プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
古代文明の遺跡に入った。そこら辺に何やら倒れてる人はいたけど、誰一人入ろうとしないので一番乗りである。
「近くで待つバカが転がってら」
「私はあなたより賢いとは思ウ」
「確かに~。って誰だ今の」
もう一人いるのか。
カシヨは後ずさりをする。壁がいきなり曲がって、俺たちにギリギリ当たりそうになる。カシヨに掴まれてなかったら危なかったな。
「暗くて気がつかなかったと思うが、わずかに段差が低くなっていた。壁を動かしやすくするために床を低くしたんだろうな」
「なるほど。凄くシンプルなトラップだったわけか」
壁の下の方にスピーカーが付いていた。
「私はあなたより賢いとは思ウ」
事前に録音したものを流して反応させ、壁で潰す罠か。いやらしいな。もっといい音声があるというのは禁句なんだろうな。
脚に何かが引っかかる。
「伏せろ!」
急いでしゃがむと頭上を刃が高速で通過した。
カシヨは着地する。
「ジャンプで避けられるようじゃこの程度だな。天井低くすりゃあ良いのによ。ここの罠はどこか詰めが甘い感じがする」
「言うほど甘くねえよ」
殺意モリモリじゃんか。
脚に引っかかっていた糸を跨いで進む。
「ここまでトラップを掻い潜りましたカ。やりますネエ」
いきなり床がなくなる。
あんま痛くないからそんな深いところじゃないだろうな。
「なんだこのブヨブヨしたの」
まるでタコの足の上にいるみたいだ。
「この床で衝撃が抑えられたわけだな。歩きにくいこと以外に支障はない」
うお、足が少し沈む。
おっと。転ぶかと思った。
「なんだこれ」
草原の草みたいな感じで触手が生えてやがる。
「その辺に落ちてたモンスターの骨を捨ててみる」
カシヨが骨を投げると焼け石に水をかけたような音が聞こえて骨が溶けた。
さっき転んでたら、頭蓋骨が溶かされてたってことか。歩きにくい上に物を溶かすトラップの二重がまえとはなんと凶悪なコンボなんだ。
「ところどころ触手が生えていないところがあるから、そこをすすめばいい」
「なるほどね」
触手の生えていないところを歩く。
何度も転びそうになったが、結果的にカシヨの服以外は無事である。触手地帯を抜け出せた。
「本領発揮といったところだな。変な格好は精神的に有害でしかない」
「そっかお前はそうだったな。莫大な運と引き換えにファッションセンスを失ってそう。だいたい服を溶かされるシチュエーションは恥じらいがないとダメだ。恥じらいが一ミリもないので需要がないんだよなぁ」
一瞬見惚れていたとかそんなものは一切ない。ないったらない。
ガチガチと言う音が聞こえる。
「最小限任務開始」
天井から人影が3つ落ちてきた。
こいつら暗黒なんたら団の一番手と二番手だ。ということはもう一人は首長だな。
「そんなわけねーよな。爆発に巻き込まれたはずだもんな」
「我らは裏切り者を許さない」
「組織も潰れたのにボスと一緒にいるんだな。見上げた忠誠心だな。お前らみてーにはなりたかねえ」
「四番手ごときが」
一番手はデッキを構えた。
首長は一番手を手で制して、デッキを構える。
「前よりも格段に力を上げている。敵う相手ではないかもしれん」
「なるほどね。元首長様直々に潰してくださるのか。刺身のツマのような俺に対するこの扱い。マジで光栄だな」
運が回ったな。
「刺身の妻。つまりゾンビ夫妻の片割れか」
「そんなモンスターもいたな。カードファイトエントリー」
「カードファイトエントリー」
俺が言われるまで思い浮かばなかったカードをよく覚えているな。
二ターン目までなにも起こらなかった。首長の三ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3でボードフィールド発動。ターンエンド」
俺の三ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3でハイパービーストを召喚。効果で一枚コストを加速。ハイパービーストでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
首長:生命力10→9
首長の四ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト1で
俺の四ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト5で毒棘甲羅竜ペルーダを召喚。ターンエンド」
よし。
首長の五ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4でアンゼブースト発動。3枚ドローして二枚墓地に落とす。手札の
俺の五ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6でクワトロブースト。ハイパービーストでPコマンダーに攻撃。破壊。ターンエンド」
たいしたことないな。
首長の六ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6でブーストチャージャー発動。三枚ドローしてから、このカードを裏向きでコストゾーンに置く。ターンエンド」
びっくりするほど攻める気を感じられない。
俺の六ターン目だ。
「ドロー。チャージ。ハイパービーストでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
首長:生命力9→8
はっきり言って気味が悪い。