プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

103 / 160
百三枚目 衝撃の事実

 石像はターンを終えて、俺の10ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト4で鯵テーターを召喚。ギロチンフェイスデビルの効果発動。ペルーダとさっきダメージを与えた火を吹く魔人。火を吹く魔人は破壊され、ペルーダの生命力は6となる。エネルギーヒーリングエクスキューション」

「じわじわと俺の切り札が減っていく」

「俺は火を吹く魔人に攻撃する。破壊。これで火を吹く魔人はすべて倒された。ターンエンド」

 視界がかすんできた。そろそろヤベエかもな。

 

 石像の10ターンエ目だ。

「ターンスタート。ドロー。響きの魔人でギロチンフェイスデビルに攻撃」

「ビーコンパラサイトの効果でペルーダに攻撃してもらう」

「反動がきついな。実際響きの魔人は弱っている。だがお前の体がこれに耐えられまい。ビートスマッシュ」

 音の振動を感じる。

 

 俺の口から赤く鉄臭い液体が噴出された。

「やべえ」

 俺の手脚から力が抜けてカードがすり落ちる。

「やべえ。手が動かねえ。脚もだ。ターンエンド」

 まずい。とうとう痛みが無くなった。

 

 石像の11ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。チャージ。コスト8で癒しの魔人を召喚。癒しの魔人の効果でプレイヤーを選んで自分の場の魔人の枚数分生命力を回復させる。自分の生命力を3回復させる」

「これ……みよがしに……生命力回復しやがって」

「何か嫌な予感がする」

 石像は首をかしげる。

 

 石像はペルーダを指さした。

「この攻撃を打てば相手も響きの魔人も死に至る。音の衝撃からは逃れられない」

「卑怯じゃねえか」

「なんとでも言え。勝てばいいんだ。響きの魔人でペルーダに攻撃。ビートスマッシュ」

 響きの魔人がペルーダの棘に刺さって破壊された。

 

 そのあと俺の体に衝撃が走る。

「うえ」

「メイクファイト中に死に至れば棄権とみなされて、敗北扱いだ。ここで死に至ればすべてが奪われるぞ。がんばれがんばれ」

 指に力を入れようとしたけど、力が入らない。

 

 これは気合でどうにかなる問題じゃねえ。

「あっ……あっ」

 右の視界が赤く染まる。

「うぁぁぁあああ」

 でも自棄でどうにかなる問題ではあった。腕は動かせる。

 

 石像はあごの下に手を当てた。

「むむむ。ちょっと脅せばひるむと思ったが、ひるまないなんてな。ここまで芯の強い奴は見たことがない」

「買いかぶりすぎだぞ。自棄を起こしてるだけだからな」

 いきなり場からモンスターと魔法が消えた。でも地面はちょっと焦げてるな。俺の服も焼けたところ戻ってねえ。

 

 あのままやってりゃ俺の勝ちだったのに。

「維持が不可能になってメイクファイトが強制終了したらしい。おおかた本体が目覚めたからだろうが、助かったな」

「いいや。助かってねえ。これはだめだ」

 人生は短いようで長いと見せかけてやっぱり短いものなのだ。これで亡くなるのも二度目かな。

 

 体温がどんどん下がっていく。

「お前にそんな力があったのか。癒しの魔人を召喚」

 俺の体がポカポカして力が沸き上がった。

「火傷も治ってる」

 さっきまでの傷が噓みたいだ。でも一応服は焦げてるところがあるから噓じゃないんだよね。

 

 立ち上がった。

「治してくれてありがとうな」

「貴様には次元の巫女の力がある。それをあっさり排除するのは勿体ない」

 まるで俺本体がおまけみたいな扱いだな。

 

 カシヨもカードファイトを終えたみたいだな。

「何とか勝てたぜ」

「そんなバカな」

 カシヨは額の汗をぬぐう。

 

 カシヨは石像から飛んできたカードケースを受け取った。石像は砂になって崩れる。

「文字通り全てを手に入れることができるみたいだな。デッキと財産はもちろんとして、姿も声も……んんっ記憶も寿命でさえも手に入れられるとは……んんっちょっと想定外だな」

「声が変わってる」

 ちょっとせき込むふりをするだけで声が変わるのか。マジで全部ゲットできるのかよ。

 

 カシヨは二つ目のデッキケースを服のポケットにしまった。  

「手に入れる記憶は新しいデッキの回し方の記憶だけでいい」

「まあ人一人分の記憶とかすさまじい情報量だからね」

「気を付けろ。メイクファイトはお前らの言う古代ビートダウンズ文明が滅びた原因でもある。やりすぎない方がいい」

「何でそんなこと知っているんだ。というかいきなりなんなんだ」

 この石像はなんで口もねえのに口を利けるんだ。

 

 石像は胡坐をかく。

「理由は単純。古代ビートダウンズ文明の住人だからだ」

「遺跡を住処にしてるのか。なんかバチあたりだな」

「違う。滅びる前から生きて暮らしているんだ。さっき地上に出したのは地下から地上に上がるためのモノだ」

「そんなわけあるか。どう新しく見積もっても二千年前に滅びたはずだ。末裔ならまだ納得はできるがな」

 そんな前の物なのか。

 

 石像は地獄の門の上にいる人みたいなポーズをとる。

「この石の姿はメイクファイトによる弊害だ。身体が石なおかげでなんとか腐らず生きていけた。さっきのは人の姿を手に入れるための戦いだったのだ」

 人の姿ほしさに俺を倒して負けさせようとしたのか。卑怯な奴だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。