プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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百五十七枚目 魔族の血

 剣が鞘に戻る。

「野生の動物ごときに負けるとはメンテナンスが足りなカッタナ」

「野生の動物は強いぞ。野生の動物なめるな」

 野生の動物もカードファイターできる世界観で、野生の動物だけ軽んじる理由が分からん。

 

 アンの口角が上がる。

「だがしかし子どもとシャチでこの複雑かつ複雑な迷路を抜け出せるはずモナイ」

「キュイ……」

 なるほど。シャチは陸の生き物じゃないから、陸には疎いのか。陸である迷路は専門外と見抜かれた。

 

 迷路を進み行く。

「キュキュイキュ」

 シャチが小さくなった。まるで魔法少女もののマスコットみたいだな。

「それシャチじゃねーだろ。モンスターだモンスター。試しにカードにしてみろ」

 まあただのシャチが陸にいるなんておかしいか。でもたとえモンスターでもこいつをただ捕まえるのは勿体ねえから、捕まえんとこ。

 

 何時間かかけて迷路を抜け出せた。

「キュイ!」

「お前も抜け出せて嬉しいか」

「俺も抜け出せて嬉しいよ。あんな狭い空間に閉じ込められっぱなしというのは精神的な負荷がデカイ」

 シャチはカシヨに飛び込む。

 

 カシヨはシャチを受け止めようとした。シャチはカシヨの右肩を噛む。

「痛い痛い。地味に痛い」

「ちゃんと服着てないから変態だと思ったんじゃねーの。それで警戒されてるとか」

 シャチは噛むのを止めた。

 

 シャチは俺の胸に飛び込む。俺はそれを受け止めた。

「キュイキュキュ」

「こいつの言ってることがすらすらと分かるぞ。生まれつき血を吸った相手に意思を伝えられるって言ってるぞ」

「俺にもやってくれたら楽なのに」

「嫁入り前の女の子にやるのは可哀想だからやらないんだとさ。まあ噛み跡がくっきり残るからな」

 一生シャチの意思を知ることはないということか。一生嫁入りするつもりないからね。

 

 三階に上がった。三階には文字の書いてあるパネルがいっぱい落ちてた。

「えーと。これは詰めカードファイトか」

「たぶんこれを解かねえと階段が現れねえとかそんな感じじゃないか?」

 適当にパネルを拾った。

 

 このターン中に勝て。 

 相手:生命力1 ヌーブ(攻撃力0防御力0 職業効果なし) 

 場:マグマドラゴン

 手札:なし

 自分:生命力1 所持コスト6 ファイター(攻撃力3防御力1 職業効果使用済み)

 場:冥海の使者

 墓地:冥海のイカリ、冥海賊の人魚、冥海の補給人魚

 手札:セカンドクラッシュ(コスト4:自分のモンスターが破壊されるとき相手のモンスターを破壊する)、漁夫のリ(コスト2:自分のモンスターの攻撃の順番を入れ換える) 

 

 こんなの簡単だね。

「冥海の使者でペルーダに攻撃。効果で冥海のイカリを復活。冥海のイカリの効果で補給人魚復活。補給人魚の効果は使わない。イカリは破壊される。コスト2で漁夫の利。冥海の使者と冥海の補給人魚の攻撃の順番を入れ換える。補給人魚の攻撃になったので、冥海の使者はもう一度攻撃できる。補給人魚はマグマドラゴンの反動で破壊される。コスト4のセカンドクラッシュ発動。マグマドラゴンも破壊。冥海の使者でプレイヤーに攻撃。勝利」

 楽勝だな。今までの戦いに比べればこの程度ぬるいぬるい。

 

 シャチもパネルを抱えて小躍りする。

「もう解けたのか。はえーな。まあ俺の方が早かったが」

「カシヨはシャチに対抗心を燃やす」

「バカにしてるだろ」

「世界観的にあり得ることを言っただけですから。バカにしてましぇーん」

 カシヨはパネルを地面に置いた。

 

 なにも起きてねえ。

「全部解かなきゃいけないパターンかな」

「キュイヤア」

「俺も嫌なんだよなぁ」

 一先ず解いたパネルをまとめることになった。

 

 パネルのパの字も見たくなくなるほど解いた。問題はすごく簡単なんだけど、量が多すぎて嫌気が湧くのだ。さすんじゃなくて湧くんだよ。

「全部解いたぞ」

「なかなかやリマスネ。ここをクリアすればもう最上階デス」

 カードファイトロボットがいた。

 

 まさかこいつと戦わなきゃならんのか。

「皆様よく勘違いされますが、私とカードファイトをする必要があリマセン。何故ならば私を倒さなくても階段は現れるカラデス」

「嘘つき。ないじゃん」

「アレ? おかしイデスネ」

 カードファイトロボットはあれこれ探る。

 

 階段が生えて、カードファイトロボットのおでこに階段がぶつかる。

「人間だったら痛がリマスネ。無神経ボデー万歳」

 カードファイトロボットは階段を登った。

「早く階段を上がらなければ、階段が消エマスヨ。そうしたらやり直シデス。別にやり直しをしたければ止めマセンヨ」

 急いで階段を上がった。

 

 塔の最上階は屋根と壁が透明だった。風が入っておらず、鳥が空中で止まっていなければ、壁がないと思い込んむだろうと予想できるほど透明だ。

「ゲームクリアおめでとう。君たち三名を表彰するよ。そしてそのシャチの秘密を教えよう」

 偉そうなカードファイトロボットが現れた。

「僕はこの塔のゲームマスターの人格を植え付けたカードファイトロボットだ」

 だから偉そうなのか。

 

 ゲームマスターはシャチを指差した。

「カードファイトの出来る野生動物は魔族の血が混ざっている。まあモンスターとほぼ同じようなものだな。まあそっちはカードに閉じ込められないけど。そのシャチには姿を変える魔族の血が流れていると思うよ」

「そう言えばカードの力は元々魔族の力っていってたな」

 なるほどなぁ。よく練られた設定だ。一生懸命考えたんだろなぁ。

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