プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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一枚目 よくある異世界転生

 カードジョブオンラインは一日にできる時間が決まっていて、時間を過ぎたらログイン出来ないスリープ状態になる。

「もう少しでスリープ状態だな」

 町にワープして宿屋で眠りについた。

「そういえばここ一年夢を見たことがないな」

 学校にも行った記憶がねえ。単位ヤバいな。……まぁそんなことは今は気にせずに寝よっと。

 

 起きたら空が映っている部屋の中にいた。

「プロジェクターか何かで投影しているのか?」

 飛行機が動いているからこれはきっとリアルタイム映像だな。

 

 よく見るとカードが宙に浮いている。

「CGにしてはリアルだし糸か何か釣ってんのかな?」

 カードに触れようとしたけどカードが真っ二つになってさわれなかった。

「どうなってんだこれ」

 真っ二つになったカードは元に戻る。

 

 カードからたくさんカードが出てきて積み重なり人型になった。なんかのマジックか何か?

「山布田努郎くん。君は死んでしまった。いや実際のところ死後一年放置してたけど。君の魂はVRカードゲーム カードジョブオンラインを別性のアバターでプレイしていたときに死んだから電脳空間でさまよっていたんだ。そして今日ようやく見つけたってことさ」

 なんかのドッキリだろこれ。

「すでに俺は死んでたってことか? じゃあ死因を教えてくれよ」

「いつの間にか死んでいたらしい。まあ死後100日過ぎたら記録が一定期間しか現れなくなるからしかたないね。人間の死因なんざいちいち覚えることができるほど暇じゃないからね」

 設定がいい加減すぎるな。俺ならもうちょっと設定を練るけどな。

 

 まあいいや。ドッキリなら帰れるだろ。

「質の悪いドッキリだったな。じゃあ帰らせてもらいますね」

「帰っていいよ。帰れるならね」

 ドアに向かった。

 

 わりと簡単に出られるな。なにが帰れるならねなんだ?

「お疲れ様でーす」

 ドアに近づこうとしたけれど何かにぶつかって出られなかった。

「これはドッキリじゃないよ。だって今の人類の技術では水より透明な壁は作れないからね」

 ドアの絵が壁に描いてあっただけだろ。トリックアートだよ。

 

 人型のカードが歩いてこっちにやってきた。よくできた着ぐるみだな。

「これで信じてくれるかい?」

 人型のカードと握手した。まるでカードみたいな感触だな。

「着ぐるみだな」

 人型のカードが崩れてカードの山になった。カードの山はもう一度人型のカードになる。

「これで信じてくれたね」

「ああ。こんなマジック人間にはできない」

「そもそもこの部屋通気口も窓もドアもないから生きたままだと入れないんだけどね」

 よく見ると確かにドアは壁に描かれた絵だな。でも絵の前に見えないけど確かに透明な壁がある。

 

 ていうことは俺は死んだのか。こんなに手の込んだ趣味の悪いドッキリは地上波放送出来なさそうだからな。

「まあそうだね。君は面白そうだから僕の作ったフダショクという世界に転生させよう」

「よくある異世界転生小説か。そこでなにをすればいいんだ? ハーレムか? 借り物の力を自分の力のように使えばいいのか?」

「僕はそこまで過保護じゃないよ。努力した結果を発揮してもらうのが好きだからね。それに生き方も縛るつもりはない。まあそのせいで異世界転生者がよく死後の世界に戻っちゃうんだけどね」

「なるほど。分かった」

 こいつ、ものすごく不安だ。

 

 人型のカードはカードを一枚投げた。カードから杖が出る。

「一つ教えてあげよう。君が生前はまっていたVRカードゲームのカードジョブオンラインは実は僕が作ったフダショクという世界をモチーフにフダショクからの転生者が作ったものなんだよね」

「それは知らなかった」

 ということはこいつが作った世界は西洋風ファンタジーカードゲーム世界なのか。よくある異世界転生小説だな。

 

 視点が低くなった。

「そういえば君は前世では幼い女の子をアバターにしてプレイしてたね。君のデッキとその見た目で異世界に転生させよっか。慣れてる方で転生した方がいいもんね」

 目の前に鏡が現れると美幼女が映っていた。その美幼女は間違いなく俺が4時間かけてキャラメイクしたアバターそのものだった。

「デッキはどんな感じかな」

 声もちゃんと高くなってる。デッキの方も再現度100パーセントだな。完璧だぁ。

 

 人型のカードがコイントスをする。

「ああそうだ。フダショクで僕を批判するのはやめておいた方がいい。なにせ僕はフダショクで起きたことがすべて分かる。自分の悪口を聞くのは結構メンタルに来るんだよ」

「おお分かった」

 こいつのために批判しないでおこう。

 

「なるべく面白くしてね」

 いつの間にか俺は森の中にいた。涼しい風とリアルな匂いそして足裏にかかる微妙な重量、どれもカードジョブオンラインにはないものだ。それを感じられるなんて……本当に異世界に転生したのか。両手を握って感触を確かめる。

 

 茂みからリアルな音が聞こえる。

「なんだ?」

 デッキを構えた。カードジョブオンラインの世界観に倣うならこうするのが一番安全だ。

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