高校生からの物語 2期   作:月島柊

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第20話 向かう

 「確かに龍夜となぎには来いって言った。なのに……」

 

俺はもう1人の方を向いた。

 

「なんで蒼真がいるんだよ。暇か?暇なのか!」

「あのなぁ、俺だってやりたくないときくらいあるんだ」

「そんな問題じゃねぇよ」

 

なんでいるんだ……まぁ、除雪で力仕事だから男手があるのはいいが。

 

「君らはもう席取ってあるんだよな」

 

もう大宮にいるんだから、取ってあるはずだ。

 

「もちろん!」

「席はバラバラだがな」

 

一緒にする必要はないし、大丈夫だ。

 

【白雪凪沙視点】

 

 私は柊くんから電話が来てすぐ、本厚木駅へ走った。席はどこ取ってるか分からないから、適当に14号車3番D席。本厚木から急いで大宮に行く場合、14:21発はこね18号新宿行きで新宿まで行った後、15:19発特別快速高崎行きで大宮。大宮には15:50。5分間に合っていない。新宿の乗り換えを2分でして、15:09発快速宇都宮行きに乗れば、15:41着で、4分間に合う。ただ、2分なんて無理。そこで私が取った方法が……

 

「飛んでく!」

 

本厚木から大宮までは約58km。単純に60km/hで飛んでいけば、大体15:30には着ける。

 

 大宮には15:32。柊くんたちがもう着いていた。というか、龍夜くんと蒼真くんも。

 

「遅かったな」

「龍夜、お前も3分くらい前に着いたばっかりだろ」

「言うなって」

 

いつも通り、楽しそうだった。

 

【月島柊視点】

 

 17号車8番A~Dと7番Aで、俺は8番C、胡桃が8番D、あーやが8番B、絢梨が7番A、かりなが1番Aだった。2番Bは大宮の時点では空席。ただ、予約自体はあったから、仙台以降で乗ってくるんだろう。

この電車は、今日の終電から2本目。次のこまち35号が終電。大雪で東京16:20発以降のこまち号が運休になった。秋田発は秋田16:12発以降が運休。

 

「柊くん、他のみんなはどこに座ってるの?」

「バラバラ。14号車が2席だけ空きがあった」

 

多分14号車に乗ってるんだろう。

 

 仙台は16:51。絢梨の隣はまだ乗ってこなかった。16:53、時刻通り出発し、次は盛岡。17:32に到着する。

 

「柊くん、トイレ……」

「俺はトイレじゃない」

 

学校みたいなことを言うと、胡桃は顔を赤くして言った。

 

「ねぇ……漏れる……」

「分かった」

 

俺はテーブルを畳んで言った。

 

「俺の上通って」

「うん……」

 

胡桃は俺の膝に乗って通路側に出た。なんか胡桃がいなくなると寂しい。

5分くらいで戻ってきた胡桃は、俺の膝の上に座って黙っていた。

 

「きもちい」

 

なんだそれ。

 

「どのくらいいる?」

「あと10分」

 

長い。けど、嫌じゃないからいいや。

 

 盛岡、雫石、田沢湖、角館の順に止まり、大曲に到着した頃、車掌からアナウンスがあった。

 

「ただいま、奥羽本線内、大張野~羽後境駅間大雪の影響で、対向電車が遅れております。そのため、この電車につきましても、当駅にて一旦運転を見合わせます」

 

対向電車の東京行きはもう終わっているはず。なぜかと思い、俺はTwitterを見た。

すると、どうやら、秋田車両センターが積雪で使えなくなるかもしれないため、秋田車両センターにいた車両を、仙台の車両センターまで回送しているそうだった。

その回送が、大張野~羽後境の間で大雪で止まり、この電車が遅れるそうだ。

 

「ちょっとなぎに会ってくる。胡桃もいくか」

「行くっ!」

 

胡桃と一緒に、俺はいるであろう14号車に向かった。14号車には、やはりなぎがいた。

 

「なぎ」

「柊くん?」

「凪沙ちゃん、随分ぐったりだね」

「隣いないからねーっ」

 

隣は途中で起きたんだろうか。そう思っていると、足音が近づいてきた。

 

「凪沙、なんで俺のところを塞いでるんだ」

 

龍夜だった。そうか、ここは龍夜の席だったか。

 

「いいじゃん、いなかったし」

「はぁ……」

 

龍夜はずっと立っていた。

 

「しょうがないなー」

「普通そうするだろ」

 

なぎは自分の席に座った。

 

「なんもなかったな」

「龍夜くんに襲われたー」

 

感情がこもってないし、嘘だろ。

 

「襲ってない」

「知ってた」

 

なぎはぶーぶー言ってたけど、襲ったら襲ったで、大事件だけど。

 

「じゃ、俺たち戻るからな。なんかあったら17号車まで来て」

「はーい」

 

俺と胡桃は17号車の自分たちの席に戻った。すると、放送が入った。

 

「お客様にご案内いたします。対向電車が羽後境駅でこの電車の待ち合わせを行うため、まもなく運転を再開いたします。ご利用のお客様はご乗車のままでお待ちください」

 

もうすぐ運転再開だ。

18:42、8分遅れて大曲を出発した。

 

 途中徐行区間があったりして、秋田に到着したのは19:23。17分遅れて到着した。

 

「しゅうくーん」

 

なぎがこっちに走ってきた。

 

「なぎ。走っちゃダメだぞ」

「はーいっ」

 

なぎは俺の片腕にしがみつく。胡桃も負けじとしがみついた。おっと、それより重要なことがあった。

 

「それより、これからユウキの車に乗せて貰うんだけど、車5人乗りなんだよ」

 

今の人数は8人。ユウキが運転で、助手席1人、後ろ3人で、4人余る。とりあえず1人は膝の上に乗るとして、後ろを4人だとすると、2人余るか。

 

「あっ、いいこと考えた!」

 

胡桃が言った。

 

「とりあえず、車のとこいこっ!」

 

胡桃は先に早足で改札に向かった。

 

 車に着くと、胡桃はどんどん乗せていった。

 

「龍夜くんの上に凪沙ちゃん乗って、かりなちゃんがその隣、綾香ちゃんが助手席、絢梨ちゃんがかりなちゃんのとなりっ!」

 

そのままだと俺と胡桃が余る。まさか、歩いていこうとか?

 

「それで、柊くんと私がトランク!」

 

おい、トランクって、荷物もあるんだぜ?いや、けど2人が横になるスペースはギリギリある……しかも、胡桃とだ。いいかもしれない。

 

「あ、あぁ……」

 

この後のことは……まぁ、ご想像にお任せする。ただ、良くも悪くもなかった。

 

 

 家の前に着くと、玄関が雪で埋もれていた。裏口も見たが、やはり埋まっている。この中にいるらしく、そこから連絡を取っているらしい。

 

「裏口の雪が大したことないから、そこをどかそう」

「柊くん、雪掻きとってくる」

「ありがとう。ユウキ」

 

ユウキは雪掻きを取りに行った。

 

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