プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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二十五枚目 メタルモンキーの機械義足

 でもチャンピオンの生命力は9。それに対して……

「お前の生命力は5だ。ほぼ倍だ。倒しきれる」

「攻撃力が低い陣営ではありませんの。鎧だけでも生き残れば、攻めきれずにデッキ切れで負けますわよ」

「ただうるさい音立てて逃げただけだと思ったのか?」

「それって……」

 チャンピオンが床を人差し指で指すと屋敷の床に廊下を分断するような大穴が開いた。何が起きたか知らねえがモンスターは浮いてるから戦況に影響はなさそうだな。

 

 屋敷の床に空いた穴からところどころ鉄に覆われている干からびた猿の前足が現れた。

「メタルモンキーの機械義足ですぞ」

「どういうことですの?」

 バロンゴーストは帽子の先を傾ける。きっとやましいことがあって顔をそむけたのだろう。

「代わりにこたえてやろう。さっきその幽霊モンスターが言ったのは願いを三つだけ叶えるモンスターの名前だ。元々ここを住処としていたモンスターの力を独占するために、ここの一族の初代様がこの屋敷を建てたってことだ」

 たしか辻斬りサキュバスがモンスターの住処に家を建ててそのモンスターの力を独占したこの屋敷の一族って言ってたな。あれ本当だったのか。でもなんでそんなの知ってるんだよ。

 

 チャンピオンは呆れたように顔を伏せる。

「この地域の古い言い伝えだから知ってるやつは知っているだろうな。その地域の言い伝えを調査して何がいるか確かめるのもフィールドファイターのたしなみだぜ。メタルモンキーの機械義足はたしか人が出す轟音を嫌うんだったかな」

「ああそうだ」

「うるせえから起きちまったぜ」

 メタルモンキーの機械義足が二つになって消える。

 

 メタルモンキーの機械義足がお嬢様とチャンピオンの首をつかんで持ち上げている。

「まずは機嫌を損ねた罰を受けることになる。互いに一ダメージだ」

「むぐぐ。少し辛いですわね」

 メタルモンキーの機械義足が消えてお嬢様とチャンピオンが床に叩きつけられた。

 

 メタルモンキーの機械義足が現れる。今度は一本だけだな。

「俺様は実はまだコストを使っていなかったりする」

 チャンピオンは右腕をブランクを掲げ……

 

 ようとしたが突然飛んできた刀をよけてブランクをうっかり床に落としてしまった。

「げっ」

 突然飛んできた刀は鎧に刺さって、鎧を消し地面に落ちる。

「不意打ちには気を付けないとだめでござる」

「辻斬りサキュバスの効果発動よ。防御力を1増加するわ」

 空いた穴からラーナちゃんがよじ登る。お転婆すぎるだろ。

 

 天井から辻斬りサキュバスが降りてきて、刀をとってラーナちゃんを掴んで飛んだ。

「回復したでござる。さて我が主どうするでこざるか?」

「このままモンスターを捕まえにいくわ」

 辻斬りサキュバスは何かを見つけたかのような目を向ける。

 

 辻斬りサキュバスはお嬢様の近くに着地する。

「あのモンスターは拙者が求めていたメタルモンキーの機械義足でござる。なんでも三つ願いを叶えるのでござるよ」

「そんなもの興味ないわ。自分で成し遂げるからいいんじゃないの。でもまあ戦力としては欲しいわね」

 メタルモンキーの機械義足はラーナちゃんを指指す。

 

 メタルモンキーの機械義足が消えた。

「どこに消えたんだ」

 ラーナちゃんの頭の上にメタルモンキーの機械義足があった。いちいちメタルモンキーの機械義足って表すのちょっと面倒だな……

「ちょっと凄くないかしら」

 ラーナちゃんは手で機械義足を追い払う。

 

 ラーナちゃんはブランクを掲げた。

「捕まえられたわね。戦力としては……いないよりはマシね。メタルモンキーの機械義足で空飛ぶ花瓶に攻撃」

 機械義足は花瓶にデコピンして、花瓶を割った。

 

 協力してチャンピオンを倒そうという発想はないのか。

「一体減らしたから、一体減らしたの。これで平等よね。じゃ」

「変なところで律儀ですわね」

「そういうことかよ」

 ラーナちゃんは辻斬りサキュバスに背負ってもらって飛ぶ。

 

 チャンピオンはジェット移動した。

「じゃ、じゃねえ。逃げるな」

「なんで人間が空飛べるのよ!?」

「ジェットの力を知らないとは、フィールドファイターとしては二流だ。モンスターにも魔法にも頼らぬ高速の移動手段だぞ」

 宙にいたラーナちゃんが掴まれて降ろされる。

 

 ラーナちゃんが地面に降ろされて尻餅付いた。

「何するのよ」

「逃げられては困る。逃げられては時間がかかるからな。折角だからどちらかが勝つまで特等席でこの戦いを眺めるといい」

「しょうがないわね。わたしカネスキが勝つって信じてるわよ」

「小娘に言われなくともカネスキ様は勝つ。吾輩たちもいるので負けようがない」

 ラーナちゃんはうなづく。

 

 辻斬りサキュバスは胡坐をかいて、ラーナちゃんは胡坐の内側に座った。チャンピオンはジェット飛行で向こう側に戻る。

「カネスキがんばれー」

「言われなくともそのつもりですの」

「互いに攻撃出来ないのは確かだ。あと10分待つか」

 10分経った。

 

 と同時に大穴から悪魔のような石像が出てきた。そして石像とともに紙が何枚か散らばった。悪魔の投げた石が俺の体を勢いよく通過して壁に穴を開ける。

「やったらリアリティあるけどこれ幻覚だったね」

 お嬢様とチャンピオンはブランクを掲げた。

 

 お嬢様の方が一歩早かったみたいだな。

「ガーゴイルの効果発動ですわ。このカードの攻撃力はこのカードが攻撃するモンスターの防御力より1多くなりますわ」

 お嬢様は何ターンかかけてチャンピオンを倒した。

 

 居眠りしているラーナちゃんが起こされる。

「やりますわよ」

「むにゃむにゃ。ファイト!」

 寝起きでも反応する当たりさすがだ。

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