命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強 作:Hetzer愛好家
いや、もの凄くビックリしてるんですが、なんと言うか言葉が見つからなくなりまして……()
さて、今回はタナトスさん初戦闘ですが……技名が間違ってないか心配です。
夜空に銀翼がはためいた。
一見、非常に雄大かつ美麗とも言える銀翼が辺りにばら撒いたのは銀羽だ。まるで流星群のように夜空を駆け巡るその姿は、傍から見ればただ綺麗という感想と見蕩れたときに吐かれるため息しか出てこないかもしれない。
だが、俺にそんな悠長な感想を述べている暇はない。一つ一つの銀羽が人一人を心停止させるには十分なぐらいの殺意を持っているからだ。
タナトスを操って必要最低限の銀羽を叩き落とし、逆に此方から〝メギドラ〟を乱射して対抗。紅い尾を引く凄まじい閃光が羽を押し戻していく。
暫しの間、空には幾つもの流れ星が夜という闇を照らした。
「タナトス、やれ!」
『ォォオオオオオオ!!』
瞬間移動と見間違える程の速度で飛翔するタナトスは、まず中心を陣取っていた女に突進する。
振るわれた剣はもはや視認すら困難なレベルだ。言うならば〝五月雨斬り〟だろうか。確実なのは、ジークフリードの〝空間殺法〟よりも遥かに威力も速度も高い。まあ、発生と不意打ちは空間殺法に軍配が上がる。ここまでタナトスの五月雨斬りが強いのは此奴の持つ力が関係しているのだが……今は語る必要はないだろう。
今の目標は、目の前の“敵”を倒すことだ。そのための手段は選ばない。
ガキンガキン! と連続した金属音が響いたのを聞くに、女も剣を持っているようだ。確認した限りだと双大剣らしい。その音で漸く気がついたのか、残りの女もタナトスへ向かう。
三人を同時に相手しても一切物怖じないどころか、むしろ圧倒するタナトスは流石としか言えない。それに、こうして全員が近づくのを俺は待っていた。
「そこだ、やれ! 〝マハムドオン〟!」
三人が一ヶ所に集まるのを俺は待っていたのだ。まんまと引っかかったな。
此奴らに即死技になる可能性がある〝ムド〟が通用するかは分からない。しかし、何もしないよりは遥かにマシだろう。
爆発するように拡散した深紅の閃光。超至近距離まで接近していた女たちは逃げることも避けることも出来ない。少しの可能性に賭けるために身を捩ろうと、急所を外すために防御態勢を取ろうと……関係ないのだ。
その閃光は、死の閃光なのだから
「うくっ、これは……!?」
「力が、入らな……」
「何をしたんですか、イレギュラーっ」
「おお、一人は一瞬で死んだんだな。流石はマハムドオンだ」
質問に答えるほど俺は良い人間ではない。特に敵からの質問に関しては一切答えるつもりがない。というか、聞いているかすら怪しい。
つまり、俺がなした事を知りたいなら俺の口から出て来た僅かな情報を基に推測するより他がないのである。そして、この女たちは中々に出来る女であった。
「まさか、即死技ですかっ」
その通り。ムド系は全て即死の可能性がある闇属性の技だ。言葉が足される毎に即死する可能性は比例して高くなる。
まあ、この程度で驚いているなら今後俺とやり合っても勝てないだろう。ムド系はあくまで容易に出せる即死技。最上位はもっと凄まじい。見た目的にも、破壊力も。
そして、タナトスは残念ながら即死技一辺倒の脳筋ではない。チェックメイトだ。
「〝マハブフ〟!」
ヒュゴオオオオオオオオオ……
〝ブフ〟系は名前から何となく想像できる通り、冷気を発生させて対象を氷漬けにする。その規模は、他と同じく命令する際の言葉の長さで変わる。
マハムドオンで呆気に取られていた女を難なく拘束し、俺は容赦なくタナトスに命令を下す。
「〝空間殺法〟」
剣閃が無数走った、と思えばドシュッ! と数多の血飛沫が飛び散る。目の前で固まっていた女は問題なく倒せたらしいが、もう一人はギリギリで抜け出したのか致命傷は追わずに逃れていた。
致命傷を負ってないだけで、女の至る所には切り傷が付いている。決し浅くはなく、所々「それ大丈夫?」と聞きたくなる傷も見受けられる。
「な、なんという力ですかっ。やはり貴方は強すぎる……!」
「後は、君だけか」
「……誤算でした。そして、見くびってました。貴方というイレギュラーが持つ力を」
女の身体から銀光が溢れ出す。それと同時に、身に感じる殺意の強さも大幅に跳ね上がった。どうやら自身の全能力にブーストを掛けたらしい。女の身体から滲み出る光は、彼女の怒りを表しているかのように徐々に輝きを増していった。
「もう手加減はしません。足手纏いの同族が減ったことで随分と動きやすくなりました。そして、貴方の弱点も発見しました」
「弱点、か」
「貴方は、その霊が居ない限りは無力。貴方自身を先に攻撃すれば、それだけで勝負は決します」
なるほど、理に適ってる。確かにペルソナを操っている間の俺は無防備に近いことが多いため、その隙を突けたなら勝機は向こうにあるだろう。
……ただ、それはあくまでも理論上の話。ペルソナの力は、ただ戦闘するだけではない。時には召喚者を強化することだって可能だ。もっとも、〝ユニバース〟の力が無いなら女の言う通り死ぬしかないが。
「その見通しは甘い。頼むぞ、〝ジークフリード〟――〝ヒートライザ〟――そして〝チャージ〟」
ジークフリードが剣を両手で持ち、グッと握り締めると俺の内から膨大な力が湧いて出て来た。生まれた風が前髪を押し上げ、左目と泣き黒子が現れる。
片手剣を抜き放つと、俺は構える。ジークフリードは静かにこの場を消え、残されたのは俺と女のみ。
「……それほどの力を隠し持っていたのですか」
「言っただろう。甘いって」
「そう、ですか。私の人生も此処までのようですね」
まるで諦めたかのような女の言葉。目は冷たく無機質のままだが、発された声は悔しさを多分に感じさせる物であった。感情はないと勝手に思っていたのだが、それは間違いだったようだ。
「最後のつもりはありません。ですが、名を名乗っておきましょう。私はゼクストと申します。〝神の使徒〟として、主の盤上より不要な駒を排除する者です」
「いや、君は此処で終わりだ。だが、君の礼儀に倣って俺も自分の名を名乗ろう。俺は結城理。君が〝神の使徒〟なら、俺は命の答えを得た〝資格者〟とでも言っておこう」
訪れる静寂は嵐の前の静けさ。これから起こる壮絶な戦闘を一切予見させない不気味な静けさというのは恐怖と一握りの高揚感を与える。
銀羽が巨大な魔法陣を形成していく。あの小さな羽が途方もなく大きな魔法陣を形成できるというのはある種の感動すら覚える。
輝きを増していく魔法陣から読み取った殺意。それを感じた次の瞬間に俺の身体は動き始めていた。
「〝劫火浪〟」
発動された魔法は、天空を焦がす津波の如き大火。全てを飲み込む灼熱の炎。
大火の津波に真正面から突撃し、音すら置き去りにしていく剣舞で炎を払う。数秒という時間が数分、数時間と感じられるほどの時間の切れ目に入った俺は、ただ一目散に剣を振った。
炎が渦を巻き、竜巻状になったと感じた時にはもう目の前にまでゼクストの姿が迫っていた。
双大剣お構いなしに突撃した俺はすれ違いざまに一度斬ると、空中で宙返りすることで反転。まるで「空を蹴る」かのように再加速すると、今度は鍔迫り合いに持ち込む。
ほんの一瞬の鍔迫り合いからまた一瞬で離れ、今度は超高速起動戦。ゼクストの姿は霞のようにぼやけて見え、常にその姿を二重三重にブレさせる。負けじと俺も体を動かして追いすがり、手首を蛇のように巻き込むことで双大剣の一つを叩き落とす。
時折混ぜられる火炎や風球は全て紙一重で回避し続け、ゼクストの四肢だけを狙った甲斐あってか、ほんの一瞬だけ顔を顰めて動きが鈍ったのを俺は見逃さなかった。
勢いと遠心力を乗せた、ただの全力の一振り。しかし、その一撃は無謀ながらもゼクストに更に大きな隙を生み出す事には成功した。
「デエエヤアアアアアアアア!!!」
「くううううう!」
片方だけ残った双大剣に俺の片手剣は激突する。その拍子に俺の片手剣にはヒビが入る。じきに崩れて消えてしまうだろう。
だから、俺は剣をゼクストに投げつけてから己の拳で直接双大剣をぶん殴った。拳を伝わって神経が焼かれるかのような痛みが走り、血が噴き出す。
それを代償としたからか、ゼクストは後方に小さく飛ばされた。
これだけの隙があれば、俺の勝ちだ。
「来い、〝オルフェウス〟!」
召喚器を取り出してこめかみに撃ち込み、最も信頼している相棒を召喚した。
オルフェウスは背負った琴を手に取ると、ゼクストとの距離をあっという間に詰めて両膝蹴りを彼女の腹部に叩き込む。
そして、巨体に身を任せた大きな振りかぶりから、痛みで動きを止めたゼクストの脳天に琴を振り下ろした。
「……終わったか」
オルフェウスの目の前からゼクストが消えたことで俺は自分が勝ったと確信した。
一瞬で消えてしまったので詳しい事は分からないが、オルフェウスの琴が脳天に直撃した瞬間にはもうゼクストの頭は薪のようにパックリと割れていた。琴に血糊が付着しているのを見るに、もしかしたらゼクストの身体を貫通したのかもしれない。
何れにせよ、彼女が助かる事はないだろう。
俺は一つため息を吐くと、ゆっくり地面へ向かって降下するのだった。
夜も遅い。もう寝よう。
次回は早速動きがあります。
キタローさんって神こそ殺してないですがそれより上の可能性がある「死」には打ち勝ってるのでエヒト涙目なのに気が付きました()
ちなみにですが、ヒートライザとチャージはありふれで言う限界突破みたいな物です。ただし重ね掛けが可能かつペルソナどころか自分にもバフを掛けられる強力な技です。上昇倍率は15倍と言ったところでしょうか。