プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百三十七枚目 デコイ

 古代文明の遺跡はロマンだ。しかしカシヨはメインデッキはロマンデッキのくせにロマンを重視する人間には見えない。

「カシヨは古代文明にロマンを感じるような奴じゃないから、遺跡のレアカード目当てだろ」

「ああ。古代文明にはパックからは出ないようなレアカードが眠っている。性能はたいてい低いが、それを差し引いても高値で売れる。それにごく稀に性能が高いカードもあるからな」

 古いカードは再録されてないのが多くカードの効果も強いのがあるというカードゲームあるある。

「奪い合いになるだろ。こんなのんびりしてたらだめじゃないか。いつものお前なら俺にも知らせず勝手に消えるくせになんで今回はいるんだ」

 カシヨはため息をつく。

 

 カシヨは指を指した。

「それがのんびりしていい理由があるんだ。今月まだなにもしてないだろ。そんな状態でハントマスター様の下に行けばわりとマズイ」

「実のところノルマに耐えかねて諦めたんだろ」

「諦めていない。古代文明の遺跡にも入れる時間帯があるだけだ。まだ入れない時間帯ってだけだぞ。それに古代文明の遺跡は事前に待機して並んだ者は一日の間建造物や街に入れないように結界が張られてる。こんなこと常識なのになんで知らねえんだ」

 わりと常識だったのか。ピンハネル伯爵家には古代文明についての資料があまりなかったから知らなかった。

 

 カシヨはブランクカードを掲げた。

「古代文明の遺跡の近くでこうすれば、ここに古代文明の遺跡に入れるようになる時間が記される。これをやったらこのブランクは二度とは使えなくなる……なんてことはないから安心しろ」

「そうか。それなら安心だな」

 ブランクを掲げると、時間が出た。あと二時間か三時間だな。

 

 カスタードクリーム色のローブとテンガロンハットを被った奴がいた。

「アレックスか。立ち直りの早すぎる奴だな。まだ三十分も経ってないぞ」

「アレックスか。誰だソイツは。聞かねえ名だな」

 声が明らかに違う。

 

 じゃああやしい奴だな。今のはアレックスがあやしい奴じゃないという誤解を受ける言い方になるがな。

「誰だお前は」

 カシヨはデッキを入れ換えた。

「カードハンターを狩る者、ウェイラだ。ハンターハントの流れにお前らも溺れてしまえ」

「らってことは俺も巻き込むつもりかよ。マジでそういうの勘弁してくれ」

「ゴミはまとめて片付けた方が合理的だと思うがな」

 あーなるほどね。

 

 って誰がゴミだよ。

「ふざけたことを言うな」

「カモン」

 ウェイラが指を鳴らすと、もう一人ローブとテンガロンハットの格好をした奴が現れた。

 

 現れた奴はデッキを構える。

「タッグファイトだ」

「俺は2対1で勝ったことがある。ゴミであるカードハンターにさえそのぐらいは出来るんだから、カードハンターを狩る者であるあんたらはそれが出来ないってことはないよな」

 2対1なら勝ちに持ち込める。

 

 ウェイラは俺を指を指す。

「常識的に考えて粗大ゴミは一人じゃ片付けられない」

「ぐだぐだ話しても仕方がない。どうせ逃げられないようになってんだろ。タッグファイトエントリー」

 カシヨの右腕にいつの間にかミルオクルパラサイトが引っ付いていた。

「話が早くて助かる。タッグファイトエントリー」

 ウェイラのデッキが赤く光る。

 

 ウェイラはカードをチャージして魔を導く者を召喚し、ターンを終えた。タッグファイトじゃ珍しくこんなに早い段階で俺の1ターン目だ。

「ドロー。チャージ。ターンエンド」

 もう一人の1ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト1でデコイを召喚。ターンエンド」

 1ターンに一度デコイは攻撃対象を自らに移すモンスターだ。

 

 カシヨの1ターン目だ。

「俺のターン。ドロー。チャージ。コスト1で大アルカナを発動。小アルカナの効果発動。コストを1軽減してコスト0でザ・フールを召喚。大アルカナの下に置かれる。ターンエンド」

 ウェイラの2ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト2でメガチャージ発動。俺はそのちっこい方のプレイヤーに攻撃する。ターンエンド」

 ドロウ:生命力10→8

 

 俺の2ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト2で盗賊ゴブリンを召喚。盗賊ゴブリンで、デコイに攻撃。破壊。ターンエンド」

 壁にするつもりならスピードラットの方が良いと思うぜ。

 

 もう一人の2ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト2でメガチャージ発動。ターンエンド」

 カシヨの2ターン目だ。

「俺のターン。ドロー。チャージ。コスト1でザ・マジシャンを召喚。効果発動。デッキの上をめくれ」

 カシヨは手をデッキに近づける。

 

 ウェイラじゃない方と、カシヨはデッキの上をめくる。

「俺はコスト10のアルカナンバーテン ホイールオブフォーチュンが出た」

「コスト11のベルエス」

「そうきたか。好きな魔法カードをデッキから加えろ」

 ウェイラじゃない方はデッキを見て、一枚を手札に加えた。

 

 たがカシヨはまだ終わってない。

「ホイールオブフォーチュンの効果発動」

 互いに山札の上をめくった。

「俺はコスト14のアルカナンバーフォーティーン ザ・テンパランスだ」

「コスト11のベルエス」

「俺は山札からアルカナンバートゥエンティ ザ・ジャッジメントを手札に加える。ターンエンドだ」

 ベルエスってなんだよ。

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