高校生からの物語 2期   作:月島柊

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第13話 合流

 新幹線改札口は宇都宮線の階段からまっすぐ行って、駅の改札口の反対側にある。改札口の横を過ぎると、両毛線の階段があり、少し不思議な構造をしている。

新幹線は2面4線で、2線は通過線になっていて、大半のやまびこ、なすのが通過待ちする。

 

「そうだ、かりな、彩夏。ヘアピンしとけ」

「ん?あ、分かんないから?」

「そう。俺しか分からないだろ」

「私だって分かるもん」

 

香奈が胸を張って言った。じゃあどっちか聞いてみようかな。

 

「香奈、じゃあどっちがかりな?」

「右がかりな!」

「違うっ!私彩夏!」

「嘘つくな。お前かりなだろ」

 

香奈、以外と合ってた。かりなが偽ってたけど。

 

「お兄ちゃん言わないでよぉ」

「あーはいはい、悪かったな」

 

高校生にまでなったのに、この甘えはどうにかならないかな。

俺が呆れていると、藤花が柱から、ひょこっ、とかわいく顔を出した。

 

「あきにい、お兄ちゃん、久しぶり」

 

あきにいは暁依、お兄ちゃんは俺だ。紛らわしいけど。

 

「久しぶり、藤花」

「いつからそういうキャラになったんだよ」

「ついさっき!」

 

自信満々で言う。なんで自信があるのか分からんが。

 

「お姉ちゃん、久しぶり!」

 

姉の場合はみんなお姉ちゃんって呼ぶから誰がなんなのか分からん。たまにかりなか彩夏が言うとみんなが反応することがある。

 

「久しぶり、かりな」

 

藤花はわしゃわしゃしてかりなの髪をぐちゃぐちゃにする。

 

「お姉ちゃん、激しいよぉ」

「久しぶりだからかなぁ。ほーれ、わしゃわしゃ!」

 

藤花は相変わらず続けている。

 

「そんで、もう1人の双子が来てないらしいが」

「暁依、言ったろ。那須塩原で合流だって」

「そうだっけっか。すっかり忘れてた」

「あきにい、ちゃんとして?」

 

香奈から言われる始末。本当に兄か?

 

「ほーら、そんなことどうでもいいから行こ」

 

瑞浪、合わない内にまとめられるようになったのか。関心だ。

 

 14:03発普通宇都宮行きに乗車。目安通り、宇都宮で44分発黒磯行きに乗り継げる。

 

「新幹線じゃないんだぁ」

「金の無駄遣いはしないさ。那須塩原までだったらそこまで遠くないだろ」

 

着くの15時半だけど、間に合うんだったらいいし。

 

「お兄ちゃんたちと電車に乗るの久しぶり~」

 

香奈が言った。中々会うことが無かったからな。

 

「香奈は今何してるんだ?」

「今はバイト掛け持ちしながら大学行ってるよ。週に3回だけど」

「3回しか行かなくていいのか?」

「うん。事情を説明してあるから」

 

だったらお金なんて貯まってくだろ。バイト掛け持ちしてるんだし。

 

「それで、なんで足利に居たんだ」

「在来線の旅してたっ」

「そうか、旅行好きだっけ」

「4月だから桜をね」

 

そうか、桜の時期か。

 

「お兄ちゃんと行けたらなー」

 

お花見なんてしばらく行ってないし、もうそろそろ行ってもいいかもしれない。

 

「お兄ちゃんが一緒にお花見行ったらついにパパじゃん」

「まだそんな年齢じゃない」

「そういう年齢じゃんか」

 

今年28……うん、父親になれる年だった。

 

「だったら冬菜だって母親じゃないか」

「まだ20代前半よ!」

「俺もそうだからな」

 

なんだよ、俺だけじゃないか。というか、高校1年生の兄が今年28って、普通に考えて滅多にないだろ。年の差12だぞ?

 

「パパーっ」

「や、やめろよ、その呼び方」

「なんで?パパ」

 

なんだよこの呼び方!

 

 

 那須塩原に着くまでずっと「パパ」呼びだった……もう疲れたよ、お兄ちゃんは。

 

「パパ、どこから降りてくるの?」

「もうやめてくれないか……」

「お兄ちゃんが困ってるわ。やめてあげよ」

 

冬菜がみんなに言った。こんな性格だったか?冬菜は。

 

「冬菜、性格変わったか」

 

暁依が先に言った。冬菜は否定するように言った。

 

「気のせいじゃないの。変わってないわ」

 

じゃあ俺たちが気付かなかっただけか、元からそうだったかのどちらかか。

 

 

【月島風那視点】

 

 新幹線に乗って、那須塩原に向かっていた。やまびこって新幹線らしいけど、結構速い。どのくらい出てるんだろ。

 

「お姉ちゃん、那須塩原何時?」

「15時くらいね」

 

14:59に到着する。

1駅通過した。スピードはさすが新幹線。かなり速かった。

 

「まもなく、福島です」

 

福島。地理的に見れば、隣の県が那須塩原。

 

「お姉ちゃん、眠くないの?」

 

沙理華が眠そうに私を見つめる。目が半開きだ。

 

「まだ、ね。けど、ここで寝ちゃうと危ないんじゃない?」

 

那須塩原までに起きれる自信が無い。

 

「じゃあ膝枕……」

「いいよっ」

 

沙理華は私の膝の上で眠った。

私が沙理華の寝顔を見ていると、車内放送でこんな放送が流れた。

 

「お客様に、ご案内いたします。ただいま、お隣郡山駅におきまして、線路内に人が立ち入ったとの情報が入りましたため、安全が取れるまでこの電車、当駅にて運転を見合わせます。運転再開までしばらくお待ち下さい」

 

運転見合わせか。10分くらいだったら問題ないと思うけど……

私は沙理華をよしよしと撫でながら運転再開を待った。

 

大体15分に1回くらい放送があった。そのため、もう40分は止まっている。

 

「お客様にご案内いたします。ただいま線路内に人が立ち入ったため、運転を見合わせています」

 

運転再開はまだっぽい。

すると、スマホのバイブがポケットの中で鳴った。それに沙理華が起きちゃったけど。電話をかけてきたのはお兄ちゃんだった。

 

「沙理華、ここで荷物見てて。私電話してくる」

「ふぁーい」

 

沙理華は眠そうに返事をした。

私はホームに出て、電話に出た。

 

「もしもし」

《風那?今福島で運転見合わせてる?》

「なんで知ってるの?」

《走行位置情報見てる》

 

そうだったんだ。

 

《それで、風那、今何時間ぐらい止まってる》

「大体50分くらい」

《ホームにいるのか》

「うん」

《そうか。安否確認だったんだが、沙理華もいるか》

「寝てるけどね」

《そうか》

 

お兄ちゃんは笑いながら言った。

 

《無事みたいだな。気をつけてこいよ》

「はーい」

 

電話が切れ、私は車内に戻った。

 

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