IS×ブルーアーカイブ①
織斑一夏はIS学園1年1組に編入されることとなり、クラス中の女性の視線に耐えていた。
だが今は少しだけその視線が減っていた。
少し前に入ってきた小柄な少女……具体的にはその少女の背負っている『モノ』、『ソレ』に皆の視線がいってしまっているのだ。
気になったクラスメイトが耐え切れずに尋ねた。『ソレ』はいったい何なのかと。
少女は隠さず、臆さずにハッキリと答えた。
「アリスが勇者である証。『光の剣:スーパーノヴァ』です!」
それは 剣と言うには あまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く そして 精密すぎた
それは 正に
しかもどう見てもISでさえギリギリ両手を使って取り扱えるレベルの巨砲である。
身長150cm程度の少女が背負って担いで運べて良い代物ではない。
重さだってかなりのはず。だって着席前に席の横に置いた時、思いっきり床に凹みが出来た。建築から僅か数年。手入れも行き届いた綺麗な教室の床が現在進行形で悲鳴をあげていた。
そんな宇宙人並みにトンデモ存在がクラス内にポップしてきたものだから、希少な男性のIS適性者への視線だって緩和されるに決まっている。
やべー奴という認知度は自己紹介で更に加速した。
「私の名前はアリス・ザ・ブルースカイ、ドワーフ族の槍騎士。使用武器はガンランス『火竜の牙』、出身地は鋼鉄山脈。幼い頃、魔族の襲撃により家族をきゃん!」
担任である織斑千冬の出席簿攻撃!
アリスの
「誰がゲーム内キャラの設定を発表しろと言った。天童アリスの自己紹介をしろ」
「あ、理解しました」
「私の名前は天童アリス。役割はタンク兼光属性アタッカーです。これまでに人類を27回救い、魔王軍との46回に渡る戦闘を行い、三桁を超えるダンジョン探索を行ってきました。経験値はそれなりに豊富です」
まるで成長していない……(安西先生感)
…とりあえず不思議系ゲーマーであるとだけ認知された。
その後、代表候補決めに発生したイギリス代表候補生と男性IS操縦者の決闘の流れに彼女は割り込んだ。
「クラス代表は選ばれし者! つまりは勇者! アリスもやりたいです!」
「勇者……? 天童さん、あなたISへの搭乗経験はありまして?」
織斑一夏とのやり取りでヒートアップしていたセシリア・オルコットは横入りしてきた天童アリスにも噛み付いた。
「無いです!」
元気だけはいいがISに乗ることを誇りとしているセシリアにその態度はちょっとまずかった。横入りで鎮火しつつあった頭が再び燻り出した。
「……試験はどうでしたか?」
「操作慣れさせてもらう前にやられました! チュートリアル無し即難易度ハードモードな典型的クソゲーだったとアリスは断言します!」
……ISをファッション感覚で扱うのとゲーム感覚で扱うこと。果たしてどっちがマシなのだろうか。
「そんな実績で代表に立候補!? あなたも私を馬鹿にしてますの!?」
「駄目ですか?」
首を傾げる仕草が小動物的で何人かの生徒がハートにレールガンが撃ち込まれた。可愛いは正義である。
「駄目に決まって……!」
「そこまで。オルコットと同じく自薦だろう。問題は無い」
傍観していた織斑千冬の鶴の一声で三人での総当たりが一週間後に決まった。
その後、なんやかんやあって布仏本音が手伝ってくれることになった。
「パンパカパーン! のほほんさんが仲間になった!」
「天然系ロリと不思議系ロリが交わり最強に見える」
「二大マスコット……だと……!」
後に銀髪眼帯ロリがクラスに追加されることを彼女達はまだ知らない。
天童アリスとはスマホゲーム『ブルーアーカイブ』に登場する学校『ミレニアムサイエンススクール』の1年生、ゲーム開発部の部員である。
廃墟で発見された正体不明の少女で、年齢を含め全ての情報が不詳。
言葉がたどたどしかったり変なのは語彙の習得や会話の学習素材として様々なレトロゲームを基にした結果であり、英才教育の果てに彼女は重度のゲームマニアと化した。
華奢な体からは想像もつかない大型レールガン(通常時約140kg。発射時反動200kg越え)を携帯しており、これはミレニアムサイエンススクールのエンジニア部が宇宙戦艦(開発未定)に搭載すべく、部の下半期予算70%を投入した産廃…ではなく、ロマン兵器。「光の剣:スーパーノヴァ」が正式名称である。