仮想世界サンドスペニア。
俺はここで湊翔と琴葉を待っていた。もちろん用があるわけだが、厳しいものだ。
「あ、もういたのか」
「君らが遅いんじゃないか」
「えへへ」
2人が来ると、俺は映し出して説明した。
「早速だけど、家の特定から進めたい。10分間この位置から移動してないんだったら家とみていい」
「あぁ、特定したあとはどうする」
「外出を待って人質を救出しよう」
人質はいるだろうし。
「結構時間かかりそうだね」
「そもそもとして、家に帰るかが分からないが」
なんとかなる。多分。
「じゃあ、ゆっくり見てるか」
「はーい」
俺たちは永遠に位置情報を見ていた。
3時間経過。何も進展はない。
4時間経過。またまた進展はない。
5時間経過。もう暗くなってきたが、ようやく進展があった。
「もう10分止まってるな」
「じゃあここに向かうか」
俺たちはこの場所に向かい始めた。5時間も待ってようやくだ。
「結構近い?」
「隣のエリアだな。遠くはない」
遠くないだけいいんだが、人質の状態が心配になってくる。
その場所に着くと、家、というより洞窟だった。岩を掘って作られている。
「出てきてから突入しようか」
「また待つのかぁ」
「早くしないかね」
「そんなこと言ったって……」
俺がそう言った瞬間、暗闇の中から1人の男が出てきた。
「あ、出てきた」
「え!?」
そんなことあるのかよ。
「じゃあ突入しよっ」
「人質の身柄どうする」
「身柄って言い方……」
俺の言い方に湊翔が突っ込んだ。
「私がやろっか?」
「あ、じゃあ頼む」
湊翔が言った。遠距離がいなくなるのは心許ないが、大丈夫か。
俺たちは家の中に入って人質を捜した。もちろん琴葉が最初に見つけたのだが、男子だと思った人質は女子だった。しかも少女。
「大丈夫?」
「え、あ、えっと……」
「俺たちは味方だよ」
「ひっ……」
少女は少し怯えた。
「湊翔、怖いぞ」
「怖いか……?」
「ごめん、ホントに味方だよ」
少女は小さくお辞儀をすると、琴葉の服の袖をきゅっと掴んだ。
「あはは、怖い?」
少女はこくりと頷く。
「俺はどうかな」
少女は首を傾げると、こう言った。
「怖くない、です」
「お、よかった」
俺が嫌われてなくてよかった。
「じゃあ、琴葉。頼んだ」
「うん」
俺と湊翔がデスソードを倒しに行こうとすると、少女が呼び止めた。
「待って下さい」
「ん?」
「デスソード倒しに行くんですよね」
俺は頷いた。
「デスソードさん、背後が弱いんです。ただ、正面からくらうと多分HPの8割はもってかれます」
弱点の説明か。
「人数って分かる?」
「少ないですよ。少なくてソロです」
人質になってただけあって、結構知っていることがあるな。
俺は目線を少女に合わせて言った。
「ありがとう。絶対倒してくるからね」
俺は湊翔と一緒にデスソードの向かった方角に行った。恐らくそこまで離れていないはずだ。
しばらく移動すると、デスソードの背中が見えてきた。
「湊翔、投げナイフで奇襲かけよう」
「分かった」
湊翔はナイフを投げ、デスソードに当てた。こっちの存在に気付いて貰うためだ。
「気付いたな」
「取りあえず、背後から徐々に削ってくか」
俺は頷いた。湊翔はデスソードの背後に行き、剣を振る。湊翔も強力な剣を持ってきているが、全く歯が立っていない。背中に堅い装備があるのだ。
湊翔は一旦こっちに戻ってきた。
「どうする」
「俺が正面から突っ込んでみる」
俺はデスソードに正面から突っ込んだ。防護魔法を使いながら、俺は数少ない攻撃魔法、火炎魔法を使った。
案の定、デスソードは俺に剣を振ってくる。
「ぐがっ!」
一気にHPが削られる。防護魔法で40%軽減されるのにも関わらず、8割以上削られた。俺は僅かな体力で後ろに下がった。
「どうしたんです?早く来てみなさい。ホンモノのナンバー1」
デスソードは煽るように言ってくる。
「正面突破は無理だ」
「だったら背後から徐々に削るしかないか」
徐々に削ったってきりがない。ただ、正面から突っ込むと即死の可能性だってある。
「遠距離がいないからな……」
「柊!前!」
デスソードが俺に突進してきた。咄嗟に避けたことで、ギリギリ避けられた。
「もう少しずつ削るしかないか」
「分かった。行こう」
俺が引きつけ、湊翔が背後から攻撃する。これを何回も繰り返した。
しかし、装備も相まってデスソードのHPは全く減らない。
「まずい……」
俺がそう思っていると、デスソードの突進に気付かず、まともにくらってしまった。
「っ……」
HPが残り僅か。最初は30000以上あったHPも、もう100を切っていた。
「お兄ちゃん!」
その声とともに、俺のHPは急激に回復した。瞬く間にMAXまで回復した。
「お兄ちゃん、私がいるから」
かりなだった。こんな時に来てくれるなんて、救世主だ。
「ありがとう。回復頼んだよ」
「うん。頑張れっ」
俺は今までできなかった正面突破をし始めた。回復するんだったら怖いものはない。俺はナイフを持ち、魔法を込めてデスソードに刺す。
「なんだ……」
デスソードが言葉を発せていない間に、俺はもう1発刺す。
「死ねぇ!」
デスソードがそう叫ぶ。剣を振るが、当たってもすぐにフル回復。
「これで終わりだ」
俺は最後に傷口に氷結魔法を放った。
「くそ……」
デスソードは光と共に消えていった。現実世界の転移先は警察署だろう。そう望が設定した。
「ふぅ……」
「お兄ちゃんっ♪」
かりなが寄ってきた。
「どうしてここに」
「なんとなーく」
なんとなくでここを通ったのか。運が良いな。
「それで、このあとは」
「お兄ちゃんについてこっかな」
決めていなかったらしいが、俺に着いてくるんだったらいいだろう。
「んじゃ、行くぞ」
俺は3人で琴葉のところへ戻った。
平行世界の物語(第3話で実施したもの)を別作品で投稿した方がよい?
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