そのウマ娘、問題児につき。   作:shinp

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問題児、新たな仲間が加わる

「1、2、3、4…ここっ!」

 

 トレセン学園に併設されてあるダンススタジオ。レース後のウィニングライブの為、ノイズサウンドとカイシンは学園指定のジャージを身に纏って鏡と向き合いながら踊っていた。

 今、カイシンが踊っているのはそれなりに動きが激しい曲で、ラストサビまで踊っており、最後の〆のポーズを決める瞬間まで来ていた。

 

「ありゃ?」

 

 だが、すぐに足がもつれてしまい、ビタァン!と顔面から見事に転んでしまう。

 

「まだ体幹が維持できてないですね。そんな踊りじゃ笑われるだけですよ?」

 

 その隣では綺麗にポーズを決めたノイズサウンド。転んだカイシンを横目で見て、呆れるようにアドバイスをする。

 これが恐山チームの日常なのだが、ここに新しい人物が加わった。

 

「だ、大丈夫ですか?カイシンさん!」

 

 床に寝そべるカイシンに駆け寄り、タオルを差し出す黒いウマ娘。ライスシャワーだ。

 

「あ、あはは~。ありがとうライスちゃん。」

「ライスさん。コイツは頑丈なのでそこまで心配しなくても良いですよ?」

「ノイズさぁん!それどういう意味ですかぁ!」

「あ、あわわ、喧嘩はダメだよ?」

 

 ノイズサウンドの言葉を拾ったカイシンが噛み付き、ノイズサウンドは軽く流し、それを見て慌てふためくライスシャワー。場は混沌としていた。

 

 

 

 

 

 

 ノイズサウンドが強引にライスシャワーを恐山のトレーナールームへと連れて行ったあの日、恐山トレーナーも皐月賞の映像を見返していた。

 

「ここでトウカイテイオーが抜け出して…ノイズもスパートしてるが、やっぱタイミングが合わなかったのが敗因だな…。」

 

 真剣に最終コーナーから直線までの映像を繰り返し見続け、呟きながら分析をする恐山。そして、敗因を分析し終えたのか一息ついて動画を閉じる。

 

(やはり、トウカイテイオーは脅威だな…。)

 

 恐山は椅子の背もたれに体重を掛けて、天井を見上げる。日本ダービーはどう攻略するか、思考の海に沈むことにしたのだが、

 

「やぁやぁ、失礼しますよトレーナーさん!」

「ぅお!?」

「あ、あの、ノイズサウンドさん?ここは?」

 

 突然、ドアを蹴破る勢いで入ってきたノイズサウンドに驚き、椅子ごとひっくり返ってしまった。

 

「おや、トレーナーさん。床に寝そべってどうしたのですか?そんな姿勢でいると学園のウマ娘から白い目で見られますよ?」

「…お前が乱暴に入ってきたからだろ。ったく、何の用だ?」

 

 ノイズサウンドの軽口にうんざりと言い返しながら起き上がる恐山。そして、ノイズサウンドの後ろに居る小さなウマ娘に気付いた。

 恐山の強面にライスシャワーは臆したのか、ノイズサウンドの後ろに隠れてしまう。

 

「おい、この娘は?」

「この娘?あぁ、私のクラスメイト、ライスシャワーさんですよ。将来有望かと思いまして連れてきました。」

 

 ノイズサウンドは少し身体をずらしてライスシャワーを恐山の前に出すとライスシャワーは怯えていた。

 

「あ、あ、あの、ノイズサウンドさん?どうしてライスをここに?」

「どうしてか?私を庇った時のあの気迫、中々良いものでしたからですよ。」

「ちょっと待て。庇った時?一体何があった?」

 

 その後は、ライスシャワーを迎え入れようとした経緯を聞いた恐山は「やろう、ぶっころしてやる。」と言わんばかりの憤りでコモーノーデスとそのトレーナーに噛みつこうとしたが、どうにかして宥めたり、その恐山に恐怖するライスシャワーを落ち着かせたりとノイズサウンドにとっては重労働の一日となったのだった。

 そして、ライスシャワーは、ノイズサウンドを庇ってくれた礼とノイズサウンドが見込みありと判断したことで恐山のチームに加わることになった。

 新たなチームメンバーが加わったことでカイシンは先輩風を吹かせていたが、ノイズサウンドと同じクラスと知った瞬間、すぐに止めたのはまた別の話だ。

 

 

 

「にしても、ノイズさんって足捌きがスゴいよねぇ~…。」

「うん。タップダンスがお上手なのは知ってたけど、実際に見るとスゴいなぁ…。」

「まぁ、独学ですけどね。」

 

 ノイズサウンドは軽くステップを踏むと二人から拍手が送られる。

 

「わぁ…やっぱりスゴいな。ノイズさんに出来ない躍りって無いのかな?」

「う~ん、無いんじゃないかなぁ?」

「クックック。私、こういうことにも手を抜かない主義なのでして。どうでしょう?何かリクエストはありますかな?名作ミュージカルのダンスでも、アドリブでもやりますが?」

「あっ、そうだ!わたし、ノイズさんの躍りで見たこと無いのあったんだ!」

 

 カイシンが思い出したようにポンと手を叩く。その反応を見たノイズサウンドは何か嫌な予感がした。

 

 

 

 

 しばらくして、ポップな音楽と共にノイズサウンドが顔を赤く染め、ぎこちなく歌いながら投げキッスのポーズをする姿があった。

 

「ノイズさん!すっごい可愛いですよ!」

「ふわぁ…。ノイズさんってこういう躍りも出来るんですね!ライス感動しちゃった!」

(言い出した時点で逃げれば良かった!クソッ!こんな屈辱…!)

 

 ノイズサウンドの嫌な予感は見事的中した。一番踊りたくなかった躍りを踊らされてしまい、その日のダンスレッスンはノイズサウンドの体力だけを奪っていったのだった。

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