夏の盛り。
この言葉が恐らく1番合っている。
8月1日、俺は新宿にいた。どうしてここにいるか?そんなの、自分の趣味で来るはずがない。こいつに呼ばれたからだ。
「よ、柊」
「暑いんだが」
龍夜だ。
「そんなこと言うなって。どうせこの後涼しいとこ行くんだから」
「電車の中だろ?」
なんでこんなに元気でいられるんだ。
「というか、よく来れたな」
「学校を胡桃に任せたからな」
だから今日は俺1人で来た。
「そうか。そんじゃ、行くぞ」
俺たちはある場所に向かい始めた。今日は忙しい1日になりそうだ。
こんな呑気にしている場合ではないのだが、昨日、なぎから「また追われている」と連絡があった。鍵を閉めて閉じこもっているらしいが、時間の問題だった。
俺たちは12時丁度発、はこね15号箱根湯本行きに乗った。
「それで、なんか持ってきてないのか」
「ん?ナイフとかか」
そんな物騒な物じゃなくて良かったんだが。
「そういう感じじゃなくていいけど」
「実際持ってきてないけどな。ノートパソコンくらいだ」
そんな量でもなかった。俺はほとんど何も持ってきてないし。万が一のためにノートパソコンは持ってるが、それ以外は何も持ってきてない。
「じゃあ、何する」
「そうだな……凪沙と連絡とってもいいんじゃないか」
そうするか。安心できるだろうし。俺はなぎに連絡を送った。
〈なーぎー〉12:03
〈なーにー〉12:03
なぎから返信が来た。いつも通りのなぎだ。とは言っても、何の話題がいいかな。
〈ニャー〉12:04
なんとなく時間を稼ぐ。
〈にゃう?〉12:05
このネタで行くか。猫の会話してるし。
〈ニャンニャン〉12:05
〈かわいいね〉12:06
〈ドーモ〉12:06
〈ニャウニャー〉12:07
〈楽しいかい?〉12:08
〈楽しいよ!来てる?こっち〉12:08
〈向かってる〉12:09
〈いっぱい話したいからはやくねー〉12:10
〈オッケー〉12:10
なぎのところは安全そうだ。近くに脅威となる人がいないんだろう。
「凪沙どうだ」
「元気そうだ」
龍夜もほっと安心していた。なぎも俺らのこと待ってるんだから、早く行ってあげよう。
本厚木に着くと、俺はすぐに改札へ向かい、なぎの家に向かった。周囲の警戒もしていたが、問題は無かった。無事になぎの家まで来ると、俺はインターホンを押してなぎを呼んだ。
「なーぎー」
俺がそう言うと、なぎは走ってきた。
「柊くん!」
俺に飛びかかってくる。俺は少しバランスを崩したが、すぐに取り戻した。
「ストーカーは」
龍夜が聞いた。そうだ、本題はそれだった。
「それがね、仮想世界で待ってるとか言うの」
「不思議な奴だな」
「確かにな」
殺される覚悟でいるんだろうか。琴葉と湊翔を呼んでしまえば恐らく5分かからず終わるが。
「自称仮想ワールドNO1らしいんだよね」
お、嘘だ。これくらい、なぎにも見せてあげよう。
俺はノートパソコンに「仮想ワールド内役職別順位表」を見せた。
「なぎ、これが順位表だ」
「公式のものだね」
剣術・剣士の1位はミナト、遠距離使いの1位はイザナミ、琴葉のことだ。魔術師・魔法使いの1位はシュウ。俺だ。そして、総合順位。1位が同率で3人。31450Pでミナト、イザナミ、シュウ。2位は29450Pと、かなりの差がある。
「え、柊くんじゃん」
「そう。そいつの言ってることは真っ赤な嘘だ」
俺が1位なのに。嘘もほどほどにしろよ。
「取りあえず、その約束はこっちから一方的に凍結させよう。こっちでどうにか対処する」
「あ、ありがとう……」
俺は望にリモートをつなげた。今回の仮想世界の管理についてだ。
《ん?久しぶりだね》
「そうだな。えっと、仮想世界で1位を名乗ってる人物っているか?」
《自称ってことでいい?》
「あぁ」
望はしらべたあと、俺に言った。
「プレイヤーID5640、剣士、ランキング56位。プレイヤー名『Death sword』」
「なんだその厨二病だらけの名前は」
「実際この名前なんだもん」
ランキング56位か。中の上くらいだな。
「中の上か」
「普通に考えたら上の中だけどね」
「え?」
「柊くんが異常なの」
そんなに異常かな?
「まぁ、それはいいとして、位置情報公開できるか?」
「できるけど、なに、この人追放しようとしてる?」
「もちろん」
「1対1は無理だよ。デスソードの剣に触れたら即死なんだから」
「じゃあ3人だったら?」
望はしばらく悩んで言った。
「まぁいけるかな」
「じゃあそれでいく」
「はぁ……分かった」
望は位置情報を俺に公開した。
「あとは全部任せる」
「ありがと。じゃ」
よし、全部俺が主体でできる。
「柊、暴れんなよ」
「どうしよっかなー」
龍夜は「ホントにやめてくれ……」と言っていたが、なぎは笑っていた。
平行世界の物語(第3話で実施したもの)を別作品で投稿した方がよい?
-
YES
-
NO