「ブ、ブルボンさん...一体なんの質問したの?」
ライスシャワーが聞くと
「私の質問それは...。」
ブルボンが言おうとした時
「エ、エロいと思うウマ娘!?お前一体何聞いてんだ!?」
俺は伊藤のとんでもない質問に思わず酒を吹き出した。
俺だって、こんな質問したくてしてるわけじゃねえやい。君の愛馬が気になるって言ってんだ。文句はその子に言うんだな。
伊藤は心の中で〇〇に悪態をつく。
「も、もしかしてブルボンの質問って...。」
テイオーが顔を赤くしてブルボンの方に顔を向けると...。
「.......。」
ブルボンも顔を赤くしながら頷く。
「な、なんて質問してますの!?」
マックイーンも真っ赤な顔でブルボンに詰め寄る。
「母が、男を捕まえるならスタイル即ち色仕掛けも大事だと言っていました。母もそれで父を落としたと聞いていたので。やはり、一番はそういうのではと判断しました。」
「確かに、私達の体をジロジロ見てくるトレーナーさんはいるけど...でも私達のトレーナーさんはそういう人じゃ...。」
スペシャルウィークはそう指摘するが当の本人は何処吹く風だ。
「悪いが、俺は警察の厄介になるのだけはゴメンだぜ。」
俺はぶちまけた酒を拭きながら呆れた様に言う。
「まあまあ、ここには俺とお前しかいないんだ。ちょっとぐらいあるだろ、エロいとまでは言わんでも、ドキッとした所とかラッキースケベとかさ」
キラキラした目で聞いてくる伊藤にため息をつく俺。
「まあ、なくはねえよ。俺だって男だ。ただまあ、これ言うと俺は色んな方面から怒られる様な気がするんだが...。」
「そこを何とか!」
両手で手を合わせる伊藤。
「今日全部奢り。後、誰にも言わない事。」
「言わない!奢る!だから教えて!」
「何で、そんなに知りたいか理解不能だが分かったよ。」
言わせねえとお前のウマ娘に何されるか分かんねえからだよ!
伊藤は内心そんな事を思いながら〇〇に頼む。
「そうだなぁ。この間の事なんだが...。」
「マスター。外周完了。15分のクールタイムに入ります。」
「そうか。じゃあ今日はこのまま練習は終わりにしよう。あまり無理しても仕方ないからな。」
「了解しました。」
俺は、ブルボンとの会話の後後片付けをしていた。すると、ブルボンが此方に近づき両手を広げてきた。
「何してんの?」
俺は率直に聞いた。
「より効率的に回復する方法としてマスターの抱擁が必要と判断。至急、お願いします。」
ブルボンが少し顔を赤らめながら言ってくる。前と比べると、表情が緩くなったなぁ...じゃなくて。
「いや、何で。」
「マスターは私ではご不満ですか?」
ブルボンが少し寂しそうに見つめてくる
「いや、そう言う訳じゃないけど...。はあ...分かった。おいで?」
俺はブルボンを手招きすると両手を広げたまま抱きついてきた。
最初会った時はこんな甘えん坊じゃなかった気がするんだがなぁ...。
俺はあまり意識しない様に遠くを見つめているとブルボンは何処か不満に思ったのか俺の手を掴み胸に当ててきた。
「ブ、ブルボンさん!?」
俺は、思わず声が裏返り顔を真っ赤にしていた。
や、柔らかい...!!ていうか...ブルボンって結構デカいんだな...じゃなくて!
「マスターの心拍数上昇を確認。同時に私の心拍数も上昇。ステータス「高揚」今、私は凄くドキドキしています。」
「そ、そうか...なら早く離れないとな...。」
俺は胸に当てられてる手をどかそうとする。
.....いや動かねえ!!やっぱウマ娘やべえ!全然動かないんだけど!?
「マスター。私は最近...ようやく気付きました。」
「え?何が?」
俺がそう聞くとブルボンは俺から離れ言った。
「マスターと一緒にいると胸が温かくなる感じ。父とは違い、もっと一緒にいたいと思うこの感情。私のデータログには無かったこの感覚。だけど、漸く気づけたんです。これは『恋』なんだと...。」
ブルボンは涙目になりながら訴え続けた
「マスター。私はどうすれば良いのですか?この胸が苦しくなるこの感覚を...!走った後とは違うこの息苦しさ...。マスター...私は...!」
俺は、気づいたらブルボンを抱きしめていた。
「そっか...お前はそういう風に想ってたんだな。」
「マ..スター...」
俺はしばらくの間ブルボンを抱きしめていた。
正直、ここまで想ってくれてるとは思っていなかった。だけど、感情の起伏が無かった最初の頃を考えれば心のどこかで嬉しいと思ってる自分もいた。
「あの〜話変わってません?俺、確かエロいと思うウマ娘を聞いた気がするんだけど。いつの間に惚気話になってんだ?」
「いや、あれから部屋に戻った時にブルボンの胸が押しつけられてヤバかったなぁって悶々としてた。」
「とても女性不信だった男のセリフとは思えんな」
「だってドキッとした事だろ?ウマ娘みたいな美少女達にやられてみ?理性保つの大変だわ。」
「....ブルボンさん...。抜け駆け...?」
ライスシャワーがゆらりとブルボンの方へと向く。
「いえ、これはマスターへの想いが私の中のキャパシティを超えてしまいあの様なことに...。」
ブルボンがモジモジしながら答えると
「結局胸なんですの!?」
マックイーンが涙ぐみながらブルボンの肩を掴みブンブン揺らす。
「お、落ち着いて下さい、マックイーンさん...!」
ブルボンが揺られながら答える。
「私は認めませんわ!トレーナーさんが巨乳好きだなんて!!」
ここだけの話、マックイーンに憧れを抱いてる『サトノダイヤモンド』がここ最近自分のその恵まれたスタイルを武器にトレーナーを誘惑している所を何度も見ておりそれに戸惑っているトレーナーを見ては落ち込んでいるのだ。
「落ち着きなよマックイーン...。」
テイオーが呆れながらマックイーンをブルボンから離す。
「あっ!胸って言えばこの間キタサn...」
「スペちゃん!!」
思い出したかの様に言おうとするスペシャルウィークにそれを止めようと口を塞ぐスズカ。
「ん?キタちゃんがどうしたの?」
テイオーが黒い笑みを浮かべながらスズカ達の方へ向く。
「い、いいえ!何でもないわ!」
スズカが答えた直後
「そういえば胸がどうこうって言えば前にキタちゃんがな」
「「....!!」」
「キタちゃんって確か今お前が指導している子だよな」
「そうそう。ちょっと前にな...」
「トレーナーさん!少しいいですか?」
「うん?どうした?」
トレーナー室で作業をしている最中、声のする方へ向くとニコニコと笑顔で尻尾を揺らすキタサンブラックの姿があった。
彼女は、俺がテイオーやマックイーン達の育成に一区切りがついた後に「サトノダイヤモンド」と共にスカウトした子達だ。とは言っても最初は向こうから来たんだけどな。憧れのウマ娘のトレーナーって事で。
「今度の土曜日、一緒にお、お出掛けしてくれませんか?」
「え?俺とか?」
「は、はい...。」
キタサンは顔を赤くし俯きながらモジモジしている。
「その日ならダイヤやテイオーも休みだぞ?」
「トレーナーさんがいいんです!」
「そ、そうか...。」
かなりの気迫で迫ってきたので、思わず少し後退りしてしまう。
「分かった、今度の土曜だな。時間は空けておくよ。」
「やったー!」
「ちょっ!キタちゃん抱きつくなって!」
俺がそう言うと、キタサンは飛び跳ねる様に喜び抱きついてきた。
しばらくキタサンは顔を俺の体に擦り付け抱きしめ続けており流石に不味いと思った俺は
「な、なぁキタちゃんそろそr「トレーナーさん」...はい。」
キタサンがふと顔を上げる、すると
「...!!」
そこには真っ黒な瞳をしたキタサンが真顔で此方を見つめていた。
「キ、キタちゃん?」
「トレーナーさんはあたしの事どう思ってます?」
「え?どうって俺の大切なウマ娘だよ?」
「そうじゃなくて、一人の女の子としてです。」
「そりゃ可愛いくて魅力ある女の子だと思うけど...。」
「テイオーさんよりもですか?」
「え?そ、それは...」
俺は答えに困っていると、キタサンはニコリと微笑み
「別に答えなくてもいいですよ!だからどうって訳でも無いですし...でも...。」
「なっ!キタちゃん何を!」
キタサンは俺を優しく俺を押し倒しその豊満な胸を俺の顔に押し付けてきたのだ。
「どうですか?トレーナーさん。気持ちいですか?ダイヤちゃんよりは大きく無いですけど、それでもテイオーさんよりずっと胸、あるんですよ?」
「んんーー!」
俺は思った様に声が出せないが、キタサンは気にする事なく続けた。
「あたしは、皆さんに比べてまだまだ未熟ですけど、それでもトレーナーさんへの想いは負けるつもりはありません。でも、あたしは皆さんとも仲良くしたいしある程度は我慢します。でも、偶にはこうしてあたしにも独り占めさせて下さいね。」
キタサンはそう言うとトレーナーから離れた。
「じゃあ、今度の土曜日楽しみにしてますから!」
そう言うとキタサンは機嫌良く部屋を出て行った。
「お前、その内刺されんじゃねえの?」
「俺もそんな気がしてままならん。」
二人してゲラゲラ笑いながら呑気に酒を飲み続け言った。
「ただ、普段元気一杯の子が偶に見せるああいう色っぽい所は正直エロチックだよな...。ちょっと怖かったけど...。」
「ふーん。ちょっといいか?」
「なんだよ」
伊藤は小声で囁く
「ぶっちゃけテイオーとどっちが抱き心地よかった?」
「何だお前はどうしても俺を犯罪者にしたいのか?」
「俺たちしかいないから....な?」
すると〇〇は少し間を置き
「....キタちゃん。」
「なるほどなるほど〇〇はロリコンと...。」
「おい!」
「あの時私とスペちゃん、盗み聞きしてるのバレちゃったのよね...。」
「直ぐに隠れたつもりだったけど、あの時のキタサンブラックさん凄く迫力あったな...。」
二人がボソッと呟いていると
「...テイオーさん?」
落ち着きを取り戻したマックイーンが恐る恐るテイオーの方へ向く
「フーン...。そっか...。キタちゃんってばボクを差し置いて...。」
そこにはドス黒いオーラを出しているテイオーの姿が
「とてもじゃ無いですが、声をかけられる感じではありませんわね。」
ハァとため息をつくマックイーン。
「別にボクは構わないんだよ。トレーナーが別のウマ娘と出掛けるのは...。そもそも、皆んなでトレーナーを共有するってカイチョーからも言われてたし...。でも、ちょっとトレーナーとはオハナシしないと...。キタちゃんだけじゃ無くてボクの魅力も教えないと...。アハッ...次の日が楽しみだね...トレーナー....。」
「こ、今回だけで、一体何回お兄様はテイオーさんとオハナシをする事になっちゃうんだろう...。」
思わずライスは画面の中にいる大好きなお兄様に哀れんだ眼差しを向ける。
「そう言えば後もう一個あったな」
「おっ!何だ乗ってきたじゃん!」
男達の宴はまだ続く....