六花で吠える太陽の牙狼   作:graphite

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新しい日常

 

 

「おっす!副会長さんよ」

 

「うっす、夜吹」

 

俺が教室に入ると話しかけてきたのは夜吹英士郎という男子生徒だった。彼は新聞部で情報屋としては優秀なのだがいかんせん下世話な噂を流したりするので要注意人物だったりする。

 

「教室来るの遅かったな~なんかあったのか?」

 

「特待生を生徒会室に連れてくついでに飲み物買いに行ってたんだよ」

 

「あぁ~今朝の奴な。ぱっと見いい感じに強さうじゃんアイツ」

 

「だな。冒頭の十二人(ページワン)に入れるくらいはあるんじゃねぇか?」

 

そんなふうに適当にやり取りしてると............

 

「てめぇら席着けーHRすんぞー」

 

そう言って肩に釘バットを担いで現れたのは我らが担任谷津崎匡子先生だ。その後ろには綾斗もいる

 

先生の一言で全員がすぐに席に着くとHRが始まった

 

 

「あー、特待生の天霧だ。テキトーに仲良くしろ。..........ほら」

 

先生はおざなりな紹介をするとすぐにお前からも何か言えと言うように天霧に視線を向ける

 

「え、えっと.......天霧綾斗です。よろしく」

 

相手は特待生なだけありクラスメイトの面々はいろんな含みのある視線を彼に向けている。

 

「席は.....丁度いい。火遊び相手の隣だ」

 

「だ、誰が火遊び相手ですか!!」

 

先生の茶化す様な言い方に顔を赤くして抗議するユリス。

まぁ、事実なわけだし朝からあんなことすれば事情があれどそう呼ばれても仕方ない

 

「お前以外誰がいるんだよリースフェルト?朝っぱらから派手にやらかしやがって。売られたらならまだしも、お前から吹っかけてんじゃねーよ。ウチはレヴォルフじゃねーんだぞ」

 

(まぁ、ごもっともなわけだが.........先生の出身はレヴォルフなんだけどな)

 

内心そうんな感想を抱いてると.........

 

「おい、牙山.........何か言いてぇことがあるなら聞くが?」

 

「..........何のことですか?」

 

何か知らないけど考えてることがバレてるし...........こえぇ

 

 

*********************

 

 

綾斗はユリスとそれから貸だのどうだの一悶着があったのちに今度は放課中、クラスの奴らから質問攻めにあい位置にを終えた。俺はだって?放課中に俺はクローディアから端末に送られてきた書類作成と整理をして綾斗が困惑しているのを見て見ぬふりをした。仕事をするなら早く終わらせて後が楽なほうがいいからな。綾斗を助ける必要もないだろうし

 

 

そんなこんなで授業も終え、生徒会室で軽めに最後の確認と仕事を終わらせ寮に帰ろうとしていると.........

 

 

「綾斗お前そっちは女子寮だぞ?」

 

「あっ、陽翔。ありがとう道がわからなくって助かったよ」

 

寮へ戻る道の途中男子寮とはあらぬ方向へ行こうとする綾斗を見つけ声を掛ける

 

「案内図とかよく確認しとけよな。また朝みたいな面倒ごとになっても助けないぞ?」

 

「あはは.......って、朝の僕全く助けられてないよね?」

 

そう言えばあとで焼かれればいい的なこと言ったけ

 

「それはまぁ..........うん。取り合えず寮まで案内してやる」

 

うやむやにして寮へと足を向けると..........

 

「何で新参者なんかと決闘しやがった!!!」

 

突如聞き覚えのある大声が聞こえてきた

 

「今のって..........?」

 

綾斗が困惑しながら俺に尋ねる

 

「.............面倒だから聞こえないってことで無視して.........でもなぁ~襲撃者の件もあるし放置するほうが後が面倒だし...........仕方ないか」

 

俺はぶちゃっけ誰だかわかるし面倒だから無視しようと思いかけたが、今朝の件もあるし渋々取り合えず様子だけは見行くことに決める

 

「僕もついていっていいかな?」

 

「........まぁ、いっか。面倒ごとになったら生贄はなるだろう」

 

「僕をサラッと見捨てる気だ!?」

 

「冗談だ..........半分はな」

 

馬鹿みたいなやり取りをしながら騒ぎの中心へと近づき、木陰に身を潜め様子を窺うと俺の予想通りの人物がいた

 

「答えろユリス!!」

 

「答える義務はないな、レスター。我々は誰もが自由に決闘する権利がある」

 

大柄の男レスター・マクフェイルが大声で怒鳴り散らすのに対し、ユリスは毅然とした態度でひるむことなく淡々と対応をする

 

「陽翔。彼らは?」

 

「あの大柄のは序列九位レスター・マクフェイル。んで太ってるのがランディ・フック。ガリがサイラス・ノーマン」

 

「ふーん.........何でレスターはユリスに突っかかってるの?」

 

「公式序列戦で三度負けて、ルールに則り指名できなくなったからだ。だから決闘を何度も挑んでるんだがユリスがそれを受けないからどんどんヒートアップして今じゃあんな恫喝まがいな感じなのさ」

 

「そうなんだ..........でも序列九位ってことは強いんだよね?」

 

「まぁ.........弱くはないがユリスとは相性最悪だからな。負けても仕方ないとこはあるが本人はそれがプライドのせいで認められないんだろうさ」

 

様子を窺っているとどっちも手が出そうなのでいい加減止めるべきかと判断し綾斗を連れ茂みから出ることにした

 

「悪いがそこまでにしてくれ.........主に面倒だから」

 

「てめぇ!?牙山!!!」

 

俺がぼやきながら綾斗と出ていくと今度は俺に敵意丸出しで睨みを利かしてきた

 

「はいはい生徒会の牙山ですよ~っと...........レスター最近《鳳凰祭》参加者候補が襲われてるの知ってんだろ?こんなことしてっと疑われるぞ?」

 

「うるせぇ!!テメェも気に入らなかったんだ!!ここで決闘しやがれ!!」

 

あぁ.........そういや俺も一時期決闘しろって付きまとわれたっけ。生徒会に入って面倒事が増えたので完全に忘れてたわ

 

「やだよ.........だってお前公式序列戦で俺に三度負けてるだろ?お前の事別に弱いから断るわけじゃないが今やったところでそんな状態のお前が勝てるわけないだろ」

 

冷静さを欠いた相手程やりやすいものはない。だからこその陽翔の発言。本心では5割くらいはめんどくさいからとか考えてたりするが

 

「不味いっすよレスター!相手は生徒会だし下手に手を出せば問題になるって!」

 

部下にそう言われレスターは渋々といった風に去っていった。面倒事だが十分な収穫もあったわけだし良しとしよう

 

「災難だったなユリス」

 

「全くだ..........だが趣味がいいとはいえんな覗いてたのか?」

 

「襲撃がないとも限らなかったしな。面倒事は俺も避けたかったが友人が怪我をするのは忍びないからな」

 

「馬鹿を言うな。大体私が友人と等嘘つくな。大方クローディアに何か言われてたのだろう?」

 

「こりゃ手厳しい。俺だって面倒事は大っ嫌いだがそれ以上に友人が傷つくのは嫌いなんだぜ?」

 

「ふん!全く貴様はいつも適当な事を言う。そもそも私はお前を友人とは思ったことがないんだが」

 

「ひっでぇ~そう思わないか綾斗?」

 

「あはは..........でも、ユリスって確かペアがいないから《鳳凰祭》エントリーできてないんでしょ?なら陽翔と組めばいいんじゃないの?」

 

綾斗は二人を見て別段酷く仲が悪いと言う事もなさそうだしいないなら二人で組めばいいのにと暢気に考えていた

 

「冗談にしては笑えん.........それにコイツはもうペアもいる」

 

「ん?あぁ、それならペア解消になった」

 

「む?そうなのか?」

 

俺も元々《鳳凰星武祭》に出場予定だった。だが、エントリーが始まる前日にペアで出ようとしていた相手に断られてしまったのだ

 

「因みに陽翔は誰と出ようとしてたの?」

 

「クローディアだ。ぶっちゃけこの学園で組めるとしたらアイツくらいしかいなかったし」

 

なんだかんだ一番付き合いが長く、お互いの手の内をよく知っているのがクローディアだけだった。仕事が入ったとは言われたが断られた〝本当の〟理由についても大方察しが付く。

 

「お前朝私にボッチだの言ったが.......お前も人のこと言えぬではないか!!」

 

「いや、俺友人はいるぞ?確実にユリスよりは間違いなく」

 

「ぐっ........」

 

「ならなおさらユリスは陽翔と組めば..........」

 

「こいつは悔しいが私より強い。だがこいつは真剣さに欠けるから組みたくないのだ!!」

 

俺は基本的に魔術師(ダンテ)としての能力をあまり使わない。それがユリスにとっては自分が舐められてると受け取られてしまった事が原因である。使わない理由は単純に本命である《竜王祭》に備えて手札を見せたくないからである。それに俺の純星煌式武装は強い。もう一個は代償が重いからあまり使用しないが、ソル・フラマは一発の威力は言わずもながら剣として使うのにも下手な純星煌式武装なんか目じゃないほどに切れ味や耐久性に優れている

 

「真剣さ..........でも陽翔ってめんどくさがりだけど不真面目ってわけじゃないよね?」

 

「...........わかっている。これは単に私の意地だ。こいつは能力なしで私をあしらったのだそれが気に食わんだけだ」

 

「綾斗からは意外な高評価だな~まぁ、それに関しては元々俺は二つ名の通り能力メインじゃないしな。寧ろ能力を使ったほうが弱いまである」

 

「戯言を........聞いたぞ。クローディアからここに入る前星猟警備隊でその能力で随分と活躍したそうではないか。当時は顔を隠していたため本名も顔もわからずだが空間系の能力を有した双剣使いの隊員がいたとな。一時期ネットでもそれなりに話題になっていたがまさかそれがお前だとは聞いた時は驚いたものだ」

 

「えぇ!?星猟警備隊!?陽翔ってそんなとこに......」

 

ユリスがとんでもないことをカミングアウトしてくれやがった。てか、クローディアの奴勝手に俺の事調べた挙句に勝手に言いやがって...........

 

「お前ソレ絶対に他の奴に言うなよ?下手な因縁つけられかねんし俺の能力のほとんどがバレかねん」

 

あの時の俺は鬼師匠に教えられた剣技の実践と能力の対人使用の練習も兼ねていたためかなり能力の手の内を出してしまっている。しかもそれだけじゃなく下手に正体が知られでもしたら街を歩けば取り締まりで因縁があるマフィアに目を付けられかねない

 

「ならば嘘をつけばいいだろうに...........変なところで素直だなお前は」

 

「バレてるなら隠すより認めて口止めするほうがいいに決まってるだろ?てかアイツ口が軽すぎるだろ.........」

 

クーロディアはシルヴィを見習ってほしい。アイツにまだシルヴィとの関係がバレてないのは救いだがこれはバレないようにしないとバレたら後が怖い.........

 

そんな事を考えてると思い出した.........シルヴィのライブの終了時刻を。確か今日は............

 

「やべッ!悪い綾斗俺用事思い出したから寮まではユリスに案内してもらってくれ!そんじゃ!!」

 

「え!?は、陽翔!!」

 

ライブはシルヴィに聞いてた予定を思い出す。確か午前中にリハを済ませ昼頃から始まって終わるのは大体授業終了時間ジャスト。それから握手会なんなりと宿泊先のホテルまでの時間を大体で概算すれば

 

(もうすぐ電話がかかってくる!部屋に戻ってからじゃないと誰かに見られかねない!!)

 

朝はほとんどの生徒が教室にいたし、自販機の近くは人通りがとても少なく建物で死角になりやすいからいい。だが、ここから近くに死角になりそうな場所もないためもしそんなところ誰かにでも見られれば真面目にヤバい。

 

その後俺は何とか電話がかかってくる前に部屋に戻ることに成功した。世界の歌姫とプライベートの付き合いがあるなんて知られたら俺じゃなくて彼女がマスゴミの被害を受けかねない...........

 

(マジで危なかった........)

 

 

 

 

 

 





久しぶりのアスタリスクの投稿です。よう実の方もゆっくりやっていきたいと思います。最近あんまり投稿出来てなかったのでロクアカがメインになると思いますがのんびりと進めていくのでこれからもどうかよろしくお願いします。
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