プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百四枚目 NGDP

 石像が動く。

「俺は別の場所でカードファイターの姿を手に入れることにする」

「そうか。それは感心しないな」

 メイクファイトは姿以も奪うからな。

 

 石像の動きが急に止まった。

「おや。どうしたんだろう」

「身体にガタが来た」

「石の体も衰えるモノなんだね」

「関節部分が石じゃねーし。後先考えなさすぎたな。本来なら後先考えなくてもよかったのに。姿を奪えば健康さえ手に入るはずだった」

「健康も奪うから後先考えなくってもよかったってことか」

 とことんクズだな。

 

 こんな奴モンスターにでも食われた方がいいな。まあ石は食わねーだろうけど。

「アイツはどうするんだ」

「放っておこーぜ。カードも大したもの持ってねーし。あんな奴に時間割くのは勿体ないってもんよ」

「まあそうだな。お前ならそういうと思ってた」

「じゃあ聞くなよ」

 でもまあ一応の確認は必要か。

 

 って俺はお前の上司じゃねえんだからお伺いを立てる必要ねえだろ。と言いたいのをぐっとこらえる。めんどくさくなりそうだからね。

「コイツ惨めだな」

「また元気でな。互いに元気で会える日を楽しみにしてるよ」

 これで内心怒ってるはずだ。まともに動けない状況でまた元気に会えるわけがないからな。

 

 石像から遠ざかった。

「横目で見てもかなり痛々しかったのに割と平気そうだな」

「治してもらったからね」

 跡がないのはありがたい。ケガさせたのも向こうだからこれで差し引き0だけど。でも俺の力目当てで治したから、やっぱマイナス10ね。

 

 けもの道を歩いていると、人とすれ違った。「こんな所で人を見かけるとはな」

「同じく。こんなところ普通だったら歩きたくないハズ」

「まあ俺たちは普通じゃないからな」

 人は顎に手を当てる。

 

 石像のことを話しておいた。

「まあ何とかするさ」

 人は道を進み行く。なんか見た目と雰囲気があいまってなんとなく人としか言いようの人だったな。

 

 カシヨはため息をつく。

「アイツたぶん信じてねーぞ」

「まあ大丈夫でしょ」

 走れば逃げられるしな。

 

 視界が下に向かって高速で動く。

「うっ」

 足くじいた。

「あっぶねええ」

 右腕が急に痛くなったので、右腕を見るとカシヨが俺の右腕を握ってた。

 

 落とし穴は蟻地獄の巣のようにすり鉢状になっている。落とし穴の側面に触れると、のれんに触れたかのように手が無抵抗で側面に入っていった。

「こんな所に落とし穴があるのかよ」

 底の方には鉄の棒が角度を付けて何本も刺さっていた。鉄の棒に所々赤さびが付いているのが戦果を彷彿とさせておぞましい。

 

 手を抜いてから、引き上げてもらった。

「この落とし穴もがけばもがくほど出られない仕組みになってやがる。しかも落ちるときだけはしっかり地面が硬い」

 こんだけ柔らかけりゃふつう足はくじかないしな。

 

 カシヨが俺を肩車する。いつもより倍以上も高い視界が新鮮だけどどこか懐かしい。そしてそれ以上に恥ずかしい。 

「恥ずかしいから降ろせよ」

「でもお前足くじいてるだろ。歩けねえ奴に合わせて一緒に歩いてやる必要ねえし、おんぶだとお前の腕力次第で落ちるかもしれねえ」

 うがあああ。口は悪いけど、正論なのが、悪いことしてないのが、質が悪い。

 

 様々な人の行列が正面から見えた。共通点が分からんね。

「俺を叩きだしやがった経営コンサルタントもいるじゃないか」

 その辺の木の後ろに隠れるように言った。俺が生きていると知られると色々厄介だ。

 

 肩車されていたおかげだな。

「この国の貴族付きの凄腕カードファイターをじわじわ消していく計画NGDP(ノーブルガーディアンデリートプロジェクト)。諸君がどれだけ計画を進めたのか教えてもらいたい」

「ピンハネル伯爵家のカードファイターを見事叩きだしてゴブリンに抹殺させました」

 あの経営コンサルタント最初から俺のこと抹殺する気だったのか。

 

 ん? あそこにいるのはフィールドファイト大会の閉会式で俺と戦った……確かゼリオだったかな。半年以上も前のことだから忘れちゃった。

「フィールドファイト大会のトップの体を借りてわかったことだが、この計画には穴がある」

「なんだ。言ってみろ」

「カードファイトが強い貴族もいるということだ。そういう貴族の姿を奪った方がいいだろ」

 様々な人の行列からわぁっという歓声が沸く。

 

 もしかして聞いたらいけないことを聞いているのかもしれないな。

「なんでこんな所でそんなヤベエ話をしてるんだよ」

「誰かに聞かれてたら確実にマズいな」

「大丈夫でしょ。こんな人のあまりいない森のけもの道に人がいるわけないわ」

 コイツラおちょくってんだろ。

 

 様々な人が腕を空につき上げた。

「ビートダウンの末裔たる我らアタラシアに栄光あれ」

「「「「「ビートダウンの末裔たる我らアタラシアに栄光あれ」」」」」

「アタラシアってどこ?」

「たった十年前に出来た新興国だったかな。たしか国民全員がカードファイターで、すべての国を仮想敵国としていてすべての国に仮想敵国扱いされてるイカレ国家だったかな。国が出来る前は遊牧民族だったらしい」

 へぇ。何か裏がありそう。そもそもカードファイターって珍しい体質らしいのにいっぱいいるとかすげえな。

 

 それにしてもあの経営コンサルタント敵国のスパイだったのか。

「許せねえ」

 どうしてくれよう。

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