第1話 平和の終わりを告げる影
幻想郷 博麗神社
季節は夏真っ盛りで幻想郷の至る所で蝉の鳴き声が聞こえてくる。昨夜も相当の熱帯夜だったのだろうと思われる。うだるような暑さにやられた博麗神社の巫女、博麗霊夢が死にそうな顔をしながら出てくる。
「うあー!夏なんて大嫌いだ――!!」
と、叫びつつも日課の賽銭箱を調べることは欠かさない。といっても賽銭がある分けもなく霊夢は縁側に座り込む。すると、境内にポツンと1つの紙束が落ちているのを見つける。
「何かしら?・・・依頼書?」
「この手配書を拾った者に依頼する。現在、鎌霞団という盗賊が至る所で盗みを働いている。そこで、鎌霞団の討伐及び捕獲を依頼したい。被害額は500億以上と推測される。鎌霞団の団員全てに懸賞金を懸けた。是非とも協力願いたい。団員は7名。2頁目より記載する。
非時 千里
鎌霞団の団長であり、かなりの切れ者。使う能力が伝説の神獣、麒麟と酷似しているが、その詳細は不明である。 懸賞金5億
骸 白羽
非時千里に次ぐ副団長を務める。種族は狂骨であり、数多の骨を操り、攪乱させる事を得意としている。 懸賞金4億5千万
黒鉄 刃
鎌霞団の武器作りを担当している夜叉。特に刀に人一倍力を入れており、夜叉の特徴である呪いを刀に籠めることができる。 懸賞金3億8千万
逆牙 珠美
送り狼と人の子で、半妖。送り狼の能力に加え、忍術も会得している。暗器を使い、攻撃してくる為、対応が難しい。 懸賞金3億2千万
真田 幸嗣
逆牙珠美と一緒に行動している人間。真田家直属の子孫で、妖刀村正を使う。抜刀術が主なのだが、速度が速すぎて視認することは不可能。 懸賞金2億5千万
八咫 葉月
非時千里を兄のように慕う雲外鏡の少女。文字通り鏡を操る力を持ち、鏡のある所からは何処でも出現できる。 懸賞金1億3千万
神楽 庵
鎌霞団唯一の非戦闘員。力仕事には向いていないが、ハッキングの腕は天才的であり、空間そのものにさえ侵入できる。 懸賞金1億2千万」
「何これ。鎌霞団?あれ?もう一枚ある」
霊夢は手配書の一番下に白紙が付いているのを見つけた。
「取りあえず紫に渡せばいいのかしら・・・ま、渡せばなんとかなるわよね」
早速霊夢は八雲紫の家へと飛んで行った。
八雲家 玄関
「紫―、居るんでしょー。返事しなさいよー」
すると、近くにスキマが現れ、八雲紫が姿を見せる。
「あら珍しい、霊夢が此処に来るなんて。どうかしたの?」
霊夢は紫に手配書の束を渡し、これまでのいきさつを説明した。
「・・・これは!伊邪那岐からの手紙じゃない、懐かしいわね~」
「何が書いてあるのよ?」
紫は紙にはある術式が掛かっており、特定の人物しか見られない様になっていると言ったが、内容を霊夢に話してはくれなかった。
3日後 博麗神社
霊夢は、3日前の手配書の事など頭からすっかり消えており、普段と変わらぬ日常を過ごしていたが、1つだけ気になる点があった。それは、賽銭箱に賽銭が入っていた事だ。しかも数えてみると200万もの大金であった。いつもなら飛んで喜ぶ所だが、流石に200万はおかしいと感じていた。
人里上空
「いやー、今日もいい本が手に入ったぜ~」
箒に乗って空を飛ぶ少女の名は霧雨魔理沙。普通の魔法使いを名乗る霊夢の友達でもある。今日も紅魔館で本を借りて(という名の窃盗をして)きたのだ。
そこへ誰かが声を掛ける者がいた。
「おーい、魔理沙―!」
「ん?あれは、慧音じゃないか」
魔理沙に声を掛けたのは、上白沢慧音。人里で寺子屋を開いており、子供たちに勉学を教えている。急ブレーキをかけ、魔理沙は、慧音の元に降り立つ。
「珍しいな、慧音が私に声掛けるなんて。何か用があるのか?」
「用とは少し違うが、忠告だな。最近この辺りで盗みが多発しているらしいから、お前も気を付けろよという事を伝えようとしたんだ」
「何だ、そんな事か。ちなみに被害はどのくらいなんだぜ?」
「一応記録は取ってある。そうだな・・・200万といった所だな」
その額を聞いた魔理沙は驚きのあまり、暫く声が出なかった。
「に、に、200万!!何でそんな盗られたんだぜ!人里の連中は馬鹿が多いのかよ?」
「そんな事を言われても、1人1人の盗られた額が小さいから、誰も気にしていないのだろう」
魔理沙は少し気に入らない様子だったが、反論はしなかった。
「まあ、慧音が言うなら別にいいか」
魔理沙は箒に乗り、博麗神社へと向かった。
少し書き溜めてあったので、暫くは早い更新ペースで更新できます。
そういえば、鎌霞団の読み方を書いてませんでした。
鎌が霞むと書いて、鎌霞団(れんげだん)と読みます。
読めなかった人はごめんなさい、注意を怠りました。
では、今後とも宜しくお願いします。