IS短編集   作:魔法科学は浪漫極振り

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今回はアリス要素が薄いです


IS×ブルーアーカイブ④

「ラウラウ! ラウラウじゃないですか!」

 

 二人目の男性IS操者の自己紹介に続いて出てきた仏頂面の銀髪眼帯少女ラウラ・ボーデヴィッヒを見たアリスが歓喜の声をあげるが、当の本人は見ず知らずの人物の喜びように困惑していた。

 

「……知り合いだったのか? ボーデヴィッヒ」

 

「いえ教官。初見のはずですが」

 

 ラウラに心当たりは全くない。どこかで会ったことがあったかと記憶を掘り起こしていると問題のアリスから追加情報がもたらされた。

 

「織斑先生。彼女はドイツ軍非公式ファンクラブを持つ魔法少女ラウラウその人です!」

 

 追加情報で更に意味が分からなくなった。

 

「非公式ファンクラブ……?」

 

「魔法少女……?」

 

 

「はい。ドイツ軍IS部隊の隊長でありながら世界を裏から支配しようとするファントム☆タスクの構成員を相手に人知れず戦う魔法少女がラウラウです。特徴的な眼帯は強すぎる魔力で金色に輝く瞳を封印する魔道具であり変身アイテム。普段はツンツンクールだけど、大好きなブリュンヒルデ先生の前ではワンコ属性が付与されるのです。好物は甘い和菓子で、かき揚げうどんのかき揚げはサクサク派だったとアリスは認識しています」

 

「…………なんだそれは……」

 

 あまりにあんまりで頓珍漢な内容にラウラは眩暈がした。

 

 

 

 

 アリスが語っているのは彼女が精緻なキャラメイキングが売りのネトゲ内で遭遇した非公式キャラ・ラウラウになりきったプレイヤーから得た情報である。

 

 そも非公式キャラ・ラウラウなるものがなぜ存在するかと言えば。

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒは『ドイツの冷氷』とも呼ばれる程の冷徹さや優れた能力を持つ逸材で、その若さや美貌、小柄な外見から密かにアイドル的な人気を有していたが現実では絶対に笑顔を振り撒くことはなかった。しかし、そんな彼女の子供らしく愛らしい姿を見たいと考えた一部の愛すべき馬鹿共は、軍機に触れない範囲で得られた彼女のパーソナリティから様々な属性を生み出し、それを基にしたイラストや小説を世に出した。それがアングラ界隈で人気大爆発。近年では便乗してMMDやフィギュア、アリスが遭遇したネトゲのなりきりキャラなど、至る所で目撃されるまでになっていた。

 

 なおドイツ軍諜報部と広報部はこれらの動きを察知していたが、近年ISの台頭で減り続ける軍人希望の男子を増やす宣伝効果が期待できるとして、機密の流出さえなければヨシ!(現場猫)と黙認を決め込んでいるのだから質が悪い。

 

 当然ラウラの所属する部隊にも彼女を無断使用した数々のコンテンツを知る者は何名もいたが、本人に知れると過酷な訓練後の癒しが無くなることは明らかだった為、誰も彼女に報告しなかった。

 

 結果、サブカルチャーに詳しくないラウラは自身のことでありながら、今日この時まで非公式人気コンテンツ・ラウラウの存在を知る機会が無かったのである。

 

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 

「アリスが確認したプロフィールに趣味は先生の等身大抱き枕を抱えてのお昼寝とありました。IS学園にも持ってきているのですか?」

 

「は!? なんでそのことを……」

 

 真実である。実は敬愛する教官であった織斑千冬が去った後、寂し気であったラウラを哀れんだ隊員から千冬がプリントアウトされた抱き枕をこっそりプレゼントされていた。

 

 ちなみにそいつがラウラウコンテンツ創生メンバーの一人である。マッチポンプにも程がある。

 

「ち、違います教官! あれは嘘です」

 

「嘘なのですか? プロフィールには抱き枕を抱えた際に寝言でときおり『ママ』と呟くとありました」

 

「お前もう口を閉じろ!」

 

 これは捏造である。他人に嘘を信じ込ませるには真実を適量混ぜるのが有効だ。ドイツ軍IS部隊の隊長であることや眼帯下の金色の瞳、好物のかき揚げうどんや和菓子などのラウラ・ボーデヴィッヒ本来のパーソナリティが加わることでこの盛りに盛られた設定のリアリティは増している。

 

「……まぁ、その、なんだ。私は気にしないぞ、ボーデヴィッヒ」

 

 故に。ラウラが試験管ベビーであり肉親がいないことを知る千冬はラウラが母性を求めているのだと察し、突き放すことはせずにその甘えを容認した。これが父性だったら流石に拒絶していた可能性はあるだろう。

 

 実に感動的な優しさだが、今は混乱しながらも弁明しようとするラウラへの追い打ちにしかなっていなかった。小さな子供が先生をお母さんと呼ぶのはたまにあることだが、彼女は既にISをファッションと考えている学生連中とは違う、自身は現実を知る大人だと自負している。だからその優しさをこの場で認めるのは容認しかねた。軍の教練で鍛え上げた忍耐をフル動員して、我慢した。

 

「いや、違うのです。私は、ラウラ・ボーデヴィッヒは教官を敬愛していますがそれは」

 

「……? これはラウラウの話ですよ?」

 

「だから口を挟むな! 私はラウラウで、ラウラではなああああああ~~~ッッ!!」

 

 アリスの口出しで言い間違えてしまったラウラの羞恥心は限界点を突破。ほっこり生温くなった教室の空気に耐え切れなくなり、遂には飛び出していった。

 

 本来であればラウラは自己紹介後に彼女が毛嫌いする織斑一夏へ宣戦布告の張り手を食らわせるつもりだったのだが、今はそんなことを考える心の余裕はどこにも無かった。




ネタが足りない…足りない…
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