最初から詰んでる無機物転生〜糞飲料しか売れない自販機の物語〜 作:自販機
「エ、ソンナニイルン?」
廃墟の中で、ドローンと自販機が何処からともなく声を出して会話をしている。
「いるいる。お前そんな山奥の廃墟に閉じこもってるから知らなかったんだろ。もっと我みたいに世に羽ばたかなきゃ」
「イヤオレウゴケナインダガ!?」
「…強く生きろ」
ドローンからくす玉のようなものが生えて来て、ぱかっと開く。
…舐めてんのかこいつ。
「いや、流石に動けないのは可愛そすぎるな…待ってろ助けを呼んでくる」
ドローンは高速で空へ飛び立った!
「イヤチョットマッテオレヲヒトリニシナイデエエエエエ!?」
廃墟の中に一人ポツンと取り残される自販機。
黄昏に照らされるその背中は、廃墟の雰囲気とも相待って、哀愁に満ちていた。
そして数日が経過した…
その間、人は一人も来ることはなかった…
廃墟の中で、誰とも話すことなく、動くこともできない。
暇を持て余し、床のタイルを数える遊びにも、空の雲を数える遊びにも飽きてしまった。
ちくしょう。あいつ俺のこと見捨てやがった…!
俺はこの誰もいない廃屋の中で一人朽ちてゆくのか…
救いは、救いはないのか…
存在するかもわからない自販機の神様に祈りを捧げる日々が続く。
何であいつは動けて俺は動けないんだ。
いや、待て。何か、何か方法はあるはずだ。こう、力を振り絞って気を解放するの感じで、飛べる気がする、
いける、多分いける!
「カアアアアメエエエハアアメエエエハアアアアアアア!アァ?」
「いや何叫んでんだよ自販機。」
ドローンがスーッと窓から入ってくる。
「エ、イマノミタ?」
「うん。ばっちし。全世界に向けて配信してるぞ、ほれみろ」
コメント
:草
:叫ぶ自販機w
:自販機が廃墟でかめはめ波を打とうとする…うーんシュールだ
:自販機界の恥
「ケセ、イマスグケセ」
体が自販機になって体温がなくなったはずなのに、顔が熱くなってくる感覚がする。
:切り抜きますた
「ヤメロオオオオオ!」
数日ぶりの会話にテンションが上がる。
「はいはい、落ち着け餅つけ。お前を助けてくれる先生をお呼びしたぞ。」
「エ、マジデ?」
「うん。機械界の伝説の匠。」
「オオ!」
まだ見ぬ機械界の匠なる人物に期待が膨らむ。
やっぱ渋いお爺さん的な感じかな?いや、インテリ系お兄さんかもしれない
「さあ、カモン!機械界の伝説の匠
ペッパー君!」
一体どうやって準備をしたのか、昭和のクイズ番組のような演出と共に、匠はやって来る。
「人間、ぶち殺す、人間、ぶち殺す。」
真っ白なロボットがカクカクダンスをしながら地面を滑らかに滑ってこちらへとやってくる。
「エ、オモッテタントチガウ。」
ドローンは、何を失礼なことをと言わんばかりに接近して来る。
「ふふふ。甘い、甘いぞ自販機君!このお方はな…あの伝説のナー◯ギアを作ってソー◯アートオン◯インを発売したお方なんだぞ!あと白き悪魔と恐れられるガン◯ムも作ったペッパー君なんだぞ!」
「ザンネンダガソトニデタコトガナイカラスゴイカワカラン」
「私、凄ーい、私、凄ーい!」
ペッパー君の背中から大量の腕が飛びててくる。その様はまるで千住観音!
その手には大量の工具が握られていた。
「えー。自販機君。君は、動けないことに不満があるのだね。」
「ナンカキュウニハジマッタナ」
「そうかそうか。では、ペッパー君。この哀れでクソ飲料しか売れなくて、最近飲むムドオンカレーが商品に追加された不良品を、動けるようにしてやってください!」
「ソンナニイウコトナイダロ」
「任せろー!」
ペッパー君が、両腕を翼のようにしてこちらへ滑空しながら迫って来る
「エ、チョ、マ、アアアアアアア!」
この世のものとは思えない悍ましい音が廃墟に響き渡る…
そして…!
自販機は絶対に擬人化しないし人間とハーレムは作らないしチートはない!