プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百六枚目 不死身手当

 モヒカンはターンを終えた。俺の十ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト3でサボテンドラゴンのトゲを発動する。鯵テーターとビーコンパラサイトでヒーリングパラディンに攻撃。ギロチンフェイスデビルはペルーダとヘル・ブレーダーにダメージを与える。ヘル・ブレーダーも残り2ターンの命だ。ターンエンド」

 サボテンドラゴンのトゲでさらにダメージを受けるから実際はもっと短いかもしれないけど。

 

 モヒカンの十一ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。コスト4でヘル・ブレーダーを召喚。さっきから場にいた方のヘル・ブレーダーでペルーダに攻撃。この攻撃によって俺の生命力は0になるが、生命力保険不死身手当を破壊して、生命力は20になる」

「なるほどね」

「もう一体のヘル・ブレーダーでペルーダを攻撃。そしてヒーリングパラディンでペルーダに攻撃」

 結果的にヒーリングパラディンが二体も破壊された。攻撃力が無いから迎撃の影響をもろに受けちゃったんだよね。

「ターンエンド」

 幸いなのはもう一体ヒーリングパラディンがいなかったことだ。四十も削りきれねえよ。

 

 俺の十一ターン目だ。

「ドロー。コスト7で焼鳥屋に賛成するにわとりを召喚。コスプレイヤー効果で手札ににわとりを戻す。俺はヘル・ブレーダーに攻撃。そしてギロチンフェイスデビルとビーコンパラサイトと鯵テーターでヘル・ブレーダーに攻撃。一気に行ってもどうせ結果は変わらないから、一気に言わせてもらった。ターンエンド」

 モヒカンの十二ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。これはもう勝てそうにないな。勝つ意味もないしやめておくか。降参」

 場のモンスターが消え去った。

 

 コイツ自分から挑んでおいて都合が悪くなったらやめるのか。なんという野郎だ。というか降参しても大丈夫なのね。

「まさか俺の不死身ブレーダーが敗れる日が来るなんてな」

「今まで運が良かったんだね」

 モヒカンはその場を去って人の列の中に戻る。

 

 また誰か来るのかな。

「今回は見逃しておこう。コイツが何をしようとも社会的に何の影響もないから、何を言われても何の弊害はないという判決が出た」

「いましたこと全部無駄じゃねえかよ」

「無駄じゃない。なぜならデッキの内容にだいたい察しがついたからだ。次があるなら対策できる。あとメイクファイトは生命力の高い方が降参すれば命を失うことはない」

 そういうもんか。メイクファイトってそういう裏技もあるんだね。

 

 スパイが森にいっぱいいたと言っても信じてもらえなさそうだ。

「そういう巧妙なところを突いてきたか」

 気絶していたカシヨが目を覚ました。

「お前瘦せろよ。重かったぞ」

「やっかましい。もう一回上から落ちてやろうか」

 なんなんだこいつ。

 

 経営コンサルタントが俺に近づく。

「生きてたなんて予想外ですよ。判決では生かしても問題ないとのことでしたが、私にとっては大問題なんです」

「おいやめろよ。無駄に戦う必要ないだろ」

 ここで止めてくれるモヒカンは意外といい奴……でもないな。自分が負けそうになったらやめるし。

 

 経営コンサルタントはデッキを構えた。

「お前カードファイター嫌ってたんじゃなかったのかよ」

「あれは演技ですよ。ああ言えばモンスターに襲われても、私が襲わせたと思われないですからね」

 最初から俺をモンスターに襲わせるだったのか。

 

 カード使えない云々は嘘だって分かってるけどね。盗賊ゴブリン召喚してたから。

「逆に言えばトゥルーファイトで倒されても、ただの変死扱いされるってことか」

「まあそういうことです」

 モヒカンは俺を罵っただけだから命を奪うまでのことはしたくなかったけど、コイツは別だ。俺のこと抹殺しようとして、一時的に記憶を消したんだからそれなりの報いは受けてもらう。

 

 自分勝手のように思われるかもしれないが、人間なんて、みんな、自分勝手なんだ。

「「メイクファイトエントリー」」

 俺のデッキが赤く光った。

 

 結局互いに2ターン目までなにもしなかった。経営コンサルタントの3ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。チャージ。コスト2で盗賊ゴブリンを召喚。盗賊ゴブリンでプレイヤーに攻撃」

 盗賊ゴブリンのナイフで右肩を切られる。

「やべえ」

「ぐうぅ」

 死ぬかと思った。

 

 辛うじて腕は動くな。よし。

「普通だったらこれで終わりなんですけどね」

「生きてて良かった。そいつには次元の巫女の力があるんだ。そいつは金の卵を生む害虫みたいなもんだから、放置しとけ」

 経営コンサルタントは驚いたかのような顔をする。

 

 経営コンサルタントの口角が上がった。

「親友が次元の巫女の力を持つ者に親友が殺されました。邪魔者の始末と敵討ちもできて一石二鳥。ターンエンド」

「それを言われちゃなにも言えねえ」

 俺の4ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト3でハイパービーストを召喚。ハイパービーストで盗賊ゴブリンに攻撃。ターンエンド」

 これで2ターンしのげる。

 

 経営コンサルタントの4ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。チャージ。コスト3で風の魔導師を召喚。風の魔導師でハイパービーストに攻撃」

 一瞬そよ風が俺の頬を撫でる。

 

 気づけば全身に切り傷が出来ていた。

「生命力は減りませんが、死に近づきますよ」

 殺して勝つスタイルか。

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