IS短編集   作:魔法科学は浪漫極振り

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もうマジ無理…


IS×ブルーアーカイブ③

「セシリアお嬢様、お飲み物です」

 

「え? ありがとうございます……?」

 

「セシリアお嬢様、アリスがお荷物をお持ちします」

 

「いえ……その……助かりますが……」

 

「セシリアお嬢様、アリスがお背中をお流しします」

 

「あ、はい……あの」

 

「セシリアお嬢様、アリスが肩をお揉みします」

 

「ストップ!!」

 

 クラス代表決定戦が終わって早数日。一夏のセカンド幼馴染こと凰鈴音が2組に編入されてクラス代表になったり、一夏と鈴が昔の約束の記憶違いで喧嘩していたりする中、アリスはセシリアに事あるごとに近付いては何かと世話を焼いていた。今も授業合間の休憩時間。アリスがセシリアの肩に手を置いたタイミングで遂にセシリアからアリスへ待ったがかかる。

 

 あの鉄塊(レールガン)を軽々と持つ馬鹿力に肩など揉まれたら下手をすれば両肩の骨が粉砕されかねない。英断である。

 

「あの……アリスさん? どうして私にそこまで構ってくださるのです?」

 

「……? 

 

 

 

 アリスはセシリアお嬢様の奴隷だから当然です」

 

 

 休憩時間特有の緩み切った教室から騒めきが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クラス代表決定戦で負けたら奴隷にする』

 

 売り言葉に買い言葉でセシリアが一夏に言い放った言葉である。だがセシリアは戦闘終了後に一夏と和解し、この話は無かったことになっている。ただし、それは二人の話。

 

 割り込んできたアリスはその言葉が自分にも適応されていると認識し、彼女なりに奴隷としてセシリアに奉仕しようと考えていたのだ。

 

「い、いえ。ちゃんとアリスさんにお伝えしなかった私が悪いのですが……その話は既に無かったことになっていますわ」

 

「え……アリスは奴隷になれないのですか?」

 

「当然です! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………? 

 

 

 

 

 

 

 

 あの、アリスさん? その言い方だとあなたが奴隷になりたいように聞こえるのですが……」

 

 困惑するセシリアにアリスは満面の笑みで返した。

 

「はい! 奴隷は覚醒フラグです! 天空の勇者を筆頭に強敵との戦いに敗れた勇者達が奴隷や捕虜にされたのち、新たな仲間を得たり、新たな力に目覚めるのは常識です!」

 

 とりあえずいつものアリスの電波発言だと判断したクラスメイト達はアリスをセシリアに任せて雑談に花を咲かせる事にしたようだ。実に賢い。

 

 当事者であるセシリアもゲーム的お約束は分からないながらもクラスメイトであるアリスを奴隷として手元に置くのは外聞が悪過ぎるので懇切丁寧にお断りすることにした。

 

 ……あの時の喧嘩そのものが致命的な醜聞であるとか言ってはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は流れ、クラス代表同士が戦うクラス対抗戦。一組代表の一夏と二組代表の鈴が鎬を削る中、突如として学園外から乱入者が現れた。

 

 シールドバリアーを貫通できる火力を持つ黒灰色の全身装甲のIS。

 

 しかも外部からのクラッキングによってアリーナ観客席にいた生徒達は退路を断たれ、悲鳴と嘆きに満ちていた。

 

 クラスメイトと共に観客席で観戦していたアリスも突然舞い降りた暴力の化身に怯え……

 

「突発レイドバトル! これはタンク兼光属性アタッカーであるアリスも参加しなければ!」

 

 失礼。そんなことは無かった。

 

 勝手にイベント参加を決めたアリスだったがアリーナ内に入る術が無い上、前線へ出る手段も無かった。

 

 先日のクラス代表決定戦で使ったISウォルは彼女が作り始め、命名こそしたが別に彼女の専用機になったわけではない。背中の鉄塊(レールガン)のように持ち歩いてはいない。

 

「このままではレイドポイントがもらえません。せめて一発殴らなくては……」

 

 仕方なく閉鎖された出入口に群がる生徒達から距離を置き、近場の電源と自前の鉄塊(レールガン)を接続。電力を拝借し始めた。

 

 チャージ開始……25%……50%……75%……

 

 黒いISに照準を合わせながらチャージを続けていくが、交戦中の一夏と鈴が動き回る中で狙撃のチャンスは訪れない。

 

 このままでは盗電しただけで終わってしまう。アリスが焦れているところでスピーカーから大音量の叫び声が轟いた。

 

 

 

「一夏ぁっ!」

 

 

「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとするっ!!」

 

 

 

 乱入者に苦戦する一夏への精一杯の応援。突然の暴挙に一夏や鈴、敵ISも動きが鈍る。

 

 

「剣士・箒! ナイスヘイト管理です!」

 

 

 絶対に違うと思う。ついでに箒は勇者・一夏のパーティメンバーの剣士としてアリスに認知されている模様。

 

 アリスはこの千載一遇のチャンスをモノにする為、即座にチャージが完了した鉄塊(レールガン)を最大稼働させる。

 

 

「この意志に光を込めて……」

 

 

 

 

「貫け! バランス崩壊!」

 

 

 アリスの手元から発射された光の柱は展開されたシールドバリアーを一瞬で貫き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま敵ISを横殴りに吹き飛ばし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵ISは大爆発した。(現在このISが無人機だとは断定はされていない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒を守る為に敵ISの射線に割り込もうとした一夏も、咄嗟に動けなかった鈴も、中継室で浅慮な行動をとった箒も、避難しようとしていた生徒達も、管制室にいた教員達も、ついでに無人ISを送り込んで学園のセキュリティにクラッキングを仕掛けていた篠ノ之束も。全員がアリスに視線を向けていた。

 

 そんなみんなの視線に耐えかねたアリスは叫んだ。

 

 

「ち、違います! ラスキルを横取りする意図はありませんでした! 殴りたかっただけで死んでほしくはなかったのです!」

 

 

 サイコパスかな? 

 

 なお、あの頭のおかしい火力に先日何度も狙われていたことを思い出したセシリアの顔は真っ青であった。




アリスのEXを防御無視にしてほしい…してほしくない?
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