っている研究員を何人も雇っている。
俺の持つiPodは「光を電気に変える」という機能を持っており、充電器がなくても光さえあれば何時でも使用可能だ。
ちなみに聴いていたのは「Burn My Dread」だ。昔から好きな曲である。
次に受けた訓練は「実戦」である。
実戦では二人、または三人で一組となって訓練をする。単純な模擬戦や、攻撃の試し打ち等をする。俺は大概の場合は雫やハジメと組んで訓練をした。
……持っている力の差が大きすぎて模擬戦は殆ど意味がなかったのは内緒だ。
さて、ハジメなのだが、彼はクラスメイトの中でも最弱のステータス値だった。レベル1の平均値は10だが、彼の数値は全て綺麗に10が並んでいたのである。技能数も〝錬成〟と〝言語理解〟の二つだけであった。天職も〝錬成師〟と、先生を含めただ二人だけ戦闘向きではなかった。
そのせいで陰湿かつ壮絶なイジメに遭っていたのを見かねて俺が訓練に誘ったのである。
「……ハジメは、錬成可能な範囲が広くなったな」
「まあね、でも、まだ戦闘には使えないかな」
「錬成って鉱石を加工できるんだろ? だったら、自分で武器を作ったら良いじゃないか」
「武器、か。確かにそれはありかもしれないね」
夜遅くまで訓練に付き合っていた俺たちは、噴水の傍に腰を下ろしながらそんな事を話していた。ハジメは「強くなりたいんだ」と言ってくれてからは毎晩遅くまで訓練をしていた。
その訓練内容と言うのは、オルフェウスの炎攻撃を錬成で作り出した壁で防いだり単純に剣術を磨いたりと多岐に渡る。
だが、先天的に身体能力が高い訳ではなく、しかも魔法適正もないハジメが近接戦闘や魔法でクラスメイトに貢献するのは無理があると俺は気が付き、だったらその差を埋められる武器を自作したら良いのではと思い立った。
「うーん、僕は皆みたいに前線には出られないから……取り回しが比較的楽で威力も出るし射程も長いクロスボウとかが良いのかな?」
「近づかれたらどうするんだ? 錬成で動けなくするか?」
「それでも良いけど、魔力枯渇したら一巻の終わりだよね。だったら、銃剣みたいな形にするとか……」
「ロマンがありそうな見た目になるな」
「錬成の魔法陣を剣の切っ先に組み込んで、触れた物の半径数メートル圏内の鉱石を自動錬成して動けなくするってのはどうかな?」
中々にロマンの溢れる会話をして休憩時間を過ごす。俺だって男の子だ。ロマンのある話は大好きである。前世ではそういう話をする時間がなかっただけに、ハジメとの会話は楽しくて仕方がない。
ハジメが自作する武器は取り敢えずクロスボウにするという事で決定し、今度は発射する矢にどんな工夫をするかという話題に移った。
……移ったところで、強烈に嫌な予感がした俺は咄嗟にハジメを抱えながらその場を飛び退いた。
俺たちがついさっきまで居た地面は、砂より細かい粒子となり、夜風に吹かれて空へと舞い上がりながら消えていった。
あまりにも特異な破壊に、俺は生まれた大穴を見てから殺意が飛んでくる空を睨みつける。
「あれは……」
空に浮かぶ人影。それも複数。
凄まじく嫌な予感がした俺は、ハジメに「早くこの場を立ち去れ」と命じるような声音で伝えて大急ぎで避難させた。
「……気配を消してからの不意打ちだと言うのに、攻撃を察知して躱す。やはり貴方は主の駒に相応しくない」
「イレギュラー、貴方にはこの世界より出て行ってもらいます」
「我が主の神聖なる命令です。従ってもらいます」
夜闇に響き渡る、三つの鈴の鳴るような声。まるで感情を感じさせず、心の芯から凍り付いてしまいそうだ。
よく目を凝らして空を眺めると、そこにはこの世の者とは思えない程に美しい女性が三人いた。白を基調としたドレス甲冑のようなものを纏っており、更にノースリーブの膝下まであるワンピースのドレスに、腕と足、そして頭に金属製の防具を身に付け、腰から両サイドに金属プレートを吊るしている。
そして背中からは、月光すら吸い込んでしまう程の輝きを見せる銀翼を生やしていた。
「オルフェウス」
ガキイン!!!
オルフェウスを呼び出すと、かつてニュクス本体の元へ向かった時と同じように俺は空に舞い上がる。あの時から、何故か俺は制限時間付きだが空を飛べるようになったのである。と言っても使うのはこれが二度目で殆ど使ってこなかったのだが……というか、まだ飛べたのか。
目が合う高度まで上昇した俺は、オルフェウスと共に三人の女を睥睨する。こいつらはとんでもない力を持っている。少なくとも、上級のシャドウ並みには強い。一撃で吹き飛ばすならメギドラオン必須だろう。シャドウとは違って弱点属性も無さそうなのでかなり厄介な敵になりそうだ。
「我が主、というのはエヒトのことか」
「そうです。貴方の持つ力はあまりにも大きすぎる」
「大きすぎる、か。どうやらエヒトは、自分が一番でないと気が収まらないらしいな」
呆れて物を言う気にもなれない。だが、この場で強制送還される訳には行かない。クラスメイトを放っておくなんて、俺には出来ない。
あくまでも戦争に参加しないだけで、帰る方法が見つかったら全員を元の世界に帰すつもりだ。大なり小なり情はあるのである。まあ、その情の約五割が雫に、四割がハジメと香織に行ってるが。
「君たちが強いのは分かる。だけど、ここで負けるつもりはない」
オルフェウスに目線を送って火の壁を作ってもらうと、俺は召喚器をこめかみに当てた。
脳裏に浮かぶはとある人物との思い出。最初に出会った時の事。一緒にバイトをした事。沢山話をした事。大きな決断をした時の事。そして、別れの日。
『……さあ』
双眸を見開く。そして、叫んだ。
「……ペルソナ!」
ガキイン!!!
『ゥゥウオオオオオオオオオオオオ!!!』
雄叫びを上げ、鞘から剣を抜いたペルソナが暴風を発生させる。
無数の棺桶を鎖で繋いだオブジェクトを背負い、獣の頭蓋骨のような仮面を被っているその姿はまるで処刑人である。
俺の最強戦力の一端を担うペルソナ。またの名を〝タナトス〟は、死神のような黒く冷たいオーラを纏って俺の背中側から女たちを睨むのだった。
思った以上に早い登場ですね、タナトスさん。実はメサイアを出すというプロットでしたが、まだ引っ張れると思ったので急遽変更しました。また、月の出ている夜という構図は映画と一致するというのも理由の一つです。
実際に召喚前の部分はかなり映画版を意識しています。