「確かに龍夜となぎには来いって言った。なのに……」
俺はもう1人の方を向いた。
「なんで蒼真がいるんだよ。暇か?暇なのか!」
「あのなぁ、俺だってやりたくないときくらいあるんだ」
「そんな問題じゃねぇよ」
なんでいるんだ……まぁ、除雪で力仕事だから男手があるのはいいが。
「君らはもう席取ってあるんだよな」
もう大宮にいるんだから、取ってあるはずだ。
「もちろん!」
「席はバラバラだがな」
一緒にする必要はないし、大丈夫だ。
【白雪凪沙視点】
私は柊くんから電話が来てすぐ、本厚木駅へ走った。席はどこ取ってるか分からないから、適当に14号車3番D席。本厚木から急いで大宮に行く場合、14:21発はこね18号新宿行きで新宿まで行った後、15:19発特別快速高崎行きで大宮。大宮には15:50。5分間に合っていない。新宿の乗り換えを2分でして、15:09発快速宇都宮行きに乗れば、15:41着で、4分間に合う。ただ、2分なんて無理。そこで私が取った方法が……
「飛んでく!」
本厚木から大宮までは約58km。単純に60km/hで飛んでいけば、大体15:30には着ける。
大宮には15:32。柊くんたちがもう着いていた。というか、龍夜くんと蒼真くんも。
「遅かったな」
「龍夜、お前も3分くらい前に着いたばっかりだろ」
「言うなって」
いつも通り、楽しそうだった。
【月島柊視点】
17号車8番A~Dと7番Aで、俺は8番C、胡桃が8番D、あーやが8番B、絢梨が7番A、かりなが1番Aだった。2番Bは大宮の時点では空席。ただ、予約自体はあったから、仙台以降で乗ってくるんだろう。
この電車は、今日の終電から2本目。次のこまち35号が終電。大雪で東京16:20発以降のこまち号が運休になった。秋田発は秋田16:12発以降が運休。
「柊くん、他のみんなはどこに座ってるの?」
「バラバラ。14号車が2席だけ空きがあった」
多分14号車に乗ってるんだろう。
仙台は16:51。絢梨の隣はまだ乗ってこなかった。16:53、時刻通り出発し、次は盛岡。17:32に到着する。
「柊くん、トイレ……」
「俺はトイレじゃない」
学校みたいなことを言うと、胡桃は顔を赤くして言った。
「ねぇ……漏れる……」
「分かった」
俺はテーブルを畳んで言った。
「俺の上通って」
「うん……」
胡桃は俺の膝に乗って通路側に出た。なんか胡桃がいなくなると寂しい。
5分くらいで戻ってきた胡桃は、俺の膝の上に座って黙っていた。
「きもちい」
なんだそれ。
「どのくらいいる?」
「あと10分」
長い。けど、嫌じゃないからいいや。
盛岡、雫石、田沢湖、角館の順に止まり、大曲に到着した頃、車掌からアナウンスがあった。
「ただいま、奥羽本線内、大張野~羽後境駅間大雪の影響で、対向電車が遅れております。そのため、この電車につきましても、当駅にて一旦運転を見合わせます」
対向電車の東京行きはもう終わっているはず。なぜかと思い、俺はTwitterを見た。
すると、どうやら、秋田車両センターが積雪で使えなくなるかもしれないため、秋田車両センターにいた車両を、仙台の車両センターまで回送しているそうだった。
その回送が、大張野~羽後境の間で大雪で止まり、この電車が遅れるそうだ。
「ちょっとなぎに会ってくる。胡桃もいくか」
「行くっ!」
胡桃と一緒に、俺はいるであろう14号車に向かった。14号車には、やはりなぎがいた。
「なぎ」
「柊くん?」
「凪沙ちゃん、随分ぐったりだね」
「隣いないからねーっ」
隣は途中で起きたんだろうか。そう思っていると、足音が近づいてきた。
「凪沙、なんで俺のところを塞いでるんだ」
龍夜だった。そうか、ここは龍夜の席だったか。
「いいじゃん、いなかったし」
「はぁ……」
龍夜はずっと立っていた。
「しょうがないなー」
「普通そうするだろ」
なぎは自分の席に座った。
「なんもなかったな」
「龍夜くんに襲われたー」
感情がこもってないし、嘘だろ。
「襲ってない」
「知ってた」
なぎはぶーぶー言ってたけど、襲ったら襲ったで、大事件だけど。
「じゃ、俺たち戻るからな。なんかあったら17号車まで来て」
「はーい」
俺と胡桃は17号車の自分たちの席に戻った。すると、放送が入った。
「お客様にご案内いたします。対向電車が羽後境駅でこの電車の待ち合わせを行うため、まもなく運転を再開いたします。ご利用のお客様はご乗車のままでお待ちください」
もうすぐ運転再開だ。
18:42、8分遅れて大曲を出発した。
途中徐行区間があったりして、秋田に到着したのは19:23。17分遅れて到着した。
「しゅうくーん」
なぎがこっちに走ってきた。
「なぎ。走っちゃダメだぞ」
「はーいっ」
なぎは俺の片腕にしがみつく。胡桃も負けじとしがみついた。おっと、それより重要なことがあった。
「それより、これからユウキの車に乗せて貰うんだけど、車5人乗りなんだよ」
今の人数は8人。ユウキが運転で、助手席1人、後ろ3人で、4人余る。とりあえず1人は膝の上に乗るとして、後ろを4人だとすると、2人余るか。
「あっ、いいこと考えた!」
胡桃が言った。
「とりあえず、車のとこいこっ!」
胡桃は先に早足で改札に向かった。
車に着くと、胡桃はどんどん乗せていった。
「龍夜くんの上に凪沙ちゃん乗って、かりなちゃんがその隣、綾香ちゃんが助手席、絢梨ちゃんがかりなちゃんのとなりっ!」
そのままだと俺と胡桃が余る。まさか、歩いていこうとか?
「それで、柊くんと私がトランク!」
おい、トランクって、荷物もあるんだぜ?いや、けど2人が横になるスペースはギリギリある……しかも、胡桃とだ。いいかもしれない。
「あ、あぁ……」
この後のことは……まぁ、ご想像にお任せする。ただ、良くも悪くもなかった。
家の前に着くと、玄関が雪で埋もれていた。裏口も見たが、やはり埋まっている。この中にいるらしく、そこから連絡を取っているらしい。
「裏口の雪が大したことないから、そこをどかそう」
「柊くん、雪掻きとってくる」
「ありがとう。ユウキ」
ユウキは雪掻きを取りに行った。
平行世界の物語(第3話で実施したもの)を別作品で投稿した方がよい?
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