プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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三十四枚目 帰ってこない

 マイスもドロウも遅いわね。

「いったい何をしているのかしら」

 ドロウはご飯だけはきっちり召し上がりますのに。

「何か事件に巻き込まれたに違いありませんわ」

 でも今日は遅いですので、寝ますわ。それに今日は特別遅いってこともあり得ますからね。

 

 目が覚めましたので、部屋を見てみましたの。

「いないですわね」

 アメラに確認してもいませんでしたわ。本当に何かありましたわね。

「お父様とお母様に相談しようにも、お父様もお母様もお仕事でいらっしゃいませんからねえ」

 呼び鈴オウムがやかましく鳴きましたの。

 

 ドアを開けるとラーナちゃんが門の外にいましたわ。

「またですか」

「いいじゃない。今日も休みなんでしょ」

「まあ暇でしたし……それに相談したいことも」

 ラーナちゃんに相談して何か状況が良くなるわけでもありませんが、心の不安を解消するためのきっかけにはなりそうですからね。

 

 ラーナちゃんにあれこれ相談しましたの。

「そういうことね。マイスならお姉ちゃんと仕事してるわよ」

「そうでしたのね」

「何の仕事してるかは分からないんだけどね~」

「そ、そうですのね」

 知っておいたほうがいいと思いますわ。

 

 ラーナちゃんはデッキを振りましたの。

「悪い人にさらわれてるかもしれないわね。確かめましょう」

「その悪い人がどこにいるか分かりますの?」

「分からないわ」

「あらら」

 どうしたらいいのでしょう。

 

 窓から緑の覆面の人が入ってきましたわ。

「あなたは確か……カシヨさんですわね」

「呼び捨てででいい」

「何のようなのよ」

「お前らの師匠がさらわれたところを俺は知ってるぞ。協力してやるよ」

「断りませんが、それをしてあなたに何の得があるんですの?」

「借りを返したいだけだ。俺の仲間も一緒にさらわれてるんでね」

 そういうことですのね。

 

 そういうことならば案内してもらいましょう。

「協力してくださいまし」

「良かったな。お前らのお父さまとお母さまにバレないように速めに救いに行こうぜ。いい作戦がある」

「わかったわ」

 カシヨの作戦を聞きましたわ。

 

 いい作戦でしたの。

「それでいきますわね」

「すごいわ」

 それでいきましたわ。

 

 下水道を経由して変な地下通路を通って行って、扉のようなものの前で止まりましたわ。

「これをこうする」

 カシヨは扉を蹴ってから早着替えしましたの。一瞬で服が変わるなんてすごいですわね。まともな服装になりましたわ。

「ハイハイお客様何の御用ですか」

 フィールドファイト大会の表彰式で見たネコキャットガールズが応対しましたの。モンスターだからそういうこともありますわね。

 

 応対されるままに行くと、凄く人のいる空間につきましたわ。

「地下闘技場でございますニャ。人とモンスターの戦いが見られますニャ。それでニャ」

 ネコキャットガールズが消えましたの。

「趣味が悪いぜ。スタイルに合わねえ」

 一回も攻撃せずに勝つことも出来るスタイルですからね。極力人は傷つけたくないのですのね。痛みはどうせ感じませんのに。

 

 カシヨは観客席に腰を下ろしましたわ。私達はカシヨの隣の席に座りましたの。

「ガキのくせにこんなの見たら性根が歪むぜ。見ちゃだめだろうよ」

 カシヨにサングラスをもらいましたの。ほとんど見えませんわね。

「なんだあのトゲトゲ。ペルーダっていうのか。モンスターの名前を教えてくれるなんて親切だなあ」

 ペルーダですの!? ドロウの切り札ですよね。捕まっているのでは……。

 

 ため息をつく声が聞こえて会場は盛り上がりました。

「赤コーナー。人を突き刺すために生まれた毒の竜 ペルウウウダ。バーサァッス青コーナー。モンスターキラー ザモリック ファイッ」

 金属がぶつかり合う音が聞こえますわ。

「ペルーダってドロウの切り札よね」

「ええ」

「ドロウってのはお前らの師匠か?」

「私の先生ですわ。何でここにいることをご存知でしたの?」

「一緒に捕まっている俺の仲間から連絡があったんだ。ピンハネル伯爵家お嬢様の先生が捕まってるってな」

 なかなか大きな組織ですのね。なんで捕まっているのに連絡出来るんでしょうね。

 

 トマトが壁にぶつかったような音がして、歓声が響きましたわ。

「ペルーダの勝利です。皆さんありがとうございました」

「世の中には見ちゃいけないものがあるんだよなあ。ここにいる奴らはみんなこれを見に来てるけど、お前らにはまだ早い。さ、行くぞ」

「どこに行くのよ」

「そりゃあ敵陣視察さ。今までのはほんの様子見だ」

 様子見ですのね。

 

 カシヨの腕に掴まって歩きましたの。

「いい加減はずせ」

「あっ」

 サングラスが外れましたわ。

 

 翼の生えた人魚がいましたの。

「本日は楽しめましたか?」

「楽しかったぜ。ところでモンスターを召喚する人専用の部屋を見学したいんだが……」

「金貨三十枚となっております」

 私とラーナちゃんで半分ずつ払いましたわ。カシヨはお金を持っていませんからね。

 

 モンスターを召喚するする人専用の部屋を見学するためだけの部屋に通されましたわ。

「いますわね」

 ドロウがおりましたの。

「なんなんだあの胡散臭いお面ヤロー」

「あれは胡散臭いわね。あとカシヨ、口が悪いですわよ」

 確かに胡散臭いですがそれどころじゃないですわよ。

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