「てことだ、〇〇。今から飲むぞ。」
「...は?人の家にいきなりやって来たかと思ったら何だよ急に」
「偶には、男同士で飲むのもいいだろ。」
俺は今、同期のトレーナーである「伊藤」に誘われ半ば強引に飲み会が行われることになった。
しかし、ただ何も意味もなく飲み会が行われる...なんて事がある訳もなく
「ねえねえ、もう少し音大きく出来ないの?」
「もう少しテイオーが静かにすれば良いだけの話ですわ」
「何だか、悪い事をしているような気しか...」
「でも、スズカさん昨日からすごくソワソワしてたじゃないですか!トレーナーさんは私の事どう想っているんだろうって」
「ス、スペチャン!?」
そう、トレーナーに恋心を抱く少女達がトレーナーの本音が聞きたいと言う理由で伊藤をおど...説得し今回の飲み会が開かれ、彼女達はその様子をモニタリングすることになったのだ。
「ほ、本当にライスも来て良かったのかな...」
「ライスさんもくじ引きを勝ち抜いた勝者。何も問題はありません」
「そうそう!せっかく手にしたチャンスだもん。ここは楽しまないと!」
そう、今回の盗聴に関して、トレーナーに対して想いがある子が多い為くじ引きで選ばれた代表の6人が選ばれた。
今回は、「スペシャルウィーク」「サイレンススズカ」「トウカイテイオー」「メジロマックイーン」「ライスシャワー」「ミホノブルボン」が選ばれた。
「正直、あの時のグラスちゃんやマルゼン先輩の視線は怖かったけど...」
「私も、あんなに乱れるマルゼンさん達はあんまり見たくなかったかな...。」
スズカやスペシャルウィークがそう言っているうちに
「何だか、ちょっとずつトレーナー達出来始めてるよ。」
「マスターの表情、顔色から『完全に酔っている状態』と認識。マスターの本音を聞くのは今が最適と判断。」
「そろそろ始まりそうですわね」
さて、そろそろアイツも出来て来てるしあの子達の質問をそろそろ聞いてみるか...。ただ、アイツの返答次第ではあの子達大暴れするのかだけが心配だ...。まあ、殺されるのはアイツだしやるか。
伊藤は意を決したように話し始めた。
「なあ、〇〇」
「うん?どした。」
「ちょっと色々聞きたいことあるんだがいいか?」
「別に良いけど、なんだよ急に改まって気持ち悪いな」
「気持ち悪いは余計だ。じゃあ早速行くぞ」
「〇〇って色んなウマ娘達を指導してきただろ?」
「まあ、そうだな」
「正直、タイプの子っているのか?」
「タイプ?」
「ああ。だって、あんなかわいい子達に囲まれてんだ。誰かしらはいるだろ」
「...そうだなぁ」
俺は、ふと飲んでたグラスをテーブルに置き腕を組み考えた。
「だ、誰なんだろう」
「そりゃあ勿論!この最強無敵のテイオーさm」
「少し黙ってなさい」
「お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様」
俺は、数分考え込みようやく答えた。
「.....マックイーンかな」
「よっしゃーーー!!!」
「マ、マックイーン!?」
マックイーンは柄にもなく両腕を天高く上げ喜びを爆発させ、親友のその姿にテイオーは軽く引いていた。
「ま、まさかマックイーンさんがここまで取り乱す何て...」
スペシャルウィークのその指摘で、マックイーンは思わずハッとしたかと思ったら顔を赤くしながら
「コ、コホン。と、当然ですわ!何しろ、私とトレーナーさんはお互い初めて組んだパートナー同士。増してや一心同体になる事を誓い合った仲。ふふっ。トレーナーさん、挙式は何処で挙げましょうか。」
そう話しているうちにマックイーンは次第に表情がうっとりとしていき両手を頬に添え、目を瞑りそして尻尾を高く振りながらトレーナーとの将来設計を考えていた。
「...アハッ...。所詮、ライスなんて...この程度でしか想われて無かったんだよね...。」
「...マスター...。どうしてでしょう。先程から私の胸が痛くて仕方がありません。マスター...。マスター...。」
「ふ、二人とも!ま、まだ始まったばかりだから!まだ、何が起こるか分からないから!ね?」
あからさまに落ち込む二人を必死で慰めるスズカ。
「へえ...何であの子なんだ?」
「あの雰囲気というか、あの上品な感じが凄く好みかな。この間、優勝祝いで二人でデザート食べに行った時に美味しそうに食べてる姿が可愛いかった。普段ちょっとクールだけどこういう所で素が出る当たりも結構タイプかな」
「所謂、ギャップ萌えってやつだな。ていうか、こいつら普通にデートしてやがるし」
「も、もうトレーナーさんってば!」
口調こそは少し怒ってるが、明らかに尻尾をブンブン振り回して喜びを隠せていないマックイーン。
「ふーん...。トレーナーはそういうのがタイプなんだ...。」
「テ、テイオーさん...」
明らかにドス黒いオーラを醸し出しているテイオー、それに少し怯えるスペシャルウィーク。
そうしている間にも伊藤の質問は続く。
「んじゃあ次な。」
「おう」
「彼女にしたい子は?」
「それ、さっきと何が違うんだ?」
「バカ、お前タイプと実際付き合うは全然違うだろ」
「そういうもんなのか」
「そういうもんだ」
俺はそういうものなのか思い考えた。しかし
「なあ、俺あの子達をそういう目で見たこと無いんだが」
「なら今見ろ。はいスタート。」
「ええ...」
俺は、また腕を組み考え込んだ。
「マスターが彼女にしたい。それは即ち選ばれた子はかなりの高確率で、マスターのお嫁さんになれるということ。」
「この流れからして、今度も確実に私に決まっていますわ!」
「今度こそボクだよね!マックイーンなんかよりもボクを彼女にした方が絶対に楽しいよ!だからボクを選んでよ、トレーナー!」
3人が画面に食い入る様に見ている中、トレーナーはうーんと唸りながら
「スペ...かな...。」
「わ、私!?」
「「「.....」」」
そこには、顔を真っ赤にしながらも喜びの色が隠せていないスペシャルウィークと完全に生気が抜けて真っ白になっている3人がいた。
さらに
「どうして...。どうしてなの...お兄様...。やっぱりライスが不幸な子だから?お兄様...」
「ライスちゃん!だ、大丈夫よ!確かに選ばれなかったのはショックかもしれないけれど...。」
部屋の隅で、体育座りをするライスシャワーを必死に慰めるスズカ。
「でも、何でスペシャルウィーク何だ?流れ的にマックイーンだと思っていたんだが」
伊藤のその言葉にハッとするマックイーン。
「そ、そうですわ!私をタイプとおっしゃっていながらどうして別の女を選ぶのですか!?」
「ぷっ...。マックイーンってば流石に必死過ぎじゃない?そんなにがっついてるとトレーナーに逃げられるよ」
テイオーは笑いながら、画面にがっつくマックイーンをからかっていた。
「ふん!トレーナーさんのタイプですらない人に言われたくないですわ!」
「別に、トレーナーのタイプとか彼女とか正直興味ないし。ボクはトレーナーのお嫁さんになりたいだけだから。もし仮に選ばれなかったときは...ネ?」
「負け犬が何を言っても無駄ですわ」
お互いが牽制し合っている中、画面の中にいるトレーナーは話しだす。
「まあ、やっぱ一緒にいると楽しいよな。元気で素直で優しいし」
「確かに、至ってありきたりな理由だがそれは大事なことだな。」
「トレーナーさんってば、もう〜」
明らかに喜んでいるスペシャルウィークを尻目にテイオーが
「何でさ!元気で、一緒にいて楽しいって事ならボクだって当てはまるじゃんか!」
テイオーが言うと画面の中の伊藤が
「そういえば、元気でって言うならトウカイテイオーとかどうなんだ?」
「そうだそうだ!説明次第じゃ幾らトレーナーでも許さないからね!」
俺は、その質問に対して少し考えながら口を開いた。
「テイオーも充分可愛いし、一緒にいると楽しいよ。ただ、疲れるんだよな...。テイオーと一緒に出かけた時って。やたら振り回してくるもんだから...。」
「ふっ...。大切な人の事も気遣う事も出来ないなんてウマ娘としてあってはいけない事。やはり、テイオーさんでは彼を幸せに何か出来ませんわ。」
マックイーンがテイオーを嘲笑うかの様に見ていると
「ど、どうして...どうしてなのさ!トレーナー!良いよ、分かった。もし、トレーナーがマックイーンやスペちゃんの方に行くんであれば、ボクは何としてでもトレーナーにボクの魅力を教えてあげる。その身体にね。」
暗い瞳をしたテイオーが不敵な笑みを浮かべながら画面を見つめる。
「でも、テイオーの気持ちも充分に理解出来るわ。もし、私がトレーナーさんにそんなこと言われたら....ナニをするか分からないもの。」
「ス、スズカさん...」
「ふふっ、気にしないでスペちゃん。"今は"トレーナーさんの想いに浸っていれば良いわ。」
「うぅ〜。スズカさんが怖い...。」
黒い笑みを浮かべるスズカにすっかり怯えてしまっているスペシャルウィーク。
「お兄様....お兄様....お兄様...。」
「ライスさん。気持ちは分かりますが、所詮彼女何て大したものではありません。それに、私の心の中にあるマスターが教えてくれたこの「愛」と言う感情。私のデータログによれば、この想いは恋人という関係性では満たされないと判断。満たされる唯一の条件として夫婦と考えられます。きっとこれは、貴女も同じはずです。」
「お兄様の...お嫁さん...。う、うん。そうだよね!ライスまだ諦めない!」
「で?お前のその訳のわからん質問はまだ続くんか?」
「まあ、まだ幾つかあるから付き合ってくれよ」
夜はまだまだこれから....。
やっぱハーレムはええなぁ