プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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十六枚目 世界を破る運命と次元

 あのカードが手札に来ないと負けだぞ。まああんなカードを素直にデッキに入れているとは限らないけどさ。

「余裕をもって使わせてもらうぜ。ザ・エンペラーの効果発動。受けるダメージを減少させる」

 不審者がコスト勝負に勝って受けるダメージが減った。

 

 ラーナちゃんの右手が光った。この光を浴びているとラーナちゃんの勝利を確信できる。

「なんなのよこの光は」

「デスティニードロー現象か。ふざけやがって。俺が何度試してもやれなかったことを運のないお前がやるだと」

「デスティニードロー現象ですって?」

「本当にあるとは思いませんでした」

 冷や汗かいてねーで俺にも教えろよ。

 

 ラーナちゃんの七ターン目だ。

「ターンスタート。ドロー。チャージ」

 ラーナちゃんは口角を上げる。あのカードが手札に来たか。

「デスティニードロー現象を起こしたかと思えば何の役にも立っていないではないか。お前は所詮運のない雑魚なんだよ」

「私はターンエンドを宣言するわ」

 ラーナちゃんは鼻歌を歌う。

 

 不審者がラーナちゃんを指さした。

「悔しすぎて感情が変になったか」

「ラーナちゃん何をしているんですの?」

「運が良かったなあって思っただけよ」

 ラーナちゃんは手札のあるカードをを見せた。

 

 ラーナちゃんの目から光が消える。

「弱きネズミは高次元の力を手にして再び故郷へ舞い戻る。運命を捻じ曲げろ。高次元のスピードラットを場に置く」

「召喚口上現象ですわ。モンスターの意思と一体化することによりこの現象が起こると言われていますわ」

 ラーナちゃんの目に光が戻って空間に切れ目が現れた。

 

 モンスター 召喚不可能 高次元のスピードラット 種族:オール

 効果:このカードはスピードラットと名の付くモンスターとしても扱う。このカードが手札にある時生命力が0にならずに敗北する代わりにこのモンスターを場に置いて、プレイヤーの生命力を1にする。このカードが場を離れたとき、プレイヤーの生命力は0になり、山札は全てコストゾーンに置かれる。このカードは生命力が0にならない限り場を離れない。(種族:オールはルール上すべての種族として扱われる)

 説明:遥か高次元の力を手に入れたスピードラット。

 攻撃力:2 防御力:0 生命力:1

 

 空間の切れ目から兎と同じ大きさの金ぴかのネズミが現れて消えた。

「デスティニードロー現象ってなんだ?」

「カードを触ったことのある人間ならだれもが知っている現象ですのに知らないんですのね。無我の境地に至った時ごくまれに状況に最適なカードを引ける現象ですわ。たまにデッキに入れた覚えのないカードを引くという有り得ないことも起きるそうですわ」

「デスティニードロー現象を故意に起こせる体質を持った人物を主人公補正体質と言うそうです」

 ズルくねえか。

 

 不審者は顔を歪ませた。

「ターンエンド」

 しかしながら不審者のターンに倒されるぞ。

 

 不審者の七ターン目だ。

「俺のターン。ドロー。チャージ」

「手札からコストを5支払って魔法発動 レッドリスト」

 あれも俺が上げたカードだ。基本アジ・ダハーカしか使わねえから要らなかったんだよね。

 

 魔法 コスト5 レッドリスト

 効果:このカードは相手ターン中にのみ使用できる。種族:フラムビーストのモンスターの生命力がターン開始時に1だった場合、そのモンスターはこのターン中生命力が0にならない。このカードを発動した次のターンの終了時そのモンスターの生命力を0にして3ダメージ。

 

「ソイツの種族はフラムビーストじゃねえだろ」

「種族:オールはすべての種族として扱われる……らしいわ」

「インチキだ。今すぐやめろ」

「お前の豪運よりはまだ理不尽さが足りていない」

「外野が水を差すんじゃねえ」

 不審者がうずくまった。

「クソォ。ターンエンド」

 あっさりとターンを終えた。

 

 ラーナちゃんのラストターン。

「ラストターンスタート。ドロー。チャージ。コストを1軽減してコスト6で焼鳥屋に賛成するにわとりを召喚。さらにファイターの職業特性発動。コストを5まで支払うことでプレイヤーとすべてのモンスターの攻撃力を支払った分上昇させる。私はコストを4支払う。一体目の焼鳥屋に賛成するにわとりでフォーチュンテラーに攻撃。破壊。私であなたに攻撃する」

「アルカナカードの弱点はモンスターを破壊するカードがないってことだな」

「そうなのですね」

「ザ・エンペラーの効果発動」

 でも防御札はあるかな。

 

 互いに山札の上をめくった。

「私はコスト2 メガチャージ」

「俺はコスト5 フォーチュンテラーだ。シャッフルしてザ・ワールドの効果発動。ザ・エンペラーの効果を発動する」

 また山札をめくった。

「私はコスト6 クワトローブーストよ」

「俺はコスト4 トリプルドローだ。ザ・ジャッジメントの効果でコストを21にする。これで合計で受けるダメージが2減少した」

 不審者生命力5→2

「メガラビットで攻撃」

 不審者生命力2→0

 

 カードによって現れていたモンスターがすべて消えた。 

「お前は俺に何を望む」

「ドロウちゃんが言ってたアジなんたらってカードよ」

「持ってねえ」

「じゃあクワトロブースト」

 不審者はクワトロブーストを投げ渡して倒れた。息はあるから生きているな。

 

 気絶した不審者の覆面を剝がそうとしたらアメラに止められた。

「私がこれを外します」

 アメラが不審者の覆面を外すと、アメラの顔が出てきた。

「もう一人いますの」

「私の双子の弟だった男です。十年も前に運を手に入れる悪魔に魂を売って絶縁しました。風のうわさでカードハンターをやっていることは分かっていました。でも絶縁されて以来初めて会いました。声だけでわかりました」

「そんなことがあったんですのね」

「まあお嬢様が物心つく前の話ですからね」

 そういうことだったのか。

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