御大プロ設立から更に十数年。僕との折衝担当だったらしいスコールは数年前にその役目を外された。亡国機業の僕に対する警護体制が整ったことが理由だとかなんとか。僕はいつの間にVIP扱いとなっていたのだろうか? いや、確かにお飾りでも亡国機業の幹部だけど。
そんな僕は今、死にかけのスコールの病床を訪れています。
「やぁスコール。元気かい?」
「いま最悪になったわ。それと……この状態で元気に見えるならアンタの頭の中は文字通り屑鉄よ」
「うーん、相変わらずの塩対応」
折衝役を外されたスコールは成人後、米軍の特殊部隊に入隊。参加した作戦の結果、四肢の一部を失ったものの、裏の伝手を経由して生き延びて現在は亡国機業が抱える闇医者の施術所にて延命治療を終えたところです。米軍においてスコールは既にMIA認定されてますね。こうして彼女は公式的には死んだ人物となったのでしょう。原作通りならこの後、彼女は機械の身体を手に入れ、齢不相応の美貌を原作時まで維持し続ける。……あの容姿、どうやって維持してるんでしょうね? 皮膚から何まで全部作り物説とかある?
彼女の負傷は僕にも情報が届いたのでお見舞いの品にメロンとウォッカを持ってきましたよ。スイカウォッカならぬメロンウォッカよ。あ、食事制限あるの? じゃあ勿体無いので僕が食べます。酒が染み込んだメロンうまー。……舌打ちされてしまった。悲しみ。
目の前でお見舞いのメロンウォッカ一玉を無心で食べる僕に耐えかねたのか、それとも怪我で気が滅入っているのか、珍しくスコールの方から話しかけられた。
「それでエルスマン、何の用?」
「このままだと君はボロボロの身体で死ぬか、肉体の大部分を機械で埋めないといけなくなる」
「……そうね」
「そこでひとつ提案があるんだ」
彼女の将来的な若さの秘訣がいまいち分からない。だったら僕が分かる範囲に落とし込めばいいじゃない!
「僕と契約して、人類最初の融合体になってよ!」
「絶対にお断りよ」
「なんでさ」
寿命の延長に若さの維持、並みの人間を超越した身体能力の獲得。こんな素敵なプランをどうして断ってしまうのか。わけがわからないよ。
「単純に気持ち悪い。お前とひとつになるくらいなら死んだ方がマシ。機嫌損ねて地球が滅ぼされるとしても絶対に嫌」
「うーん。ストレートで苛烈な罵倒の嵐、これには僕も苦笑い」
ここまで嫌われているとは読めなかった……! このエルスマンの目をもってしても! いや、流石に調子に乗って欝ロボアニメを連続放送して見せたのがまずかったか。世間でも『皆殺しの御大』なんて評判も一時期言われていたくらいだ。
まぁ、別に僕が手を出さなくてもスコールは大丈夫だとは思う。でも、僕が関わったせいでいろいろと世の中には変化が起こっているので、その影響の余波で彼女の施術が失敗して死なれでもしたら嫌だなぁ。だって僕とプライベートで親しい間柄は彼女くらいだもの。亡国機業の他の皆さんは怖がってあんまり話してくれないし、御大プロは完全に仕事の話だけ。原作までまだまだ時間がある以上、会話相手くらいは確保しておきたい。
「まったく、スコールお嬢さんはわがままだなぁ」
「分かった? 分かったならさっさと帰りなさ──」
「こうなったら実力行使だね」
「は?」
分体を二人、傍に作り出して三人でスコールを抑え込みにかかる。 テンションはまさにビーストモード!
「やはり暴力……!! 暴力は全てを解決する……!!」
「ま、待ちなさい!? 何をするつもりよ!」
「暴れんなよ! 暴れんな!」
「三人に勝てる訳ないだろ!」
「いやぁあああぁ!!」
「穢された……」
「生身部分と機械部分が拒絶反応を出さないよう、潤滑剤として僕の一部を移植しただけじゃないか。極わずかだから、意識は休眠状態。勝手に君の体を動かす心配は無いよ」
あと彼女のあられもない姿を見る機会はミューゼル邸で過ごす間に何度もあったし、今更な話だよ。
「あ、完全な融合体ほどじゃないけど、寿命の延長と肌の劣化防止効果付きだよ、スコールお嬢さん!」
「……」
「今ちょっとだけありかも。そう思ったでしょう? アラサーのお嬢さん」
「頭をぶち抜かれたくなかったら、今すぐに出ていけ」
「すいませんでした」
あの目は『マジ』だった。自分が原因で相手を怒らせた時は素直に謝る。これ大事。
……さて、そろそろ原作のメインキャラ達に会う為の行動に移そうかな。日本は当然として、イギリス、ドイツ、フランス。セカンド幼馴染は……ほぼ日本で活動するし、中国はいらないよね。それとルクーゼンブルク公国とかいう最終巻直前に急に湧いて出てきた東欧のオリジナル国家。いや、あそこはあんまり興味ないけど、時水晶の鉱床と同化してみようかな、と。あそこの国以外に影響を受ける事は無いし、うまくいけば『インフィニット・ストラトス=ISコア=僕』になってキャッキャウフフの展開よ。やってみる価値ありますぜ!
SEEDの方はもうちょっと待っててください。