プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
俺の八ターン目だ。
「ドロー。求めていたものが来た。コスト3で素通り門番を召喚。コスト6でブーストライブラリ発動。薬草アルラウネでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
アレックスはため息をついた。
「素直にルーザーになりたいなら、悪事したくないと言えばいいのデース」
アレックス:生命力40→44
アレックスの九ターン目だ。
「マインターン。二枚ドロー。五つの鋼の獣の魂が勝利を呼ぶ。コスト5で合体獣鬼王 ジュウキキングファイブを召喚しマース。獣鬼カードを五枚このカードの下に置きマース。攻撃力を削らなくても、ジュウキキングファイブは直接アタック出来るようデスネ……。つまりこれは悪事を働きたくないというメッセージの現れデース。ジュウキキングファイブでプレイヤーに攻撃。ターンエンドデース」
ドロウ:生命力10→4
ちょっと生命力が削れすぎだな。俺の九ターン目だ。
「ドロー。チャージ。このカードは相手の生命力が自分の生命力の十倍以上なら使える。コスト2で大逆転の切り札発動。デッキから好きなカードを一枚持ってきてから二枚ドローして山札の上から二枚をコストゾーンに置き、コストゾーンのカードを二枚未使用状態にする。そしてコスト……コスト10で雲外コンパクトミラーの防御結界発動。一ターンに一度受けるダメージを3まで減らして、相手の生命力を減らした数値の4倍回復する。ただしこのカードの効果を使用したターンの次の自分のターン終了時まで攻撃出来ない。薬草アルラウネでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
なんたら邪教団の首長にもらったカードが役に立った。こういう積み重ねって大事だよね。
アレックスは自らの口元に手を当てる。
「まさかこれまでのことは大逆転の切り札のエフェクトを発動するためだけにしていたことだったのデスネ。普通に考えればコストが見合っていませんが……まさか」
アレックス:生命力44→46
アレックスの十ターン目だ。
「マインターン。二枚ドロー。チャージ。ジュウキキングファイブでプレイヤーにアタックデース。ターンエンドデース」
「雲外コンパクトミラーの効果発動。受けるダメージを3減らして3×4×2で24回復。コストが1足りなかったな。獣鬼王奥義を使えば一撃だったのに。待つことを知れ」
なんのまさかだったんだよ。
俺の十ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コストを15減らしてコスト5で魔導回復生命体を召喚。そしてコスト0で魔法発動。強制終了」
さっき山札を確認した時に確かにあったからな。
「強制終了……クレバーデスネ。これでルーザーにはならない」
「感心してるところ悪いがこれコピーデッキなんだ」
環境デッキしかコピーしないコピーデッカーはカードゲームやるな。コピーするならこういう強くないけど賢いデッキもコピーしろ。
最初から引き分け前提で動くわけもないしな。
「魔法カード ライブラリエフェクト:グレイブの効果だ。俺だけは負けない。アレックスよりも生命力も山札もひとつ多いからな」
「アンビリーバボー。すごくズルい」
ズルくてもルールに従っているので、俺の勝ち。
アレックスから何を貰おうかな。
「カードを全部貰おうかな」
「いやそれはダメだ」
「なんでさ」
「俺が困るからだ。折角の次元の巫女の力が失われるんだぞ」
一つあるのにもう一つ欲しいのか。この欲張りさんめ。いや一つもないけど。
というかカシヨほとんど話を消えてねえ。
「そんなことよりもお前はまだ勝ってねえ、場にモンスターがいるからな。おそらくアレックスの墓地になんかあるんだろ」
獣鬼カード屈指の汎用性があるアイツのこと忘れてた。アイツは
「あっ。フォーゴット。まだありマシタ。セメタリーからスカンクラリーポンプのエフェクト発動シマース。デッキからセメタリーに送られたときマインフィールドに獣鬼カードがあれば1ダメージをアタエマース。セメタリーからカタカケファンチョウのエフェクト発動デース。マインフィールドのモンスターの下にある獣鬼カードを一枚セメタリーに送って、カタカケファンチョウ以外の獣鬼カードを二枚デッキに戻しマース。カムバック」
因みに今カタカケファンチョウの効果を発動する意味はない。
アレックスの口角が上がった。
「引き分けデース」
「勝ちから引き分けに持ち込まれた。なかなかやるな。ここで引き分けになったらどうするんだよ」
カードジョブオンラインじゃ何も起こらなかったが、カードジョブオンラインの運営は色々と怠けぐせがあるのでこの世界だとそこら辺違う可能性がある。
カシヨは考えた。
「互いに負けた場合互いの今のデッキのカードを交換することになっている。何を交換するんだ」
「じゃあ俺はわりと余り気味のブンコバットね」
「五枚目の有翼の剣士デース」
互いに要らないカードを押し付ける。
アレックスは拳を固く握った。
「この世界ですべきことが分かりマシタ」
「なんだよ」
「言いマセーン。もう少しパワーをプラスしてからチャレンジマース」
よく分からないが、面倒くさくなりそう。