プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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十八枚目 鉄の刃

 あれから三十分が経過した。

「まずはメガチャージ」

 コストを貯めるのは基本どのルールでも強い。

 

 でもドローソースが役に立たないなんて意外だったな。

「どうするべきか」

 ずっと静かで一ターン十分だから暇で暇でしょうがない。

 

 本棚から本を取ろうとしたら本が飛んで逃げた。

「お前がモンスターだったのか」

 ブランクを掲げても何も起きない。

 

 本は飛んで逆さ向きになり、天井の埃を被ったシャンデリアに止まる。

「他の本もみんなこうなのか?」

 本が開いてすごい速さでこっちに来た。

 

 あっぶね。ギリギリかわせたぞ。

「バカめ。外しやがって」

 本が崩れて降り注ぐ。

「あててて」

 マジで痛えよ。

 

 生命力が2減ったな。

「けほっ。モンスター以外のせいで減るってことも、あるのか。けほけほ」

 本に埋もれて身動きが取れない。

 

 力を入れても抜けねえ。

「くぬぬぬぬ」

 本が高速で当たってくる。

 

 コストゾーンのカードが使用可能になった。

「ギリギリセーフだぜ」

 ドローして、コストゾーンにカードを置いてから、ブランクを掲げると本が消えてカードに本のイラストとステータスが追加された。

 

 ええっと……

「効果なしモンスターで、種族はマジシャン。攻撃2防御2で生命力4コストは4か」

 ちなみにブンコバットと言う名前だったよ。

 

 ブンコバットに本をどかしてもらった。まあモンスターさえいれば暫くは平気だろう。

「誰かいませんか?」

「ここにいるぞ」

 首なし鎧騎士が現れた。

 

 鎧騎士は剣をブンコバットに振り下ろすが、切り傷をつけられなかった。

「ステータス的には攻撃力が2以下なんだろうな」

「しかしながら防御力は大したもんだぜ」

 男の人が現れた。こいつも半袖とスパッツかよ。もっこりしてんだけど。自分にも付いてたものだけど、絶望的に、きたない。

 

 不審者だ。

「変態を見るような目で見やがって。ただの験担ぎじゃねえか。このメスガキが。許さねえ」

「導火線短すぎだろ。爆弾ヤローか」

 火薬庫に置きたくない爆弾No.1だわ。

 

 本棚までダッシュして逃げた。

「互いに傷を与えられないから、勝負する意味がねえ。逃げさせてもらうぜ」

「待ちやがれ」

 体力が少なくてスピードもないから、まともに逃げたら逃げ切れない。

 

 ブンコバットに攻撃させて本をいっぱい落とさせた。

「これで本に挟まれて時間がかかるだろう」

 めちゃくちゃに逃げて撹乱した。

 

 階段を上がる。

「へへへ」

 二段目を踏むと階段が動いて戻された。エスカレーターの逆方向のような感じだな。

 

 つまり二段目を踏んだら勝手に上にいく階段もあるって事だな。

「いやいやその結論を出すにはデータ不足すぎるだろ。世の中そう都合の良いものじゃないって」

 階段が動いてエスカレーターのように上に運ばれる。

 

 世の中は案外都合がいいものだな。

「楽勝だぜ」

 踊り場の先に鉄の刃の様なものが現れた。

 

 ハエが鉄の刃に触れて飛ぶ。ハエは飛んでいる最中に空中で真っ二つになった。

「ヤベエ」

 あれに触れたら南無三だぞ。

 

 鉄の刃の上に漆黒の二つの珠が現れた。

「まさかあれの口だったりして」

 とてもまずい。

 階段を下りても下りても元の場所に戻ってしまう。

「ヤベエ。このままじゃキリがねえ。アイツのコストさえ分かればこのまま捕まえられるかもしれないのに」

 アイツがどういったモンスターなのかも分からねえから、対策もしにくい。

 

 上から足音が近づいてきた。

「このままじゃ狙われるぜ」

 ケガを覚悟で階段から遠ざかるように落ちた。

 全身がいてえ。少し無茶だったか。

「いってえ」

 鉄の刃と黒い珠が消えた。

 

 人が踊り場からやって来た。よかった。この人は普通の格好だ。

「まずは一人。狩らせてもらうぜ」

「止めろ。それ以上こっちに来るんじゃない」

「お情けで見逃してもらえると思ってるんなら甘すぎだぜ」

 お情けじゃねえ。

 

 白くてふわふわしたものが人のそばに現れた。

「潰してやる」

 人が近づいて幽霊ごと鉄の刃に真っ二つされた。

「だから言ったのに」

 これはもう死んだだろう。

 

 人は体がくっついて立ち上がった。化け物か何かだろ。

「生命力がかろうじて残ってやがる。残りでお前をぶっ潰してやる」

「そっか。ちゃんとコストを貯めてモンスター捕まえてからにしろよな。それで大抵何とかなる」

 こんなに強いモンスターは味方にした方がいいだろう。

 

 人が飛び降りてきたので避けた。

「あぶねえじゃねえか。潰れたらどうすんだよ。あとお前どっから下りてきたなんて。裏では教師か。羨ましい野郎だ」

「お前なんぞ妬んでばかりいるだけだ。あと何で分かったんだ」

「俺の前では何でもお見通し」

 ズルい。

 

 俺が本で行き先を塞いだ人が出てきた。

「もうでてきたのか。早くねえか」

 この状況は二対一。勝てる状況じゃねえな。

「おいおっさん。そこの普通の奴は辛うじて生命力が残っているんだってよ」

「そうか。まずお前を潰してからソイツも倒してやるよ。このクソメスガキ」

「お前はここで死ぬんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ」

 標的をずらそうと思ったが、全然効かなかった。すごくマズイぞ。

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