プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
魔霧の使い手の十七ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト8で邪精霊の復活儀式発動。墓地からコストが8以下になるように邪精霊モンスターを蘇生して、デッキの上から三枚をコストゾーンに送る。湖の邪精霊と口笛の音の邪精霊を蘇生。ターンエンド」
アレックスの十七ターン目だ。
「マインターン。ドロー。巨躯なる獣鬼の帝は玉座にすら収まらぬ。コスト7で合体獣鬼帝 キョダイザーを召喚シマース。デカイザーにライドオン。ジュウキキングファイブで口笛の邪精霊にアタックデース。破壊。キョダイザーで湖の邪精霊にアタックデース。ターンエンドデース」
何かが引っかかるんだよなあ。
魔霧の使い手の十八ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3でハイパービーストを召喚。コスト6でクワトロブースト発動。コスト4で大地の知啓発動。ターンエンド」
次のターンでコスト20だ。そんなにデッキ削ってどうしたんだろう。いうて相手のデッキ最初は60枚だったからまだあるけどさ。
「コストがいっぱいデース。20もあっても無駄デース」
コストが20……そういうことか。
アレックスの十八ターン目だ。
「アレックス。あいつは次のターン
あれはドラゴンブレスと組み合わせちゃいけないカードだからなあ。
「オーケー。マインターン。ドロー。チャージ。ジュウキキングファイブの攻撃力をハーフにすることで、直接アタックができるようになりマース。そしてコスト10で獣鬼王全力奥義 ジュウキキングフィニッシャーを発動シマース。合体獣鬼カードの下にある獣鬼カードの枚数分ジュウキキングと名の付くカードの攻撃力を上げマース。バッドアタック終了後にミーは負けマース。ジュウキキングファイブの攻撃力を10上げマース」
倒しきれば負けるデメリットはないんだけどね。ジュウキキングファイブは魔霧の使い手に拳を振り下ろした。
魔霧の使い手生命力:7→0
「ビクトリーキョダイザー」
魔霧の使い手から水が出る。水はジュウキキングファイブに入り込んだ。
場からモンスターと魔法が消えて、霧が無くなった。湖もねえな。湖自体が湖の邪精霊だったのか。
「そうか。魔霧の使い手が亡くなったから霧が晴れたのか」
「フムムどういうことデースか?」
「聞いてなかったか。トゥルーファイトは生命力が0になると死ぬ」
アレックスが聞いてないのも当然。言ってないからね。言ったら躊躇うじゃん。俺が助からないじゃん。それに所詮モンスターだもの。相手が人間だったらさすがに言ってた。
アレックスが顔を伏せてる。悲しんでるな。なんていえばいいんだろ。
「それに所詮俺たち以外にも人を襲ってるモンスターだからね。そんなモンスターは害獣みたいなものだから、駆除しても誇るべきだよ。未来の被害者たちの命を救ったと考えればいいさ。いいことをしたんだよ」
精一杯言葉をひりだしたぞ。他人が落ち込んでるところあんま見たことないがゆえに対処が分からないからこれが正解か不正解かわからん。
アレックスの拳が硬く握られる。
「知っていれば覚悟……リソリューションも出来てマシタ。しかし何も知らないのにリソリューションはキャンノット」
「お前トゥルーファイトエントリーって言ってたじゃないか。聞く人によっては知ってて言ったのかと誤解するじゃないか。あとさたかがモンスターの命じゃないのさ。人じゃなくて良かったね、人に向けないようにしようねで次に活かせばいいと思うよ。それにさモンスターの命を奪うなんてカードファイトでいつもやってることじゃないのさ。ポジティブに考えようよ」
あ~ダメだこれ。テンパって変なこと言っちまった。
アレックスは顔を上げた。アレックスは己の唇をかんでいた。
「ユーがスモールアンドキュートでも悪は悪だと分かりマシタ。悪に入り込み、内側からデストロイさせようとした判断はソーバッドだったデース」
「何を言っているんだ」
残念ながら説得失敗したみたいだな。
カシヨが歩いてやってきた。
「お前今までどこで何やって来たんだよ」
「カードファイターからデッキ奪ってきたぞ。馬鹿二人に付き合いきれんからな。欲しけりゃくれてやる」
「あっバカ。タイミング極悪すぎ。あと誰がバカ二人だよ。ふざけんな。お前がバカだバカ」
コイツ肝心な時にいないくせに、かなりマズい状況でかなりマズい事言ってきたよ。やめてくんね。
アレックスは俺たちを睨んだ。
「悪は正面からパワーでプレスするのがモストジャスティスデース。カードハンター潰しマース」
「カードハンター全部を悪だととらえるとかお前が悪だろ。一般的なカードハンターは命までは奪わないし、合意の下でカードファイトで実は悪じゃないぞ」
「そういう話じゃないぞ。俺の発言があいつの精神を逆なでしてしまったから、カードハンター全員悪だと思ったんだぞ。たぶん」
カシヨは俺を巻き込むなと言いたげな目で見てきた。
アレックスはデッキを構える。
「ユーとカードファイトをして、叩きのめし、まともなライフを送れるようにシマース」
「待てよ。俺のデッキの構成を知ってからにした方がいい。俺だけがデッキ構成を知ってるのは不公平だろ」
アレックスにデッキを見せた。