高校生からの物語 2期   作:月島柊

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第42話 旅行2日目

 

 翌日は前日動いたため、ホテルの周りを回るだけにした。昨日は移動したり、鹿に振り回されたりして胡桃もつかれただろう。

 

「ねぇねぇ、手繋ご」

 

胡桃は俺の腕を揺らして言う。かりなも服の袖を引っ張る。

 

「そんなことして暑くないのか」

「ん?暑くないよ」

 

かりなが不思議そうに言う。おかしいのは俺なのか?

 

「早く手繋ごうよ~」

「ああ、はいはい」

 

俺は胡桃とかりなの手をつなぐ。こうやって甘えてくれるのは嬉しい。

 

「最初どこ行く?」

 

かりなが聞く。俺も胡桃も行きたいところはなかった。

 

「とりあえず、じゃあお土産見に行こっか」

 

かりなが提案する。

 

「絢梨とあーやにも買わないとだからな」

「うん。何がいいかな」

 

俺たちはお土産を探しに行った。

 

 「なんか京都っぽいのあったか」

 

俺が胡桃とかりなに聞くと、胡桃が1つ俺のところに持ってきた。

 

「扇子あったよ」

「扇子か。たしかに和風だな」

「お兄ちゃん、ネクタイ!」

 

明らかにあーやと絢梨のためのものではないな。

 

「誰にあげるんだ、それ」

「ん?お兄ちゃんにあげるんだよ?」

 

いい子だ。めっちゃいい妹だ。

 

「ありがとう、天使さん」

「ふふーん」

 

かりなという名の天使は胸を張って俺の前に立つ。

 

「じゃあ、あーやたちには扇子でいいか」

「うん。実用性もあるし」

 

みんなであーやたちのお土産も買い、俺たちは近くの駅に戻った。

 

バスで来たため、最寄りは烏丸御池や京都駅ではない。近鉄の上鳥羽駅から俺たちは胡桃の要望で行きたかった場所に向かった。

14:29発普通京都行きで京都へ向かい、京都から14:45発新快速姫路行きで大阪、15:19発大阪環状線内回りで天王寺へ。

 

わざわざ京都から大阪の天王寺へ行くのは少し不思議だったが、行くとすぐに分かった。

 

「胡桃、このためか」

「うん。あ、苦手?」

「いや、俺は大丈夫なんだが、かりなが……」

 

かりなの方を見ると、かりなは俺の服の裾を引っ張って駅に戻ろうとしていた。

 

「や!」

「こどもか!」

 

子ども並みに語彙力を失ったかりなは泣き出しそうだった。

 

「胡桃、お前だけで上っていいぞ」

「でも、柊くんは……」

「かりながいるからな。行ってこい」

 

胡桃は頷いてあべのハルカスに上りにいった。かりなはそんなに高所恐怖症だったか。

 

「かりな、何か食べるか」

「うん。食べる」

 

やっぱり精神年齢下がったか?

俺は駅前の店でかりなの好きそうな物を買って来た。かりなは立ったまま俺のことを待っていた。

 

「ほら、これ好きそうだったから」

「合ってる」

 

俺はかりなにワッフルを渡す。かりなはワッフルを口にくわえて頬張る。

 

「おいしいか」

「んぐ」

 

咥えたまましゃべったせいで籠もったような声になった。

 

「お兄ちゃんもいるー?」

「ん、いいのか?」

「いいよ。はむっ」

 

かりなはワッフルを咥えて俺の口に近づける。

 

「それは、ちょっとな……」

「なんれ。ん」

 

かりなは食べて欲しそうだった。仕方ない、食べてやるか。

 

「分かったよ。ん」

 

俺はかりなが咥えていたワッフルを食べる。兄妹でこんなことしてるの恐らく俺ぐらいだろうな。

 

「ふふー」

「満足か」

「うん。満足」

 

いつもかりなが可愛いから許してしまう。だからエスカレートするんだろうが。

そうしていると、俺のスマホが鳴った。彩夏からの電話だ。

 

「どうした、彩夏」

《お、出た》

「出ないとでも思ってたのか」

《まーね。そうだ、お兄ちゃん。今度家行っていい?》

「え?いいけど。暁依はどうした」

《いるよー?なんかイチャイチャしてて居づらいの》

 

そんなにイチャついてるのか。妹を追い出すんじゃないよ。

 

「いいけど。いつ来るんだ」

《明後日かな。いい?》

「いいよ。待ってる」

《じゃあよろしく~》

 

そう言って彩夏は電話を切った。

 

「誰から?」

「彩夏だよ。明後日来るって」

「じゃあいっぱい話せるね!」

 

この2人、双子なのもあって仲良いんだよな。そう考えると来てくれて嬉しいかもしれない。

 

「早く帰ろうな」

「うん!楽しみ」

 

かりなはぴょんっと飛び跳ねて喜んだ。

 

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