プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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四百五十二枚目 ハイパーお茶目

 いや冷静になれ。まだ死んだかどうか分からん。

「確認しなきゃね」

 脈もねえ。体も冷たい。息もしてない。

 

 ショウトクは起き上がった。

「ゾンビだ」

「元から命がないがらんどうの人形なので死にマセーン。がらんどうだから息も脈もなくて当然デース。私はハイパーお茶目サン」

 冷静に考えたらそうだよね。まあそうだ。焦ったぁ。

 

 やってることが不謹慎すぎるんだよなあ。

「さっきまでとキャラ違くねえか」

「所詮さっきまではキャラ作ってただけだカラナ。そもそもこういう娯楽施設でキャラ作ってない奴なんてあまりイナイゾ。今は撃破されて仕事が終わったので素を出シテイル。壁があるなら手を鳴ラセ」

 壊しておいたほうが良かったかな。

 

 その場から離れた。

「良く倒せたな。戻って直進して左に曲がれ」

 また行き止まりだった。またどっかにカードファイトロボットが隠れてるんだろうな。

 

 でも膨らんでる壁がないぞ。

「そこにカードファイターはいないぞ。ただその壁の向こう側に道がある」

「そりゃあるだろ。道に接している壁がない迷路なんてないぞ」

「そこ以外すべて行き止まりだからそこが怪しい」

 すべて行き止まりかー。そう言えばショウトクが壁があるなら手を鳴らせと言っていたな。

 

 手を叩く。

「何も起こらないじゃないか」

 やっぱあいつ壊しておくべきだったな。

「よく分かったね」

 右の壁がバラバラに崩れた。

 

 崩れた壁の向こう側に行く。

「壁があるから曲がるとさっきまでいたところの向こう側になるってわけだ」

 壁の瓦礫が音を鳴らす。

「迷わせたいんだか迷わせたくないんだかよく分から……急いでしゃがめ!」

 急いでしゃがんだ。

 

 転がって立ち後ろを見ると、ナイフを持った石像がいた。

「こいつビートダウンズの人間か。そっかいるよな。ここビートダウンズの遺跡だもんな」

 なんで壁の中に人間がいるのか分からないけどな。発覚したら大問題だろ。

 

 しかも崩れるギミックのある壁の中に人間埋めるのかよ。

「クアアアイ。サス、サス」

 石像はやたらめたらにナイフを振り回す。これ下手に動く方が当たりそうだな。移動は一定の距離を保つために後ろに下がるだけにしよう。

「メイクファイトで体も記憶もデッキでも奪えば余すことなく使えるのに、殺すなんて勿体ねえ」

「それがナイフ振り回されながら言うセリフかよ」

 一回死んでるし、痛い目には何度もあってるからどこか思考が客観的なのかもしれない。

 

 デッキを構えたが、なんの反応もない。

「なるほど。デッキを持てない体質か。たしか昔は五千人に一人の確率だったんだっけ」

 でも古代文明の遺跡はデッキを持てることを前提にした作りだ。どこか違和感がある。

 

 ビートダウンズ文明といいアタラシアといいどこか闇があるな。

「カードファイター……抹殺抹殺抹殺ゥ!」

 ペルーダを出して攻撃されないようにする。人間じゃモンスターに勝つのは難しいからな。

「待て。そこまでカードファイターを憎むようになった理由を教えてくれ。理由次第じゃ斬られてやってもいい」

 ~してやってもいい系のセリフは確実にしない時のセリフだ。やらなくても嘘は着いていないのである。

 

 石像の動きが止まった。

「ハナソウ」

「早くしろ」

「初めはカードを使う忌まわしき人間はいなかった。カードを使う力とは忌まわしき魔族の力だからな」

 魔族か。モンスターの上位種的なアレかな。この世界にもいたのか。というか急に流暢になるじゃん。

 

 折角だから色々聞いてみよう。カシヨも文句を言ってこないしな。

「じゃあアタラシアもそれと関係があるの?」

「アタラシアと言う言葉も元は魔族の言葉で古きものの殲滅という意味だ」

「そうなんだ」

 謎が増えた。

 

 石像は何かを置くジェスチャーをする。

「我らは様々な武器で魔王を倒して魔族を殲滅した。すると今度はカードを操れる忌まわしき子ども達が現れた。初めはそういうのはちゃんと駆除出来ていた。しかし生まれるペースは増え続け駆除出来なくなってきた」

 駆除だと。傲慢な言い回しだ。

 

 石像はナイフを投げてきた。ナイフを受け止めて投げ返す。

「突如異世界から次元の巫女と自称する存在が現れた。そいつはカードファイターどもを奴隷として調教するから買い取らせてほしいと言った。これが不幸の始まりだったのだ。結果として世界中のカードファイターが集まり、この文明を作りだし世界中のカードを使えない人間を蹂躙していった。モンスターを生み出せるやつらと勝負しても勝てるわけがなかったのだ」

「それでなんで壁に埋まってたの?」

 そこが気になる。話が壮大になっても結局はそこだ。

 

 石像は笑った。

「それはカードファイター達が倒した人間を石像にしていったからだ。俺も倒されて石像にされてこのアトラクションのパーツになった。後に自分達が石像になったりするのは皮肉が聞いてるというかなんと言うか。話し終わったから斬らせろ」

「やだね。人間を駆除するという傲慢な言い回しが気に入らなかった」

 ペルーダに歩かせることで、刺されるのを防ぐ。

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