六花で吠える太陽の牙狼   作:graphite

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プロローグ

 

「どこにいるんだよ特待生............」

 

俺、牙山陽翔はここ水上学園都市「六花(アスタリスク)」にある星導館学園高等部の生徒であり副会長でもある。副会長職など本当は面倒だからやりたくはなかったのだが会長の腹黒女が無理やり仕事が大変だとほざいてねじ込みやがったのだ............いつか絶対泣かす!

 

はぁ.........とは言ってもここに来た時に色々とよくしてもらったためか頭が上がらないのは事実ではある。現に今もアイツのお使いで特待生を待っているわけだが一向に現れない。集合時間を五分しか過ぎていないのでそう言うのも酷かもしれないが正直初めて六花に来てると聞いているから迷っているのではないかと考えてしまう

 

(俺の能力で探すしかないか...........)

 

因みに俺は魔術師(ダンテ)である。能力は時空間支配であり、その力でできることの一つに一定領域内で対象を探知することができるのだ。と言っても探知できる領域内にいればの話ではあるため領域外にいれば俺には打つ手はない

 

領域追跡(エリアディテクト)............対象〝天霧綾斗〟」

 

特待生の名前は天霧綾斗。事前に腹黒から聞いていたプロフィールと顔写真の情報を元にして領域内に合致する存在がいるか探っていると................

 

「いた。ギリギリ探知範囲内だったな.........さて、いるのは女子寮の方だし少し離れてるから移動される前にさっさと迎えに――」

 

ドカアァン!!!

 

足を向けると同時に爆発音が丁度向かおうとしていたほうから聞こえた。朝っぱらから決闘か?

 

(なんか面倒なことになりそうで嫌だな..........)

 

こんな朝に爆発音なんて聞けばそれは当然抱くであろう感想だろう。だが、仮にも生徒会に所属する身だ。最近変な奴がいるらしいし放置するわけにはいかない。何より放置すればあの腹黒に何を言われるかわかったもんじゃない

 

 

そうして陽翔は爆発音のしたほうへ駆けていくのであった

 

 

***********

 

 

陽翔が探知した場所の近くに行くと何やら生徒たちが決闘がどうのと盛り上がっていた。まさかとは思いながらももう一度探知すると................

 

(うわぁ..........天霧の奴早速決闘してるし。しかも相手が姫さんとはな........止めるにしても放置するにしてもどっちも面倒でしかないなコレ)

 

止めれば恐らく姫さんがこちらに噛みついてくるだろうし、天霧ごとまるまる放置すれば腹黒に何させられるかわからない.........

 

(..............まぁ、取り合えず火傷程度で済みそうなら放置して、どっちかが大怪我しそうなら止めるか)

 

少し考え込むと特待生の実力にも興味があるし、ある程度やらせておけばいいかと言う判断に陽翔は行きついた。

 

そうして観戦していると気が付いたが天霧は天霧辰明流の使い手であった。昔、古流剣術なんかを学んでた時期がありそれで知っている。天霧の姓からして恐らくは本家あたりの人間なのだろう。

 

(天霧の奴は相当強いな...........でも、動きに違和感がある)

 

姫さんの攻撃を捌いているそんな動きを見て陽翔はそう感じる。恐らくは姫さんも何か違和感は感じているだろう。天霧の動きはまるで何かに無理矢理制限されたようなちぐはぐさを感じさせるのだ

 

そしてそんな天霧を試すかのように姫さんが六弁の爆焔花(アマリリス)を放つ。それを天霧は躱すでなく剣で切り裂く腹積もりの様でいるところで陽翔は茂みに隠れる黒いローブを纏ったナニカに気が付く

 

(何だアイツ...........ってまさかッ!?)

 

陽翔はすぐに銃剣を取り出すと決闘が行われている場に飛び出る。すると予想していた通り黒ローブはボウガンタイプの煌式武装で姫さんめがけて攻撃が行われる

 

天霧と姫さんの間を駆け抜け一瞬で射線上に躍り出ると陽翔は放れた一矢を切り払い照準を合わせ呟く

 

装填(セット).......」

 

その瞬間銃剣に黄金に輝く太陽が如く炎が灯る

 

そして、陽翔は容赦なく撃鉄を落とし炎弾が放たれる

 

ドカァン!!!

 

爆音とともに茂みが燃え上がる。対人なら明らかに星脈時代と言えど過剰攻撃で殺しかねない威力だが、飛び出たときに気づいたが疑形体(パペット)だったし問題ないだろう。

 

(アルルカントか?まぁ、それは後でいいか.......それより特待生と姫さんの方だが)

 

疑形体(パペット)はひとまず放置として後ろを振り返るとそこでは天霧が姫さんを押し倒して胸を鷲掴みしていた。

 

状況が状況なだけに姫さんの怒りはごもっともだが天霧の心情も理解もできる。だからこそこれ以上騒がれれば俺が面倒なだけな為権力をふるわせてもらうとしよう

 

「不撓の証たる赤蓮の副総代の名の下においてこの決闘を破棄する..........さて、騒ぐのはそこまでにしてくれ姫さんに天霧」

 

「その呼び方はやめろと言っているだろう牙山。それになぜ決闘を止り消す!」

 

「悪い、悪いユリス。決闘を止める理由は腹.....じゃなくてクローディアが天霧に用があるからだ。こいつはまだ最後の転入手続きが済んでないからその後にでも自由に焼いてくれ。あと、俺に迷惑が掛からない場所で頼むぞ?後始末とか面倒なことしたくないし」

 

「うっ......わかった、こいつは後で焼く」

 

「ちゃんと止めてくれないの!?」

 

天霧が至近距離で大きな声で突っ込んで来るため煩い。大体ここで俺が無理くりユリスに矛を納めろとか言ったらあとで俺が面倒になるでしょうが

 

「事故とはいえ自業自得だ。ユリスだって女なんだからそりゃデリケートな問題だし怒って当然だろ?」

 

「.........おい待て!お前私を何だと思ってるんだ!」

 

「未だにパートナーが決められないボッチ」

 

「ぐっ.......一言余計だ!!」

 

「まぁ、さっさと相手見つけろよ?もう締め切り近いしな.........さて、天霧は腹黒.............クローディアのとこに連れてくからユリスは教室行っててくれ」

 

俺はユリスにそれだけ伝えると集まっていたギャラリーを帰してから天霧しかいなくなったところで能力で火を消す

 

空間圧縮(クラッシュ)

 

空間圧縮(クラッシュ)は空間を一点に収縮させて潰す技。これで燃えついた茂みごと圧縮して消し飛ばしておいた。対人では普通に殺しかねない技なうえ下手にやりすぎるとブラックホールを作りかねない危険すぎる技であるため実戦では一度も使用したことがない。

 

「な、なにしたの?」

 

「ん?火を消しただけさ」

 

(火を消したって...........地面まで抉れてるけど)

 

火を消すだけにいささか過剰なのではと言う感想を抱く綾斗だが実際のところそれは陽翔もわかっている。だが消すには陽翔のとれる方法はそれだけであるため仕方ない。まぁ、あとで金を払わなくてはいけないのがネックだが必要経費としておこう

 

 

*****************

 

 

「連れてきたぞクローディア」

 

生徒会室の扉を開けて俺がそう言うとクローディアは書類整理をしてたらしく机でペンを走らせていた

 

「お疲れ様です陽翔。ですが........後で私のことを何度も腹黒呼ばわりしたことについてじっくりとお話ししましょうね?」

 

「なんでわかったんだよ.........てか、お前だって自分でそう公言してるじゃねぇか。確か『暗黒物質を煮立てて焦げ付かせたものをブラックホールにぶちこんで黒蜜をかけたくらいには真っ黒』だったか?」

 

「あらよく覚えてますね?流石は序列二位《太陽の牙狼(ソレイユ・ルー)》と言うべきでしょうか?」

 

「序列関係あるかそれ?」

 

二つ名の由来は俺の純星煌式武装である。あれが太陽を模したものでもある上双剣での戦いがまるで獲物に喰らいつく狼の様だなんだと意味の分からない理由でそう呼ばれるようになった

 

「えっと.......牙山君は序列二位なんだ?」

 

「まぁな。それと俺のことは陽翔でいい。同い年だし同じクラスなはずだから気軽に接してくれればいい」

 

「わかった。僕のことは綾斗でいいよ」

 

「了解っと.........あと次いでにそこの奴はここの会長で序列三位のクローディア・エンフィールドだ。腹黒だから気を付けたほうがいいぞ?」

 

「もう少しまともな紹介をしてくださいハル」

 

作った表情で怒こってますといったように頬を膨れさせるクローディア。計算ずくなとこがホントコイツは腹黒い

 

「ならもう少し俺に回す仕事減らしてくれ...........大体なんで生徒会の人員増やさないんだよ?会長と副会長だけとかブラックすぎるだろ」

 

「あら?貴方がいれば大抵の仕事が回るのに他の人員なんて必要ないと思いますが?」

 

俺がため息交じりにそう言うとすっとぼけたようにクローディアが返す。いつもの事ながら本当にいい加減人員増やせよと思っていしまう

 

「昼寝の時間が無くなるだろうが。それにソルのチャージだって必要だしな」

 

「昼寝って............でも陽翔ソルって?」

 

苦笑しつつも綾斗は疑問に思い問いかける

 

「あぁ........俺の純星煌式武装の事さ。さっきの銃剣がそれなんだがアレを一発撃つにはだいたい三分くら日光に当てとかなきゃいけないんだ。だから昼寝の時間は重要なわけ」

 

「へぇ.......純星煌式武装って面白いね。そんな特性があるんだ」

 

「代償が重いのもあるから一概に面白いのだけじゃあないけどな。さて、クローディア。俺は先に戻ってていいか?」

 

「はい。また放課後書類整理頼みますね?」

 

「嫌だ.........と言いたいがわかった。そんじゃ綾斗先戻るわ」

 

 

*****************

 

 

「ん~.............珈琲でいっか」

 

綾斗を送り届けまだ始業には時間があるため飲み物でも買おうと俺は自販機まで来ていた。ぶっちゃけこのまま芝生に寝っ転がってさぼりたいけどウチの担任おっかないからなぁ~

 

陽翔はそんなことを考えながら教室へ行こうとすると............

 

~♪君に届け 愛の詩 僕らだけの 合言葉♪~

 

突如着メロが流れ始める。この歌を歌ってるのは知らぬ者はいないであろう彼の世界の歌姫........そして、この着メロに設定している相手は——

 

『おはよ~ハル君!』

 

「おはようシルヴィ」

 

その当の本人であるシルヴィア・リューネハイムだ。空間ウィンドウに映し出されるその紫の髪と息をのむほどに整った顔立ちには何度か直接会ったりこうして連絡を取り合っていても見惚れてしまう。

 

彼女とは偶々知り合うことになり、それ以来気の合う異性の友人と言った関係で仲良くしている。一ファンでもあった俺としてはこうして話せる日が来るなんて今でも信じられないくらいだ

 

「確か今シルヴィってツアーだったよな?どうかしたのか?」

 

『そうだよ~丁度さっきリハが終わって本番まで時間できたから連絡してみたの。特に理由はないけどハル君と話したいな~って思ったんだ。時間大丈夫?』

 

「問題ないよ。まだ始業までは余裕あるし」

 

『そっか!じゃあじゃあ今回のツアー先でのことなんだけどね!——』

 

彼女はこうしてよくツアー先でそこでの料理が美味しかったとか景色が綺麗だったとかいろいろと楽しそうにそんなことを教えてくれるのだ。偶に大変だったと愚痴を聞くこともある。どんな内容にしろこうして彼女の話を聞き笑いあうこの時間が俺は好きだ。彼女もそうであってほしいなんて思ってしまうわけだがそれはファンとしては失格かもしれない。

 

彼女のキラキラと輝く笑顔と共に語られる話にこちらも相槌を打ち時に笑い、驚いたりと会話を楽しむ。そんな楽しい時間はやはり過ぎ去るのは早かった

 

 

 

『それでね?スタッフさんが.....「シルヴィアちゃん準備お願いしまーす」.....あっ、はい!』

 

時間にして30分程だろうか。体感としてはそうは思えないほどに話に熱中していたらしい。そしてどうやら彼女の出番が本当に近いらしくスタッフが呼ぶ声がこちらにも聞こえる

 

『むぅ......まだまだ話したらないんだけど仕方ないか。私行かないと』

 

ムスッとした表情を浮かべるもすぐに彼女は切り替えると歌姫モードになった様だった

 

「ライブ頑張れよ。俺も応援してる」

 

『ふふ、ハル君に応援されて元気出たよ!頑張ってくるね?』

 

俺はいつも通り彼女にありきたりではあるが激励の言葉を口にすると、彼女もいつも通り元気な笑顔でそう言ってくれる。その言葉に俺は嬉しくもあるが内心照れる気持ちもあるわけでこういう所がホント美人ってずるいと思う

 

「.....あぁ、いってらっしゃいシルヴィ」

 

『行ってくるであります!なんてねテヘッ......それじゃまたライブ終わってから連絡するね?』

 

「了解。楽しみにしてる」

 

可愛らしい冗談じみた返しをしてまたと約束すると俺も楽しみにしてると伝え通話を切る。

 

すると、陽翔の方も早く教室に行かなくてはいけない時間になっていた。心の中で彼女のライブが成功することを祈りながら足早に教室に向かっていくのであった。

 

 

 

 




オリ主:牙山陽翔(きばやまはると)

性格は真面目ではあるが堅物と言うわけではなく割りに気さく。だが、面倒事はそれほど好まないためクローディアに生徒会の仕事を押し付けられるのは勘弁してほしいと思っている。序列は開始時点直ぐに一位になれるだけの腕はあるものの余り気にしてない為現状クローディアが陽翔の実力の見たさ故にした決闘でなった二位どまり

星導館学園高等部
序列二位(物語開始時点)→一位
二つ名《太陽の牙狼(ソレイユ・ルー)

能力:時空間支配
文字通り空間に由来する能力の使用ができ、一定領域内での事象をある程度支配できる。
能力の例として物や人の入れ替え、物や自身または他人瞬間移動、一定領域内における幻術などを無視しての対象の絶対補足など

純星煌式武装
ソル・フラマ(銃剣型*イメージとしてはエミヤオルタのような物)
二つで一つの銃剣型純星煌式武装。片方だけでも使用可能。放たれる炎弾の威力は高く、通常でも四色の魔剣レベルの純星煌式武装でなければ防ぐのは難しく本気の一発であれば純星煌式武装中最高火力ともされている。代償は起動時に大量の星辰力が必要であり、さらに銃として使うには一定時間日光を浴びて力を蓄積させている必要がある。威力次第ではあるが一発当たり平均3分の日光は必要で、最高威力の場合は一発当たり一時間分の日光で得られるエネルギーを使用する。

クロノ・ギアス(両刃片手直剣)
起動してから経過時間に応じて自身やその他武装のあらゆる能力を強化する。代償は自身の寿命で1秒当たりの起動で5秒の自身の寿命を代償とする。また、一定以上の自身の寿命を犠牲に誓約をすることで超大幅強化が可能。ただし、その場合は最小でも一年分以上の寿命の代償が必要となり、誓約が履行できなかった場合追加でさらに寿命を削ることになる。

戦闘スタイル
基本はソル・フラマによる銃剣の二刀流スタイルであり、能力を生かした正確な射撃と高い身体能力を生かした近接戦闘が得意。陽翔個人は剣の方が好きで得意でもある。またどうしても譲れない場合での本気の戦闘時はクロノ・ギアスとソル・フラマを片手ずつに握る変則的な二刀流になる。だが、使用している場はほとんどないためそもそもクロノ・ギアスを所持してることさえ一部の者しか知らない

メインヒロインは自分が大・大・大・大好きなシルヴィでサブヒロインで可愛いくて守ってあげたくなるキャラ筆頭の綺凛ちゃんの予定です。銃剣の二刀流はエミヤ・オルタの影響です。銃剣の二刀流なんてカッコいいに決まってますよね?なら使わせたくなるのが男の性ですよね?

次回はシルヴィとオリ主の出会いの回想予定です。ただ更新は不定期になるのでいつになるかわかりませんが続ける気はあるのでよろしくお願いします
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