東方鎌霞団   作:カトブレパス

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神楽庵の過去のお話です。

鎌霞団の方が主人公としていますので、2章からは千里主軸に動いていきます。


第18話 神楽庵の過去(1)

 

3日後

 

 

数日前とは打って変わって騒がしい博麗神社。今日もまた、宴会が開かれているのだ。

 

「お~い、千里。お前も飲めよ」

 

「いや、僕はお酒飲めないんです。まだ二十歳越していないので」

 

「そ~ですよ~。せんりさんものみましょ~よ~」

 

横から口を挟む庵。何やら酔っぱらっているらしい

 

「うげっ、庵お前。相当酒臭いぞ。一応、お前未成年だろ。さては此処の住人に無理やり飲まされたな」

 

此処の住人は宴会をしょっちゅう開いているらしく、急な誘いにも関わらずにあっという間に集まってしまう。

庵の酔っぱらった原因は、鬼の四天王である伊吹萃香に早速捕まり今に至るという事だった。

 

「そう言えば、千里ってあの時本気じゃなかったのよね?てっきり私は殺しにかかってくるものだと思ってたけど」

 

霊夢の質問に、何時も通りのニコニコした表情で答える。

 

「それは鎌霞団の理念に反しますので殺しはしませんよ。先に言いますが、鎌霞団の団員の殆どが人間や妖怪を自らの手で殺してしまった者なのです」

 

「ええっ!もしかして、庵って子も?」

 

明るくて活発、誰にでも好印象を与える。そんな庵も、一度は人を殺めてしまったと聞いて霊夢は酷く驚いた。

さも当然かのように千里が頷く。

 

「ええ、あの子もあちらの世界の高校で一クラス全員を能力を使って殺しました・・・。この話は庵自信が話してくれました。さて、何処から話しましょうか・・・」

 

 

1年前

 

ある日1人の少女、萩原美里が自宅で首を吊った状態で発見され、病院へと搬送されたが、20分後息を引き取った。

自殺と判定され、原因は集団による虐めだと警察は判断した。

 

県立白夜高校 屋上

 

「これで、復讐終わったよ・・・先輩。あ、美里ちゃんだったね」

 

滝の様な雨が先程から降っており、そんな中に白夜高校指定の制服を着た1人の少女の姿があった。

その少女の名は、神楽庵。高校1年生で、弓道部に所属している。

そんな彼女は屋上の淵に立って、地面を見下ろす。

 

「私もすぐそっちに逝くからね。天国でも友達になってくれる?ねえ、美里ちゃん」

 

自分が飛び降りようとした瞬間、誰かの声が聞こえる。

 

「止めた方がいいよ、自殺なんて。その先には苦しみしかないよ」

 

これが僕と千里の出会い。この事件は2ヶ月前に遡る。

 

 

ある少女はクラス内で、虐められていた。

幾ら教師に相談しても助けてはくれなかった。たった1人を除いて。

 

 

白夜高校 屋上

 

「ねえ、美里先輩。虐めの事先生に相談しました?」

 

この子は神楽庵さん。こんな私を慕ってくれる弓道部の後輩であり、私の数少ない心を許せる人物でもある。

 

「ええ、したわ。でも我が校に虐めは無いって断言されちゃった・・・」

 

「そんな!先輩はこんな酷い虐めを受けてるってのに!」

 

「ふふっ、もうその話は止めましょ。あと先輩は無しって言ったでしょ?」

 

私に指摘をされた庵さんは、しどろもどろに言った

 

「み、み、美里・・ちゃん・・・」

 

「そう、宜しい。私達は友達なんだから先輩後輩はなし。分かった?」

 

庵さんは顔を頬を赤く染めて小さくはいと返事をする。この仕草が可愛くて仕方ない。

こんな日常が何時までも続けばいいと思っていた。

 

 

白夜高校 トイレ内

 

「おい!いい加減金は持ってきたんでしょうね!出さなきゃ終わると思ったら大間違いだからね!!」

 

何時も通りに私は2階のトイレで虐めの主犯のグループに恐喝を受けていた。

日に日に金額は増してゆき、遂には10万という大金を要求された。

 

「ちっ!埒があかない。お前ら、こいつの服を脱がせな!」

 

「先生、こっちです!生徒が恐喝されてますよ!」

 

その現場を目撃した生徒が大声を上げる。

1人の女子生徒が狼狽する。

 

「拙いっすよ、夏帆さん。先公が来ますよ」

 

「ヤバいな。こうなったら逃げるしかねえ!お前ら、行くぞ」

 

リーダーの女子生徒が号令をかけ、一斉に逃げ出す。

 

「危なかったですね。美里ちゃん」

 

その生徒はなんと庵さんだった。何故2年の階にいるんだろう?という疑問が浮かぶ。

 

「ふふふ、美里ちゃんの帰りが遅かったから何かあったのかと思って2階を見回ってたんです。如何です、凄いでしょ」

 

如何やら私を心配してくれたらしい。何とも庵さんっぽい。

その日は庵さんと一緒に帰った。庵さんの家は私の家と逆方向だが、如何しても今日は一緒に帰りたいのだと庵さんが駄々をこねたので、こうして一緒に帰っている。

だけど、この日常は儚くも崩れ去る。

 

 

3日後 隣町の公園

 

 

僕、神楽庵は何時も通りの集合場所で先輩と待ち合わせをしていた。

週末はこうして一緒に出掛けていて自分では結構仲がいいつもりだ。

そんな時、僕の携帯が着信音を知らせる。

 

(誰だろう?あ、美里先輩か)

 

僕は電話にでる。この電話が最後の先輩との会話になるとも知らず。

 

「もしもし、美里ちゃん?如何したの?」

 

{・・・・・・・・・・}

 

(あれ?返事が無い。この番号は・・やっぱり先輩だ)

 

{庵さん、今まで仲良くしてくれてアリガトウ}

 

「・・・え?な、何言ってるんですか!?」

 

{庵さんには申し訳ないけど、私はこんな世界じゃ生きていけない。だから私は、死を選択するわ}

 

「せ、先輩。冗談は止めて下さいよ」

 

{冗談でこんな事は言わない。私はこの世界が憎い。こんな世界を創った神様が恨めしい。だから私は死ぬ。でも庵さんには復讐なんてしてほしくない。私が好きだった庵さんにそんな人になってほしくない。・・・でも最後にこれだけは言わせて。}

 

少しの間を開けて、再び話し始める。

 

{庵さんに出会えて私は頑張れた。私が居なくなっても、貴女には生きていてほしい。私の最後の我儘。・・・お願いね}

 

先輩がそう言った後、電話の向こうからグウッという先輩の最期の言葉が聞こえた。

 

次の日 白夜高校 2-C

 

「今朝、萩原さんが自宅で首を吊っているのが発見された。君達、心当たりは無いか?」

 

教室は少しざわついたが、突然笑い声に包まれる。

 

「やっとくたばりやがった、あの女!時間掛かったな、おい!」

 

クラスメイトの目的は、目障りだった萩原美里を追い詰めて自殺に追い込むものだった。

担任は言葉の意味を理解していたが、咎めずにHRを終わらせる。

萩原美里はクラスメイトによって殺されたという噂は当然、庵の耳にも入ってくる。

 

 

放課後 隣町の公園

 

庵はその場所で何時間の立ったままだった。その目は絶望に染められていた。

そんな庵の心を見透かしたかの様に、土砂降りの雨が降ってきた。

突然空に向かって庵は絶叫し、慟哭にも似たその叫びは庵の感情を表していた。

先輩の虐めを止められなかった自分を呪い、先輩を虐めた全ての人間を殺したいとまで思った。しかし、先輩に復讐は止められていた。

 

(畜生っ!!こんな風になっても、復讐はいけない事なのかっ!!)

 

そんな庵の気持ちに応え、庵の中のある力が目を覚ます。

 

ジャングルジムが歪んだ。

 

滑り台が崩れた。

 

鉄棒が捻じれた。

 

庵はいつの間にか自分の周りの遊具が全て壊れている事に気付く。

 

(これは・・・!何で遊具がみんな壊れているんだ!まさか、これは全部僕がやったことなのか?)

 

そう思うと庵は自分の手に力を込める。すると、その力に反応するかの様に、砂場の砂鉄のみが庵の手にくっついた。

 

そう、庵の開花した能力は「磁場を操る能力」

 

自分の力と、その用途に気付いた庵は、この力を使って全クラスメイトを抹殺する事を決意する。もともと頭は良かったので、直ぐに方法を思いつく。

 

庵の顔が狂気に歪む。この時の庵は既に全てを殺す方法しか頭に無かった。

 

 




本編が重くなってしまったので、一言。

ヤッター、ホーンテッド・キャンパスの新刊出たどー。

作者はホラー小説好きです(ガチのホラーではなく、軽めのね)。おすすめ等があったら、教えて下さいね。
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