プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
本屋の店員さんに文字を教えてもらう。
「凄く分かりやすかったんですけど、よく教えてるんですかね」
「この街の子供はたいてい私の教え子だよ。授業料無料だからね。まあ君みたいなおっきい子には初めて教えるんだけどさ。覚えが早いよね」
「お店の方は良いんですかね」
「姿をコピーするモンスターに店番させてるから大丈夫でしょ。モンスターってのは支持しない限り人は襲わないしね」
よくわからないけど共存共栄という奴だな。
本屋さんの店員がその場から去る。
「そういやこの積んである本ってなんだろ」
机に置いてあった本をめくった。特に何も言うことはない普通の表紙だなあ。
ほう。ふむふむ(なにも分かってない)。
「なッ!?」
なんだこれ。文字はところどころ読めないし隠語だらけだけど挿絵があるから辛うじて誰がモデルなのかは分かるぞ。よく読めば俺をモデルにしたであろうキャラは男勝りな美少女だけど実は成人済みの男で、ハナメデルをモデルにしたであろうキャラが恋人っていう設定のBLだった。挿絵の見た目が似てるんだよなあ。改めて考えるとアイツ顔は良いから需要があるのかも。作者と挿絵書いてる人同じ名前だから確信犯でしょ。なんでこんなもん子供が見そうなところにおいてあるんだよ。
いや間違いかもしれないからよく見てから回収しないといけませんね。冤罪はいかん。別に続きが気になるわけじゃないし。BLなんて男から見たら不快なだけだし。
「何見てるの」
本を取り上げられた。
「あっ。まだ見てたのに」
「子供がこんなもの見ちゃいけません」
「子供にみられる場所に子供が見ちゃいけないもの置いちゃいけません」
店員さんはバツが悪そうな顔をする。
店員さんは顔をそらす。
「この本は表紙が特に問題のあるものでもないから、うっかり退けておくのを忘れちゃった。ごめんね」
「なんで表紙は普通なんですかね」
「変な本読んでるって思われたくないからだよ」
「なるほどね」
最初っから変な本を書くんじゃねえと言うのは野暮だろうな。
店員さんは変な本を懐にしまう。
「ところどころ読めないところがあったでしょ」
「読めない文字以外は全部わかったよ」
「なるほど。改善しないとなあ」
「もしかしてその本の作者さんだったりします?」
「うん。警備兵と戦っている君の姿を見て思いついたんだよね」
「俺は良いけど、モデルにした人には見せない方がいいと思いますよ」
ホントは良くないが、まあ放っておこう。俺に文字を教えてくれた人だからな。
いつの間にか日が暮れそうになっていた。
「とてもマズいな」
店員さんは本を懐から出した。
「良かったらこの本をもらってくれないかな」
内容を見ると、文字の読み方が書いてある教科書だった。
「ありがとうございます」
教科書をもらって屋敷まで直行する。
屋敷まで帰る道の途中に、ガラの悪い人たちが現れた。
「なんだお前ら」
「人さらいだ」
「こんな時間に外をうろついたら危ないぜ。俺たちのような悪党に捕まるかもしれないからな」
「子供は高く売れるぜ」
「しかも警備兵を倒せる程度には実力があるからな。人さらい業界も稼げなくなってきたと思った矢先にこれだからやめられねえ」
今日は妙に人さらいに遭遇するな。
ペルーダを召喚して棘のないところまでよじ登って座った。街の人達はコストを支払わずに召喚していたから、試合じゃなかったらこういうことも出来るんだね。
「なんだそのとげとげは」
「害を与えようとした者にのみ刺さる罰だ。刺さりたいなら好きにすればいい」
なおビーコンパラサイトと鯵テーターの効果で絶対に害を与えようとしなければならない模様。理不尽だよなあ。
盗賊ゴブリンがいっぱい出てきた。無駄なのに。
「トゲをよけてさらえ」
「そう来ると思ったよ。ギロチンフェイスデビルを召喚」
ギロチンフェイスデビルが現れて盗賊ゴブリンに鉄の刃を発射する。盗賊ゴブリンは体を切られて消滅した。
これは人さらいに勝ち目がない。
「バインドパラサイトを召喚。さらにワープゲート」
ロープが現れて俺を縛る。
ロープが勢いよく俺を引き寄せた。ギロチンフェイスデビルがロープを切る。結果勢いだけが残って、地面にたたきつけられた。
「いてて」
ペルーダがドスドスと足音を立てながらこっちに来る。
「あの亀とハリネズミの合体モンスターも足が遅くてこっちまでこれねえ。ということはだ。お前を遠慮なくさらえるということだ」
ガラの悪い男がカードを近づけてくる。
「魔法発動 眠らせる霧」
瞼が重くなって意識を失う。
目が覚めると騒がしいところにいた。窓のようなところから見ると人が武器を持ってモンスターと戦っていた。地下闘技場的なアレかな。拘束されてねえが、空飛ぶ人魚がうろついてるから出られねえなあ。
「似たようなことがあったんですけど」
「同業者にさらわれたとかだろ」
黒い覆面ヤローが現れた。
黒い覆面ヤローは俺の近くに座る。
「なんで日に二回もさらわれているんだ」
「お前もさらわれてんだろ」
「あいにくこれで一度目だ。お前と違ってドジは一度しかしない」
むむむ。
黒い覆面ヤローは俺に近づく。
「ここから出たいのは俺も一緒だ。協力しよう」
コイツも状況は同じか。
「しょうがねえなあ」