プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百一枚目 古代のカード

 人のいない山小屋で休んでいると、いきなり天井に穴が開いた。

「天井に穴開けるモンスターなんているのかよ」

「いねえよ」

 天井に空いた穴が徐々にふさがる。

 

 石板が落ちてるな。

「それに触るんじゃねえ」

 カシヨが石板にちぎったパンのかけらを投げると、かけらは石化した。

「何でこんな危険なものだってわかったんだ」

「古代なんとか文明の文献で似たような存在を見たことがあるから。軍事転用しようとしていた時期もあるらしい」

 まあ何でも石化できるのってすごいよね。カードハンターって物騒だな。でも軍事転用してないってことは触れたら石化するとか床は石に出来ないとかいろいろと制限があるからかな。

 

 石板が光った。

「なんだこれ」

 石板がカードになって俺の手の上にいつの間にか移動している。

 

 どうなってるんだこれ。

「カードのようだな」

「それは古代のカード。今や強すぎたせいで封印されたり全盛期程の力を出せないカードがたくさんあるらしい」

 エラッタとか制限とかのことか。

 

 このカードは見たことがないぞ。

「速亀竜 ドラゴンタートルねえ。このカードを攻撃不可能にする代わりに、自分の場のモンスターの攻撃できない効果を無効化するモンスターだったっけ。ペルーダの攻撃力はたいして高いわけじゃないし、ダイヤモンドスパイクを付けたら0になるんだよなあ」

 でもコスト6で攻撃力5防御力3なのでカードジョブオンラインの初期の環境では四枚積みしているプレイヤーは多かった。俺もそうだった。

 

 要するに四枚持ってるからこれ以上要らない。

「これあげる」

「要らないなら貰うぜ」

 カードをもらったあとカシヨは嬉しそうな顔をした。ちなみに今カシヨは覆面をしていない。山で人に遇うと覆面しているのを怪しまれるからな。

 

 カシヨはデッキにドラゴタートルを入れて何かを一枚抜いた。

「これで攻撃して倒すプランも出来たという訳だ。アルカナンバーはなぜか攻撃できないからな」

 カードジョブオンラインでもアルカナンバーはルール上攻撃できないからな。かわいそう。まあ運が良ければ四ターン目でエクストラウィンしまくれるし妥当だろ。

 

 天井に穴が二つ開いた。

「まーたカードが落ちてきたか」

「二枚同時なんて珍しいこともあるもんだな。しかも今日で二回目だぞ」

 二枚とも雑魚カードだな。初期環境でもそんなに強くないし、弱い効果があるからバニラサポートも受けられないというどうしようもないカードだ。

 

 まあここに置きっぱなしにするのもなんだから一応回収しておくか。

「今度は三枚同時だろうな」

 いきなり山小屋の屋根が吹っ飛んだ。

「風もねえのに何でいきなり山小屋の屋根が吹き飛ぶんだよ。常識的に考えておかしいだろ」

「モンスターの仕業かもしれない」

 モンスターがいるからおかしくないのか?

 

 壁と柱が同時に外側に倒れて外が見える。

「でっけえ窓だな」

「壁と柱がいきなりこんな崩れ方するなんておかしいよね。おかしいけど現実を見ようよ。実際こういう崩れ方をしているんだよ」

 嫌な予感がしたので、崩れた山小屋からなるべく遠くに離れた。

 

 カシヨが追いかけてきた。

「待てよ。お前を逃さねえ」

「どうせわたしの力だけが目当て何でしょう?」

「気持ちの悪いことを言うんじゃねえ。普段の言動と口調が似合ってねえんだよなあ」

「てへぺろ。一度言ってみたくて」

 絵面はぱっと見事案。

 

 ふと後ろを見ると山小屋の周囲の地面が盛り上がっていた。

「なにがおきているんだ」

 盛り上がった地面が砂の山のように崩れて、でけぇ石の建築物が現れる。

「ちょっと古めだな」

 なんで山小屋の下にこんなものがあるんだよ。

 

 石の建築物の上から石板が大量に落ちてくる。

「質量兵器じゃねえか。これを軍事利用した方が良かったのにね」

「そんな事よりあれを見てみろ」

 建築物から石像がいっぱい出てきた。

 

 二つの石像が俺たちの方を向いて、走ってくる。

「速い」

 逃げようとしたら後ろに石像がいた。

 

 石像はデッキを構えた。

「カードファイター反応察知。メイクファイトエントリー」

「わざわざゴーレムみたいな話し方しなくてもいいだろ」

 この石像しゃべるのか。

 

 色々聞きたいことがある。

「メイクファイトってなんだよ」

「勝てば敗者の全てを得ることが出来る。火に焼かれれば火傷し、斬られれば切り傷が出来る。そして森を使えば森になる。生命力を失えば命を失うカードファイトだ」

 トゥルーファイトの上位互換ってことかな。

 

 やりたくねえな。

「やりたくなくても逃げられないからな。逃げたらミンチにする」

 石像は金属のこん棒を持つ。

「メイクファイトエントリー」

 俺のデッキが赤く光った。

「まじでやるのかよ」

 やってもやらなくても臨終するからな。自棄を起こしているだけだ。

 

 ……俺はメガチャージをして2ターン目を終えた。

「ターンスタート。ドロー。チャージ。コスト2で火を吹く魔人を召喚。火を吹く魔人でプレイヤーに攻撃。フレイムブレスト」

 火を吹く魔人が吹いた火は熱かった。それに服を少し燃やした。

「どあつっ。あっ」

 火傷が出来てやがる。やめてーな。

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