高校生からの物語 2期   作:月島柊

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第30話 被害

 夏の盛り。

 この言葉が恐らく1番合っている。

 8月1日、俺は新宿にいた。どうしてここにいるか?そんなの、自分の趣味で来るはずがない。こいつに呼ばれたからだ。

 

「よ、柊」

「暑いんだが」

 

龍夜だ。

 

「そんなこと言うなって。どうせこの後涼しいとこ行くんだから」

「電車の中だろ?」

 

なんでこんなに元気でいられるんだ。

 

「というか、よく来れたな」

「学校を胡桃に任せたからな」

 

だから今日は俺1人で来た。

 

「そうか。そんじゃ、行くぞ」

 

俺たちはある場所に向かい始めた。今日は忙しい1日になりそうだ。

こんな呑気にしている場合ではないのだが、昨日、なぎから「また追われている」と連絡があった。鍵を閉めて閉じこもっているらしいが、時間の問題だった。

俺たちは12時丁度発、はこね15号箱根湯本行きに乗った。

 

「それで、なんか持ってきてないのか」

「ん?ナイフとかか」

 

そんな物騒な物じゃなくて良かったんだが。

 

「そういう感じじゃなくていいけど」

「実際持ってきてないけどな。ノートパソコンくらいだ」

 

そんな量でもなかった。俺はほとんど何も持ってきてないし。万が一のためにノートパソコンは持ってるが、それ以外は何も持ってきてない。

 

「じゃあ、何する」

「そうだな……凪沙と連絡とってもいいんじゃないか」

 

そうするか。安心できるだろうし。俺はなぎに連絡を送った。

 

〈なーぎー〉12:03

〈なーにー〉12:03

 

なぎから返信が来た。いつも通りのなぎだ。とは言っても、何の話題がいいかな。

 

〈ニャー〉12:04

 

なんとなく時間を稼ぐ。

 

〈にゃう?〉12:05

 

このネタで行くか。猫の会話してるし。

 

〈ニャンニャン〉12:05

〈かわいいね〉12:06

〈ドーモ〉12:06

〈ニャウニャー〉12:07

〈楽しいかい?〉12:08

〈楽しいよ!来てる?こっち〉12:08

〈向かってる〉12:09

〈いっぱい話したいからはやくねー〉12:10

〈オッケー〉12:10

 

なぎのところは安全そうだ。近くに脅威となる人がいないんだろう。

 

「凪沙どうだ」

「元気そうだ」

 

龍夜もほっと安心していた。なぎも俺らのこと待ってるんだから、早く行ってあげよう。

 

 本厚木に着くと、俺はすぐに改札へ向かい、なぎの家に向かった。周囲の警戒もしていたが、問題は無かった。無事になぎの家まで来ると、俺はインターホンを押してなぎを呼んだ。

 

「なーぎー」

 

俺がそう言うと、なぎは走ってきた。

 

「柊くん!」

 

俺に飛びかかってくる。俺は少しバランスを崩したが、すぐに取り戻した。

 

「ストーカーは」

 

龍夜が聞いた。そうだ、本題はそれだった。

 

「それがね、仮想世界で待ってるとか言うの」

「不思議な奴だな」

「確かにな」

 

殺される覚悟でいるんだろうか。琴葉と湊翔を呼んでしまえば恐らく5分かからず終わるが。

 

「自称仮想ワールドNO1らしいんだよね」

 

お、嘘だ。これくらい、なぎにも見せてあげよう。

俺はノートパソコンに「仮想ワールド内役職別順位表」を見せた。

 

「なぎ、これが順位表だ」

「公式のものだね」

 

剣術・剣士の1位はミナト、遠距離使いの1位はイザナミ、琴葉のことだ。魔術師・魔法使いの1位はシュウ。俺だ。そして、総合順位。1位が同率で3人。31450Pでミナト、イザナミ、シュウ。2位は29450Pと、かなりの差がある。

 

「え、柊くんじゃん」

「そう。そいつの言ってることは真っ赤な嘘だ」

 

俺が1位なのに。嘘もほどほどにしろよ。

 

「取りあえず、その約束はこっちから一方的に凍結させよう。こっちでどうにか対処する」

「あ、ありがとう……」

 

俺は望にリモートをつなげた。今回の仮想世界の管理についてだ。

 

《ん?久しぶりだね》

「そうだな。えっと、仮想世界で1位を名乗ってる人物っているか?」

《自称ってことでいい?》

「あぁ」

 

望はしらべたあと、俺に言った。

 

「プレイヤーID5640、剣士、ランキング56位。プレイヤー名『Death sword』」

「なんだその厨二病だらけの名前は」

「実際この名前なんだもん」

 

ランキング56位か。中の上くらいだな。

 

「中の上か」

「普通に考えたら上の中だけどね」

「え?」

「柊くんが異常なの」

 

そんなに異常かな?

 

「まぁ、それはいいとして、位置情報公開できるか?」

「できるけど、なに、この人追放しようとしてる?」

「もちろん」

「1対1は無理だよ。デスソードの剣に触れたら即死なんだから」

「じゃあ3人だったら?」

 

望はしばらく悩んで言った。

 

「まぁいけるかな」

「じゃあそれでいく」

「はぁ……分かった」

 

望は位置情報を俺に公開した。

 

「あとは全部任せる」

「ありがと。じゃ」

 

よし、全部俺が主体でできる。

 

「柊、暴れんなよ」

「どうしよっかなー」

 

龍夜は「ホントにやめてくれ……」と言っていたが、なぎは笑っていた。

 

 

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