プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
バロンナハさんとの戦いの後で気が抜けて無気力になった。
「むきりょく~」
「何しているんですの。しゃっきりしなさいな」
「そうよ。この私に勝ったのだからだらしない真似は許されないわ」
ラーナちゃんにほっぺたをぷにぷにされた。
「正確には引き分けだよ」
だっる。
文字の書かれた紙を見せられた。
「ええっと何々。第39回フィールドファイトバトルロワイヤル大会ね。やたら長ったらしい名前だなあ」
「優勝賞品にレアカードが貰えるらしいわ。出場するわよ」
「優勝できなくても参加賞はもらえますので、参加してください」
「そういうことなら早く言ってほしい」
体から力を振り絞って起き上がる。
でもルールが分からねえんだよなあ。
「ルールが分からないんだよね」
「教えてあげますわ」
お嬢様について行って更衣室まで来た。
ラーナちゃんはドレスを脱ぐ。下にスパッツと半袖シャツを着ていたので、ロリコンの汚名を負うことはなかった。下着姿を見たわけじゃないからな。
「動きやすい服装の方が有利なのよ。暑苦しいドレスを脱ぎ捨てられる言い訳にできるから私はフィールドファイトの方が好きよ。まあ動きやすいのがいいなら全裸になるのが一番だけど。第十五回大会にはそうしてる人が優勝したしね」
良く第十五回大会で中止にならなかったな。
そんなことしたら今度こそは中止にされるかもしれない。
「それはまずいだろ。冗談でもそういうことを言うのはマジで止めろ」
「冗談よ冗談。全裸は嫌よ」
心臓に悪いんだよなあ。
お嬢様もドレスを脱いだ。お嬢様もスパッツと半袖シャツだな。流行ってるのかな。
「冗談言っていないで着替えますわよ。先生も早く着替えてくださいまし」
「俺は大丈夫です。充分動きやすい服装なのでね」
「この夏場に見てるだけで暑苦しいもこもこした服装はまずいですわ。それにこの服装は第一回から第十回の大会の優勝者全員が着ていた服装なのでゲン担ぎのようなものですわ。ゲン担ぎは普段からしている方が効果がありますの」
カードゲームは所詮運ゲーなのでそういうのも必要かもしれない。
お嬢様に服を脱がされて全裸にされた。キャラクリエイトだともっと露出度が少ない恰好なんだけどなあ。
「もこもこしてるように見えて案外涼しいから気にしないで。ちょっと待って。アッーーーー♀」
俺も着替えさせられて外に出ることになった。色々とスースーしてて落ち着かないんだけど。
森に到着した。
「大丈夫? ここ盗賊いたんだけど」
「捕まったから大丈夫でしょ。それにカード使えるから盗賊が一個師団級で来ても楽勝よ」
「カード使う前にリアルファイトされたら負けでしょ」
「大丈夫ですわよ。その時は何とかなりますわ」
心配だ。
お嬢様とラーナちゃんはデッキを出した。
「フィールドファイトバトルロワイヤル大会は基本は運営が用意いたしましたヌーブという職業とブランクという効果のないカードしか使えませんわ。ヌーブは防御力と攻撃力が0で生命力が10のなにも職業効果がない職業ですの。第5回大会で参加者全員騎士だったために決着が長引きましたので、そういう仕様になったらしいですの」
「もちろん普通のフィールドファイトは自由にデッキを使えるわよ」
コスプレイヤーからメリットを引いたような最弱職業じゃん。全員が使うから平等だな。
ラーナちゃんがコストゾーンにカードを置いてからお嬢様がドローした。
「モンスターの効果とステータスは使用できないわ。使える魔法は運営が用意したカードの中から三種類までで、それぞれ一枚ずつ。十分で一ターンがたつわ。そしてドローとチャージはこの辺は基本的よね」
「あとフィールドファイトには先攻後攻の概念がありませんの。戦闘中のプレイヤーに割り込んで倒すこともできますわ」
「モンスターは狙いを決めてからコストゾーンのカードを使用状態にしてからブランクを掲げることでモンスターを確保して使うことができますわ。他のプレイヤーが狙っているモンスターは狙えませんわ」
ラーナちゃんがブランクを掲げると、大きなイモムシを消した。
ラーナちゃんはイモムシの入ったカードを見せてきた。
モンスター コスト1 デカイモムシ 種族:インセクト
効果:なし
説明:いずれ強くなる虫。
攻撃力:1 防御力:0 生命力:2
「はえ^~」
カードジョブオンラインじゃ野生のモンスターをカードにするとき、野生のモンスターとイベント戦みたいなのしてゲットの流れだったけどね。フィールドファイトの仕様を作るのが面倒くさかったのかもしれないな。
お嬢様がカードを掲げると蚊柱が消えた。
モンスター コスト2 モスキートハシラー 種族:インセクト
効果:なし
説明:雑食性の蚊が集まった柱。集まれば強いぞ。
攻撃力:1 防御力:1 生命力:2
ラーナちゃんとお嬢様は向き合った。
「戦うことが出来ますわ」
モスキートハシラー:攻撃力2
デカイモムシ:攻撃力2
「攻撃力が上がった」
「置き続ける魔法の中にはモンスターのステータスを上げたり下げたりするものがあるのは知ってるわよね」
「それは知ってる」
一時期それでビーコンパラサイトの攻撃力を上げまくって殴るネタデッキ使ってたからな。
ラーナちゃんは木に触った。
「あれって要は自然を再現したものなのよね。つまりフィールドファイトだと特定のモンスターはフィールドによってステータスが変化するの。森だとフラムビーストとインセクトが変化するわね」
「なんでフィールドファイトの時しか変化しないの?」
普段からも変化すりゃあいいのに。
ラーナちゃんはしばらく考える。
「分からないわ。知ってる?」
「周りの環境が自分のフィールドに影響を及ぼさないために魔力で結界を作っているからですわ」
そういうことなのか。
ラーナちゃんが逃げた。
「戦っている途中に逃げて体制を整えることも出来ますの」
「そういうことよ」
ラーナちゃんが木の上から着地する。いつの間に木に登ってたんだ。
色々複雑なルールがあるんだなあ。
「開催地と開催日についてじっくり知っておくべきだね」
「開催地はリルテックシティーで開催日は七日後ですわ。それまでの練習をしておきますわよ」
「ファイト、オー」
がんばるぞー。
「何やってるのよ」
「気合を入れる言葉なんだけど。やらないの?」
「やらないわよ」「やりませんわ」
リルテックシティーか。聞いたことがない街だな。