高校生からの物語 2期   作:月島柊

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第28話 不安と安心

 無事夏休みに入り、学校閉庁期間にあたる、8月10日から20日の10日間、俺は秋田と札幌に帰省したりしていた。

そんな夏休みも終わろうとしている、8月16日。この日は今年最高の気温を更新し、最低気温は30℃、最高気温は深谷で39℃まで上がった。今日は250地点で35℃を超えているらしい。実に「異常気象」ということがよく分かる。

室内は当たり前のように冷房をつけていて、普段は26℃や25℃設定の冷房も、今日だけは23.5℃まで下げた。暑すぎる。

 

「廊下があついぃ……」

 

自分の部屋に冷房はついているのだが、1回リビングに来るとみんな戻ろうとしない。暑いのだ。いや、熱いのだ。

 

《東京都心は35℃を超え、猛烈な暑さとなっています》

 

ニュースキャスターも暑そうだ。

 

 12時を少し過ぎた頃、急に空が曇り始めた。気温も急激に下がり、11時半で38℃だった気温は、12時半ではもう30℃まで下がっていた。

 

「柊くん!外が!」

 

そう、急激なスピードで気温が下がっている影響で、胡桃が興味津々になっている。子どもかな?

 

「そうだな。急激に下がってる」

 

それからも気温は下がり続けたが、17時頃になって、気温は維持し始めた。17時半で24℃まで下がっていた。

 

 翌日、8月17日。

予想最高気温は23℃、予想最低気温は17℃。天気は曇り。気温はかなり低い。

 

 さらに翌日、8月18日。

予想最高気温は15℃、予想最低気温は8℃。天気は曇り。冬と同じくらいに下がった。

 

 そして、8月19日。衝撃的なことが起こった。

予想最高気温は、なんと3℃。予想最低気温は-4℃。天気は雪。予想積雪量は、多いところで10cmと、結構積もる。

 

「柊くん、雪だよ」

「あぁ……不思議な雪だ」

 

つい3日前までは冷房をつけていたのに、今日はすっかり暖房だ。

 

「お兄ちゃん、もしかして……」

 

かりなが言い出したことは、十分にあり得ることだった。

というわけで、かりなの言葉が本当か確かめるため、俺とかりなは電車に乗った。

7:34発特別快速小田原行きに乗車。

今回の話は、「なぎが不安でいるかもしれない」ということだった。

 

「かりな、よく分かったな」

「前からそういう感じだったじゃん?」

 

そういうことだったか。

俺はなるべく急ぐため、新宿に到着したあと、すぐに小田急に乗り換えた。

 

 9:01発快速急行片瀬江ノ島行きで相模大野まで行き、そのあと、向かい側の9:37発各駅停車新松田行きに乗った。各駅停車新松田行きでは、相武台前でメトロはこね91号に追い越されるが、これは本厚木に止まらないため、本厚木までの最速はこの各駅停車になる。

 

 9:57、本厚木に着くと、かりなはすぐに走り出した。

 

「かりな!」

「付いてきて!」

 

かりなが向かった先は駅の少し遠くにあった廃ビル。その最上階へ向けて、かりなは全速力で走る。

 

「かりな、疲れてないか」

「うん。大丈夫」

 

かりなは階段を駆け上がる。錆び付いていて、今にも崩れ落ちそうだ。

階段は1歩進むごとに揺れ、茶色い粉が後ろに舞い上がった。錆の粉だろう。

 

「かりな、揺れてないか」

「早く行っちゃえば──」

 

そう言った瞬間、かりなの足下にあった階段が崩れ落ちた。俺は咄嗟にかりなの手を掴み、壁に片手を掛けた。

 

「大丈夫か、かりな」

「大丈夫じゃない……」

 

俺は飛行魔法でかりなを引き上げた。それと同時に、俺たちは飛行魔法で最上階まで上がることにした。

 

 最上階では、なぎが縄で縛られ、声だけが出せるようになっていた。

 

「柊くん!」

「なぎ!」

「凪沙ちゃん!」

 

俺たちがなぎのところの向かうと、何か嫌なにおいがした。

 

「凪沙ちゃん、今助けるから」

「かりな、3秒でやれ」

「ふぇ?う、うん」

 

かりなは言ったとおり、2秒と少しで終わらせた。

 

「よし、降りるぞ」

 

俺は割れていた窓から飛び降りた。

 

「きゃあぁっ!」

 

叫ぶのも無理はない。何せ、6階から飛び降りたのだから。

 

「よっと」

 

俺は軽々降りた。なぎとかりなを覆うようにすると、後ろのビルの最上階は大きな音を立てて爆発した。

 

「うわっ」

 

かりなは俺の身体に自分の体を押し付けた。

 

「大丈夫か?」

「うん……」

 

雪はどんどん強くなり、俺たちの体を覆っていく。

 

「なぎ、何か不安か」

「え?あ、えっと、柊くん大丈夫かなぁ、なんて」

 

不安さが少しずつ大きくなっているようだった。

 

「大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」

「えへへー……」

 

なぎは少し頬を紅くして言った。

 

 そのあとは、なぎの家にお邪魔させてもらうことにした。というか、あがるように言われた。

今から帰ると、昼食を食べる時間が遅くなる。と言って、なぎは料理を作ってくれた。

 

「帰りはどのくらいがいい?」

「18時までに深谷に着けば何でもいいかな」

「分かった!」

 

一応俺の方でも調べておこうと思い、俺は乗り換え案内で本厚木から深谷の時間を調べた。

 

(そういえば、今出てったら何時に着くだろう)

 

俺は10:48発の電車で調べた。

すると、結果として出てきたものが13:20頃に着く電車だった。俺はかりなの肩をたたき、俺のスマホを見せた。

 

「13:20前着くぜ、今出たら」

「ふふっ、きっと一緒にいたかったんだよ。雪も止んできてるし」

 

確かに、雪も止んできて、なぎもご機嫌になってきていた。

 

「柊くん、かりなちゃんっ、どーぞ!」

 

元気よく料理を出してきた。本当に元気なんだな。さっきまで縛られてたのに。

 

「凪沙ちゃん、一緒に食べよっ」

「おっ、いいねぇ」

 

なぎとかりなは隣り合わせで楽しそうに食べている。俺の話も出てきたため、たまに話すことはあったが、ほとんど話しかけなかった。

 

 なぎが調べてくれた、18時頃に着く電車は、本厚木15:15発快速急行新宿行きだった。

 

「じゃあ、そろそろ帰るよ。ありがと、今日は」

「ううん、こっちこそありがとう。助けてくれて」

 

そうして、お別れの挨拶をしていると、かりなが言った。運行情報の読み上げだ。

 

「小田急線は、伊勢原~愛甲石田駅間の車両故障の影響で、新松田~新宿駅間の上下線で運転を見合わせてるって」

 

伊勢原~愛甲石田駅間とは、本厚木駅の2つ前の区間。しかも、時間的に乗る電車だろう。

案の定、15:15の電車は到着の目処が立たず、俺たちは帰れなくなっていた。

 

「厚木まで歩くか?」

「この積雪だから危ないんじゃない?」

 

かりなが言った。それもそうだ。滑りやすいし、怪我もしやすい。

 

「なぎ、運転再開まで待たせてくれないか」

「もちろんいいよ。ゆっくりしてって」

 

なぎは俺たちのことを歓迎していた。

 

「どうせ混んでるんだろうなぁ、再開後」

「しょうがないでしょ。あ、小田原経由してく?」

「いや、遠いからな……各駅停車だと空いてるか……?」

「厚木で相模線に乗り換えるってことね」

「海老名まで行っちゃった方がよかったりするのかな」

「相鉄もあるし、帰りやすいよね」

 

帰るルートを模索していると、なぎが横から言った。

 

「多分各駅停車も結構混んでるよ?先に動くの各駅停車だから。だから、海老名までもしんどいんじゃないかな」

 

なるほど、一理ある。そう考えると、やはり運転再開してから少し待った方が良いだろう。

 

「なぎ、隣にいて」

「となりの“なぎさ”だね」

 

となりのト○ロみたいに言うな。というか、ただただなぎと久しぶりに近くに入れるから。

 

「はいはい、なぎだよー」

 

なぎは俺にくっつく。肩をこすりつけ、密着している。

 

「むーっ、凪沙ちゃんばっかりずるいーっ」

「おっ、お兄ちゃんに対してのやきもちかな?」

「かわいい妹だ」

「からかわないでーっ」

 

かりなは俺の膝の上に乗る。なぎに取られたくないのか、自分も甘えたいのか。よく分からないが、とりあえずかわいかった。

 

 運転再開は17:30。俺たちがなぎの家を出たのは18時過ぎ……というのが普通だが、今日はなぎの家に泊まることにした。

 

「明日は直接鴻巣に行くから、5:24の快速急行で代々木上原まで行って、6:06取手行きで大手町、東京から6:48発籠原行きにしよう」

「朝早いじゃん」

 

かりなが困ったように言った。

 

「早起きの練習だな」

「うぅ……」

「早起きは苦手なんだ」

「7時に起きていいじゃん」

 

7時だと俺が間に合わん。

 

「俺が間に合わないから」

「じゃあしょうがないかぁ」

 

なぎは俺たちのやりとりを楽しげに見ていた。

 

「あー、はいはい。ほら、寝るよ」

「はーい」

「隣で寝るか?」

「さすがにそこまでは……」

 

俺はかりなと同じ部屋で寝たが、なぎとは違う部屋で寝た。

 

【白雪凪沙視点】

 

 柊くんが泊まっている。こうなるとは思ってなかったけど、これはチャンス。どんなチャンスかって?そんなの、添い寝に決まってるじゃん。柊くんが寝てるときに、布団に潜り込めば、成功!

1回断ったけど、そうした方が反応が面白そう。

 午前1時半、もう流石に寝てるだろうと思い、私は柊くんのいる部屋に向かった。

案の定、柊くんはぐっすり寝ていた。

 

(むっふふ、作戦通り)

 

私はそっと布団をめくった。すると、かりなちゃんが柊くんに丸くなってくっついていた。

 

(ふえ?)

 

かりなちゃんは寒くなったのか、ゆっくり起きた。

 

「起きてたんだけど、もしかして、夜這いしにきた?」

「そんなわけ……ない……よ?」

「図星か」

 

かりなちゃんは小悪魔のように笑った。

 

「じゃあ凪沙ちゃんは反対側ねっ」

「え?」

「一緒に寝るの」

「あ、うん」

 

私はかりなちゃんの反対側に入った。

 

「おやすみ~」

 

かりなちゃんは一瞬で寝た。

 

「おやすみ、2人とも」

 

私も寝ることにした。

 

【月島柊視点】

 

 翌朝、5時頃に起きると、俺の左にかりな、右になぎがいた。両者ともに猫のように丸まっていた。

 

「なんでこんなことになってるんだ」

「うにゅ?おはよ」

 

ちょうどなぎが起きた。

 

「なんでここにいるんだ」

「うーん……添い寝?」

「そうですか……」

 

そんなやりとりをしていると、かりながくるくると回り始め、1回転すると起きた。

 

「ふにゅーっ」

 

かりなが起きた。

 

「おはよ」

「うにゅ。おはよ~」

 

かりなは寝ぼけながら着替えた。俺は昨日のうちに着替えて寝たから、着替える必要はない。

 

「よく着替え持ってきてたね」

「なぎが泊まれって言うと思ったから」

「なーんだ、予想してたか」

 

俺は着替え終わると、かりなと一緒に駅へ向かった。なぎも一緒で、見送りたいそうだ。

 

「じゃ、帰るよ。ありがとな」

「うん。また遊びに来てね」

 

なぎは笑顔で見送ってくれた。

昨日とは異なり、ちゃんと5:24に快速急行は出発した。本厚木から、海老名、相模大野、町田、新百合ヶ丘、登戸、下北沢、代々木上原、新宿に停車する。

 

「代々木上原で降りるんだっけ」

「あぁ。東京始発で座りたいから」

 

かりなは俺の隣で聞いた。早朝だったが、さすが快速急行。本厚木の時点でもう座れなかった。というか、新松田~愛甲石田駅間の始発も兼ねているからだろう。

 

 代々木上原に6:05に着くと、俺たちはすぐに向かい側に停車している、千代田線取手行きに乗車。6:06に出発。

 

「お兄ちゃん、電車混まないよね?」

「多分ね。大手町で降りるし」

 

千代田線は7時頃から混み始めるが、今は結構空いている。代々木公園出発時で、座席が若干埋まるくらい。まだ立ち客はいない。

 

 大手町には6:26。ここから歩いて東京駅に向かい、6:48発当駅始発の籠原行きで鴻巣に向かう。

籠原行きは東京出発時点で座席が埋まる程度だったが、赤羽あたりから徐々に空き始め、大宮出発時では、座席の一部が埋まる程度まで空いていた。

鴻巣に着く頃には、もうガラガラで、やはりラッシュの逆方向は空いていた。

 

「結構ギリギリだな」

「あと15分で部活始まっちゃうね」

 

かりなもついてくることになり、2人で学校を目指した。

 

平行世界の物語(第3話で実施したもの)を別作品で投稿した方がよい?

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