プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百二十枚目 あぶり出し

 暇なので外でガキどもと遊んでいた。

「どうもこんにちは。シスターさんいますか」

 アイツは確か暗黒邪教怒労蛮苦団の四番手だな。ぶかぶかの服を着てどうしたんだろう。

「シンズルは炊き出しに行ってるからいない」

 四番手は変だなと言いたげな顔をする。

 

 理由を聞いた。

「自分の家が見るからに貧乏なくせして炊き出しやってるのかと思ってさ。まず自分の心配すべきだろ」

「まあそれはそう。でも庭が無駄に広くて食料作れるから実質無料で問題なし。ところでなんでこの教会の場所知ってるの?」

「カシヨに教えてもらった」

 なるほど。

 

 四番手がガキどもと一緒に遊んでいると、シンズルが炊き出しから戻ってきた。

「アカネさんありがとうございます。忙しいのにすみません」

「いいのいいの。暇だからね。なにしろ護衛任務で大金貰ったから。生活には困らない」

「意外と堅実だ。ただの戦闘狂かと思ってたぞ」

 まあ戦闘狂はキャラだから。

 

 四番手は何かを思い出したような顔をした。

「ああそうだ。しばらくはこの辺りでトバクファイトしてカード奪うのは止めておけ。カードハンターハントが流行ってるからな」

「カードハンターハントですか。しばらく気を付けた方が良さそうですね。私も相当悪事を重ねましたもの」

「シンズルは例外だろ。これまでなんだかんだ法律準拠で、悪事の一つも働いたことがないんだからさ」

 四番手はうさんくせえと言いたげな顔をする。言いたい事があるなら直接言えよな。

 

 生臭神父が出てきた。

「どうもこんにちは。そちらの子は新しい子ですか?」

「多分そうだと思います」

「ちがわい。諸事情によりカシヨと別行動を強いられてるだけだから。ここの神父さんは生臭いから注意しろって言われたけど、生乾き臭しかしないんなら平気だろ」

 カシヨはいい奴だね。

 

 オメンオクがやって来た。定期的にやってくるかなり胡散臭い奴でしかない。四番手を見て一瞬固まってたけどどうしたんだこいつ。

「神父さん今日もお日柄が良いですね。最近カードハンターハントなるものがあるらしいですね。従業員の一人がカードハンターやってる身だと大変になりそうですね」

「こんにちは。立ち話もなんですから奥で話しましょう」

 オメンオクと神父が教会の中に入る。

 

 四番手はオメンオクをじっと見た。

「なんでこんなところにいるんだ。やっぱおもちゃ屋さんだからかな」

「どちらかと言えば人の命をおもちゃにしてそう」

「まあそういう胡散臭さはあるけどさ」

 オメンオクは胡散臭い。

 

 白い炎が沸き上がった。

「なんだこれぇ!?」

「おねーさんいきなり揺れないでよ」

「悪かったな。それにしても呑気だなぁ。いきなり火の手が上がったのに」

「火なんて見えないよ」

 触っても全然熱くない。というか冷たい。

 

 白い炎は人の形になる。

「悲しみ、怒り、亡者の怨み。我らは亡者の怨み」

「なんだコイツ」

 教会全体が火に包まれる。

 

 シンズルがバケツを持ってきた。

「教会全体が燃えてますよ。早く水を取りに行かなければ……」

「よく見てみろ。全く燃えてない」

「本当に燃えてないですね。これは幻でしょうか。むしろ涼しいというかなんというか」

 ガキどもは訳わからないと言いたげな顔をしている。なるほど。カードファイターにしか見えない幻の炎か。盛大な炙り出しだな。

 

 白い炎は指を指した。

「そうか。貴様らカードハンターか。我らはカードハンター被害者の会だ。我らの怨みの一部となれ」

「亡者の怨みって言う名前じゃなかったのか」

 四十枚のカード型の炎が出て来て、デッキになる。無視すんな。

「やだよ。なんでてめえらの一部にならなきゃいけないんだ。死者の戯れ言に巻き込まないで欲しい」

「大人しく浄化されてください。生者には生者の死者には死者の道があります」

 なんでこんなのがいきなり現れたんだ。

 

 白い炎はデッキを構えた。

「カードファイターならばカードで決着をつけるのが一番だ」

「それはそう」

「ですが、3対1ではそちらが不利なのでは?」

「我らは1でもあり100でもある。つまりこういうことも出来る」

 白い炎が三つに増える。

 

 デッキを構えた。

「「「我らの怨みを受けてみよ。メイクファイトエントリー」」」

「メイクファイト?エントリーです」

「「メイクファイトエントリー」」

 メイクファイトってなんだよ。

 

 白い炎のデッキが光った。

「我らの一ターン目だ。チャージ。ターンエンド」

 四番手が目をそらした。

「何か秘密にしていることが、あるんじゃないんですか?」

「メイクファイトは痛みがリアルに伝わる。つまり、生命力が0にならなくても死に至るかもしれない。覚悟しておけ」

「それをもっと早く言ってくれよ」

 うそくさいな。

 

 三ターン目まで何もなかった。シンズルの四ターン目。

「私のターン。ドロー。チャージ。コスト2で有翼の剣士を召喚。ターンエンド」

「いきなりモンスターが出た」

 白い炎その2の四ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でハンターファルコンを召喚。小さなプレイヤーに攻撃」

「ぐぎぎぎ」

 ドロウ:生命力10→6

 四番手の服にハンターファルコンの爪の跡が出来ていた。

「火に焼かれるよりマシだな」

 本当に痛みを受けるのか。

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