プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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二十一枚目 バロンゴースト

 コストはいっぱい貯まってるけど、モンスターを見かけないわ。

「三枚ともコストチャージする魔法にしたからコストは8もあるんだけどねえ」

 薄暗い廊下を歩いても人がいないし、モンスターもいないわね。

 

 ……これって誰かに襲われたら確実に倒される状況じゃないよね。

「割ときついわ」

 運悪くモンスターのいないところに転移させられちゃったみたいね

 

 まだ部屋の中には入ってなかったし、そういうところを探そう。

「何で今まで気が付かなかったのよ」

 ドアを開けて部屋の中に入った。埃臭い部屋ねー。

 

 部屋の中にはとても大きなベッドがあったわ。

「内装はベッドしかないわね。まるでお姉ちゃんの部屋みたい」

 お姉ちゃんの部屋と同じく物があまりないから、この部屋の持ち主も仕事人間だったのかしら。

 

 ベッドの中央になんかカードが落ちているわ。

「これなんなのかしら」

 ベッドにダイブしてカードを取る。

 

 文字がところどころ消えてて読みにくいなあ。

「バ…ンゴー…ト? コストは5だね。そう言えばバーンゴートっていうモンスターもいたっけ」

 このカードはバーンゴートなのね。四足歩行じゃないし草も食べてないけど青いけど火もあるしバーンゴートだね。でもモンスターをコストを支払って捕まえなきゃいけないルールがあったから使えないのよね。

「残念だわ」

 ぬか喜びってやつね。

 

 カードから大きくなった絵が出てきた。野生のモンスターみたいに奥行きがあるなあ。

「バーンゴートじゃないわね」

 だってシルクハットと杖と革靴とコートが浮いているもの。

「どう見たって吾輩は山羊ではない。はしたない格好を平然とするような小娘には分からないかな」

 こんなに暑いのにこんなに暑くしい恰好をするなんて……幽霊モンスターに違いないわ。

 

 カードを掲げた。

「これでいきなりゲットよ。モンスターがいないから助かったわ」

「させぬ」

 杖で叩かれてついブランクを手放してしまった。

 

 コートたちが動いた。

「吾輩はバロンゴーストだ。小娘名を名乗れ」

 バロン……ということはわたしの家よりも家柄が低いということね。まあたいていの家はわたしの家よりも家柄低いけど。

「ラーナ・フラム。フラム伯爵家の次女よ」

「噓をつくな。伯爵家の者にしては品性が感じられない。カードの腕前はよさそうだが、そのほかが備わっていないように見える。そもそもフラム伯爵家は男は十までいるが、女は一人も生まれていない。つくならもっとましな噓をつけい」

 お父さまの時代の話だよね。歴代で最も男が生まれた世代ってよくお父様に聞かされたから覚えているわ。

 

 どれだけ前にお亡くなりになった幽霊モンスターなんだろう。

「前まではうぬぼれていたけれど言うほど良くないって知ってるわ。手加減されて引き分けに持ち込まれたもの」

 あんなに華麗なカードのタクティクスで私と引き分けになった人を初めて見たもの。手加減されず本気でやれば倒されていただろうし、あれは実質負けたようなものなのよ。ちょっと強いヌーブみたいな職業と使いどころの分からないカードが本気なわけないわ。

 

 帽子が斜めになる。

「伯爵家の娘を騙る吾輩を襲ったモンスターも捕まえられまい」

「ムカッ。そのモンスターはなんていう名前なの?」

「サキュバスだ。正直なところハッキリと幽霊モンスターになるまで、切られたことに気が付かなかった。幽霊モンスターになった後に貴様たち夫婦はこの剣豪サキュバスがカタナの錆にしたでござると言ってたからハッキリと覚えているんだ」

 へ~。剣豪サキュバスかあ。覚えておこっと。

 

 ドアを開けようとしたけど開かない。

「その前にこの部屋から出してよ」

「フフフ。歳上に敬語も使えぬ排泄物お子ちゃまをこの部屋から出すわけにはいかん」

「出してくださいおねがいします」

「よかろう」

 あっさりと扉が開いた。それでいいのね。

 

 部屋から出ようとしたが、バロンゴーストに止められた。

「吾輩を連れていけ」

「落ちてるカードを使っちゃいけない決まりがあるからダメ」

「カードに擬態していただけなのだ」

 バロンゴーストが自由に動く。

 

 野生のモンスターとして引き連れるのか。

「自分のモンスターにできないのがキツイ」

「では剣豪サキュバスを倒すか無力化したら小娘に素直に捕まってやろう」

「やってやるわよ」

 強いカードかもしれないからね。

 

 コストゾーンのカードが回復したので、コストゾーンにカードを貯めた。

「でも今すぐやれと言われても出来ないわよ。だって捕まえたモンスターがいないんですもの。幽霊モンスターになるまでの長い期間人を切らないほどの剣の腕前があるなら、攻撃力も高いはず。防御用のモンスターが欲しいところね」

 二度もバロンゴーストを切らせるわけにはいかないしモンスターのいるところを教えてほしい。モンスター同士だし、なんかの感覚で分かると思うんだけど……

「なんだと。それを早く言わないか。それだと危険ではないか。モンスターのいる場所を教えようではないか。とりあえず階段を上がろう」

 バロンゴーストの案内の通りに階段まで進んで、階段を登った。

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