プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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四十四枚目 暗黒プロローグ その1

 攫われて助けられてから一か月経った。俺はベッドに寝っ転がっていた。

「ヒマだぜ」

 まあ暇なのが一番いい。お給金もいっぱい出たから、マイスさんに借金返せたしこのまま死ぬまで安泰しているのがいいね。

 

 ベッドもふかふかのものを買うことが出来たからもう生活に困ることもあるまい。

「ああ楽ちん」

 大きな音が聞こえた。複数人の足跡がするな。

「忙しい時期なのかな。手伝いに行かねえと」

 ベッドから起き上がる。

 

 部屋のドアが開いた。部屋に何人もの鎧を着た人と、首無しデュラハンが入ってきた。さりげなく後ろにハナメデルもいるな。

「不法侵入だぞ。こんなことしていいと思っているのか」

「これはガサ入れナハ。それに事前に捜査の許可は貰ってるナハ」

「なんだと。俺が何をしたって言うんだ」

「警備兵として聞きたいことがあるナハ。捕まえたりはしないナハ」

 なんだ事情聴取か。

 

 そういうことなら惜しみなく協力しよう。

「何が聞きたいの?」

「パズル商人のオメンオクと話をしたそうナハね。どんな奴だったナハ?」

 パズル商人か。あんな胡散臭いなりしてパズル売ってるとは人は見た目によらないね。見た目によらない奴代表みたいなところがある俺がいうのも変な話だけどな。

「部屋の中に入ってきてやったら話してやるよ。そんな分かりにくいところにいちゃ、話しにくいんだよ」

「レディーの部屋には許可がない限り、入ってはいけないものと思っているから今まで入ってなかったナハ」

 誰がレディーじゃ。

 

 ハナメデルが部屋に入ってきた。

「オメンオクはどんな奴だったナハ?」

「どうもこうもねえ。お面をした青いコートの胡散臭い奴だ。あと袖からなんか出す。魔海デッキでドローしまくって、相手のデッキを切らせてくるライブラリアウト戦法してくるから気を付けろよ」

「魔海……シズミ伯爵家にのみ代々受け継がれているカードナハ。うわさは聞いたことがあるナハ。あそこは10年も前に没落したからあり得ない話ではないナハ」

「なーにぶつぶつ言ってんだ」

「何でもないナハ。情報提供ありがとうナハ」

 あいつああ見えて実はけっこう家柄が貴いお方なのかな。なんかそれってなんとなくいやだな。

 

 疑問が一つ生じた。

「俺がオメンオクと話をしたのは、非合法施設なんだがなあ。なんでお前は俺がオメンオクと話したことを知ってんだ?」

 不良警備兵がいるってことになる。まさかコイツラ口封じに来たのか?

 

 デッキを構えた。

「構えなくていいナハ。悪いようにはしないナハよ。知っている理由はそういう裏のところにスパイがいるからナハ。認めたくはないけれど、表より裏の方が情報が入るのが早いナハ」

 清濁併せ吞む組織ってだけか。

「なんだそういうことか。俺は無理やり連れてこられただけの被害者だから、捕まえないでくれよ」

「そういうことナハね。それでオメンオクと協力して脱出したということナハ」

「ハナメデルと暗黒邪教ドローバンク団と戦ったときは大変だったぜ。結果だけ見れば逆転勝利だったけどな」

 ハナメデルが驚いたような顔をする。

 

 ハナメデルに肩をつかまれて揺さぶられた。

「暗黒邪教怒労蛮苦団ナハ!?」

「そんなに驚くことかよ。揺らすなよ」

「驚くことナハ。暗黒邪教怒労蛮苦団は闇と共に現れて敗者の記憶を何らかの方法で奪うから、目撃例が少ないナハ。ただ広い地方で聞くから規模が大きいことぐらいしか分からないナハ。実際ナハも二回撃退したことがあるナハ。負けたら石像になるから何も聞き出せなかったナハ」

 石像は口きかないからな。

 

 ため息をついた。

「大したことは分からねえぜ。二回も戦っているあんたの方が俺より二倍も詳しいはずだ。デス・コロシアムの副オーナーに雇われたとしか言ってなかったからなあいつら。デス・コロシアムのご存知だから言うまでもなかったかな?」

「副オーナーなんてのがいたとは知らなかったナハ。ゴブリンに経営が務まるとは思えないから、傀儡にしているのかもしれないナハ」

「なるほどね」

 実は全然わかっていない。

 

 いきなり目の前が暗くなった。

「なんだこれは」

「暗黒邪教怒労蛮苦団ナハ」

「面倒なことになったな」

 暗闇の中でハナメデルが消えて、別のところに現れた。一瞬で瞬間移動したのかこいつ。

 

 ハナメデルは俺を殴る。口の中の血管が切れた。

「いきなりどうしたんだ」

「こいつを誘拐してから擬態したんだ。二回も我ら撃退するほどの実力者なんて生かしておくだけで面倒なことになる」

 確かに語尾がない。こいつは偽物だ。それにしてもほっぺたがいてえ。

「てめえ何しやがる」

「お前も実力者だろう。放置しておけば面倒になる。誘拐する。それに伯爵家令嬢の家庭教師と言う身分はとても都合がいい」

「お嬢様たちに気が付かれるぜ」

「気が付かれないさ。お前にも擬態が出来るのだからな」

 俺がもう一人現れた。

 

 もう一人の俺はカードを俺の前に突き出す。

「テレポートゲート」

 一瞬重力を感じた。

 

 風景が変わっていた。

「どこだここ」

 プールサイドだな。隣でのんきにハナメデルが寝ていやがる。

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