プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
俺は盗賊ゴブリンに攻撃して倒した。サンドバッグを殴っているような感覚があるぞ。
「ターンエンド」
男の四ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4でゴブリンサモナーを召喚する」
コスト4 ゴブリンサモナー 種族:妖精
効果:ゴブリンと名の付くモンスターのコストを2減らす。
攻撃力:3 防御力:1 生命力:5
「ターンエンド」
次のターンで決めるつもりだな。
俺の四ターン目だ。
「ドロー。チャージ。俺はコスト3でムゲンラッシュを使用する」
魔法 コスト3 無限ラッシュ
効果:プレイヤーかモンスターを選ぶ。選んだ対象はこのターン中バトルに勝てばもう一度攻撃できる。
説明:無限の拳の連打から逃れることかなわず
滅龍アジ・ダハーカ 生命力30→26
カードジョブオンラインは相手モンスターを全滅させないとプレイヤーに攻撃できないからな。
「俺を選ぶぜ」
しゃあ! 無限攻撃。
「俺はゴブリンサモナーに攻撃する」
ゴブリンサモナーをパンチで倒す。ゴブリンサモナーは光の粒子を出して消え去った。
もう一度攻撃。
「俺は盗賊ゴブリンに攻撃する」
盗賊ゴブリンを倒した。
「とどめ! プレイヤーに攻撃する」
男にパンチを放って木にたたきつけた。
滅龍アジ・ダハーカと大きいカードが消える。
「ゆーうぃん」
盗賊男いきなりどうした。気分が変わったんか。
盗賊男は木から離れた。
「構わねえ。トバクファイトで負けても俺たちには失うもんがねえんだ。カードファイトをせずに奪っちまえ」
「そんなのありかよおい!」
カードで戦っておいて負けたからリアルファイトかよ。
まあカードが実体化してるしカードの力は残ってるでしょ。
「えーい」
ぽふっ。あまりダメージなさそうだね。
「ぶっ殺すぞクソガキ」
痛っ。おなか、しぬ……
げほっ。これはマジでまずい。
「誰か……助けて」
デッキケースを取られた。
「ついにやったか。お縄につけ」
鎧を着た男の人がデッキケースをはたきおとして、盗賊たちを縄で縛った。
こういう強さが欲しい。
「俺たちは見つからねえようにやってるはずなのに、なんで見つかったんだ?」
「今までは合法だから見逃してやっただけだぞ。さすがに暴行してモノを取るのは犯罪だ」
盗賊のくせに今まで律儀に法を守ってたのか。
鎧を着た男の人に何か飲まされた。痛みがすっかりなくなったぞ。
「囮みたいにしたお詫びの痛み止めだよ。さすがに法律破ってないやつらをお縄にかけることは出来ないからね」
「なるほど」
エサにされたってわけだ。
鎧を着た男の人に腕を持ち上げられて起き上がった。
「カードの力は凄まじい。常人なら反動のせいで五枚までしか使えないが、何十枚も使える体質の者がここ最近増えていてな。カードの力で脅迫して物を奪い取る合法強盗はこいつらの他にもいるんだ」
合法と強盗という矛盾するはずの単語が組み合わさってるのほんとわけわかんねえ。異世界であることを改めて確認したよ。
鎧を着た男の人はポケットからカードを取り出した。
「きらきらほうきぼし 召喚」
足の生えたほうきが出てくる。
足の生えたほうきに座らされて比較的スムーズに森の中を進む。
「さっきのあのドラゴンはなんなんだ?」
アジ・ダハーカのことか。
「滅龍アジ・ダハーカというカードで俺の相棒です」
アジ・ダハーカは強いしかっこいいしロマンがあるし最高のカードだと思う。
鎧を着た男の人はあごを撫でた。
「私のお嬢様に仕えてみる気はないか?」
「どういうことだよ」
思わずため口になるほどの驚き。アジ・ダハーカからどうやってお嬢様につながるんだよ。
鎧を着た男の人は何かに気が付いたような顔になる。
「休暇の時も仕事を考えるなんていかんな」
そういう問題じゃねえよタコ。
「そういえば名乗ってなかったな。私はマイス。ここの領主であるピンハネル伯爵家に仕えているものだ」
「俺はドロウです」
ピンハネルとかゲスイ名前ですねえ。
マイスさんに白いカードを渡された。
「ちなみにピンハネル伯爵はカネスキお嬢様のカードの家庭教師を探している。お嬢様はカードを何十枚も使える体質だからな。素人目から見てもお嬢様のカードさばきはあまりいいとは言えない。しかしながら未だにカードの家庭教師が決まっていない」
「だから腕のいい奴らを探していたら、偶然俺を見つけたってことか」
「そういうことだ。お給金もたくさん出るし、なにより安全だぞ」
安全なのか。それはいいかもしれないな。
デッキケースを空中でジャグリングする。
「その話乗りましたよ」
「そうか。ワープゲート」
マイスさんがカードを出すとでっかいお屋敷の前にいた。
でっかいお屋敷の門が開いて中に連れられる。
「広いですねえ」
きらきらほうきぼしから降りるときらきらほうきぼしは消えた。
マイスさんの案内に従っているとひときわ豪華な扉の前にいた。
「ここが中庭だ。お嬢様はよくここにいらっしゃる」
なるほどなあ。
マイスさんは扉をたたく。
「失礼します」
扉が開くと豪華なドレスを着た女の子がいた。
「よくわたしがここにいることが分かったね」
「お嬢様はよく中庭にいらっしゃいますから。家庭教師の方を連れてきました」
女の子の前に突き出される。
女の子はつぶらな瞳をぱちくりさせた。
「こんな子がわたしの家庭教師なの?」
「実力は試してみなければ分かりますまい」
女の子はデッキケースを構える。