お別れ会が終わり、なぎを車に乗せ、計画通り自販機に連れていった。
「なぎ、奢り」
「ありがとう……」
俺は缶のカルピスを手渡した。なぎは泣き出しそうだったが、今泣いちゃ早いさ。
「なぎ、じゃあ、行こうか」
「うん……」
俺は車を走らせた。最初の人が見えてきたところで、俺はスピードを落とした。
「どうしたの?」
「なぎ、右見てろ」
俺は確認しながら車を進める。
「永……遠……の……」
なぎは一文字ずつ読んでいく。そして、最後の「だ」まで読み終わる。
「永遠の別れじゃない!大好きだ……」
「なぎ、撫でるからこっち向いて」
俺は違う理由でこっちを向かせた。俺はプラカード「よ」を持っていた。
「うん──え……?」
なぎは俺の持っているものに驚いた。気付いたらしい。さっきと繋がっていることに。
「あと、なぎ、最後の3曲。頭文字読んでみ」
「えっと……難聴系男子の『な』、銀河鉄道の『ぎ』、桜ノ雨の『さ』…、えっ、うそ……」
なぎは再び驚く。
「私の名前……」
「そう。そういう風に曲決めてた」
「柊くん……みんな……」
なぎは運転中の俺に向けて泣く。顔を俺の太ももに乗せる。泣いている涙を拭っているんだ。
「なぎ……」
「行きたくなくなっちゃったじゃん……」
「大丈夫だって。週一で誰か行くから」
なぎはうわーんと泣く。俺は車を運転しながら思った。
偽名を使っていたときから、なぎは仲良くしてくれた。俺に唯一仲良くしてくれた親友だった。そう考えると、涙がじんわりと沸いてくる。
「なぎ……頑張れよ」
俺は泣いているなぎに向けて言った。
いつもより早く深谷駅についてしまった気がした。10分はかかるし、途中で遅く走っている。さらに、自販機まで行っているから15分以上かかっているはずだった。それなのに、体感では5分くらいだった。
「なぎ……」
俺はリモートで、家にいるみんなと繋いだ。
「みんな……」
《凪沙ちゃん、頑張れ!》
《凪沙、行ってこいよ》
胡桃と蒼真が言った。そして、俺が「せーの」と合図して、リモートのみんなと俺が同時に言った。
『
「みんな……」
そう言った瞬間、ホームから放送が鳴った。なぎは用意していた切符、俺は入場券を買ってホームに行った。
「まもなく、1番線に快速アーバン、上野行きがまいります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください」
俺はグリーン車の前に立つ。なぎはやってきた電車の1階席に座った。俺は画面を見せ、一緒に手を振った。
《行ってらっしゃい!》
《頑張れよ!》
《また行くからね!》
「頑張れ!」
聞こえるはずのない声だったが、みんな気持ちを込めていた。
なぎは手を振った。そのまま、惜しくも電車は行ってしまう。なぎは手を振ったままだった。
10号車が通りすぎても、俺とリモートの人たちは手を振っていた。暗闇のなかに車内の明かりとテールライトだけが光っている。
「行っちゃったな」
《うん……》
姿が見えなくなると、俺は車に戻った。入場券はずっと大事に持っていた。
【白雪凪沙視点】
深知くんと思っていたときから、私は優しいと思っていた。そんな人と、今日、別々になった。悲しいとは思う。というか、泣いてしまいそう。だけど、私は泣かずにいた。
「永遠の別れじゃない、か」
私はふと呟いた。
「柊くん、最後までやるね」
「深知くん!」
「……なに」
「今度、一緒に買い物行こ!」
「……あぁ……」
暗い深知くんだった。だけど、そんな深知くんもよかった。
柊くんだと分かったときは、心臓が止まるかと思った。しばらく何も考えられなかった。
柊くんが、途中から頼もしい存在になってた。でも、自立しないと。
「バイバイ、柊くん」
私は窓ガラスを指でなぞって言った。
永遠の別れじゃない!大好きだよ
いい言葉ですね……
平行世界の物語(第3話で実施したもの)を別作品で投稿した方がよい?
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YES
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NO