プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
お嬢様が疑問を顔に浮かべていた。
「そりゃ疑問に思いますよね。まあ感動の再開ってやつですからね……一つ教えておきますよ。俺は暗黒邪教怒労蛮苦団に入って、序列五位のやつをぶちのめしてこんな高い身分になりました。だから首長様と直接お会いできる仲なんですよね。あと暗黒邪教怒労蛮苦団に誘拐されて暗黒ファイトをするだけの存在になりました。お嬢様のよく知るドロウはね、死んだんですよ」
お嬢様の顔が青ざめた。ごめんね。こんなことやりたくてやってるわけじゃないんだよね。
俺に変装していたお辞儀をした。
「つい相手してすみません。この姿になってるので、こうせざるを得まいと思ったんですよ」
「ああ分かってる。良く擬態出来てるよ」
「どういうことですの?」
まあいきなりこんなこと言われても理解しがたいよね。
俺に変装していたやつがハナメデルになった。
「こいつの名前は本人でさえも知らないんですよね。暗黒邪教怒労蛮苦団一の変装の達人で自分がない奴と呼ばれていますね」
「実際に己が何なのかも知らないナハ。ただモンスターじゃないということは確かナハ」
「ですって。あとお嬢様にはこれをあげますよ。辞表です。お父様とお母様にでも渡しておいてください」
辞表を書いた紙を封筒に入れた。
あの封筒の中には暗黒邪教怒労蛮苦団の本拠地の所在地が書いてある紙も一緒に入れてる。袖に入れてた紙を折りたたんだ辞表と一緒に入れておいたのだ。
「ほらよ。今後は俺たちとはかかわらずいい子ちゃんのまま生きているんだな」
お嬢様のところまで歩いて、辞表を渡した。
お嬢様の腹に軽くパンチをする。
「これでもくらえ。黄金の右ストレート」
耳元に、口を近づける。
「ごめんなさい。実は潜入しているんです。首長様から信用を勝ち取って、ようやく場所を知ることができました。紙に場所が書いてあるので、どうにかしてください。お嬢様次第ですよ」
お嬢様を腕で押して、バックステップした。
「潜入やらどうたら聞こえましたが?」
「後で説明しておく」
聞かれてたか。お嬢様は放心状態だから今のうちに逃げておこう。今はまだ会う訳にはいかない。
窓を開けて外に出てから、森まで行った。
「さっきの話はどういうことですか?」
「あれは希望を持たせるためのウソだ。希望をへし折った方がより絶望の度合いが深くなる。昔からああいう性格の輩は気に食わないからこのくらいしないと気が済まない。給料がいいから従ってたまでよ」
「性格悪いですね」
それらしい言い訳を考えられたな。アメラに聞かれたら首がもげるまで平手打ちされそうだから、聞かれなくてよかったね。
ワープゲートで本拠地まで戻った。
「首長様が見回りから帰ってくる日だぞ新人。これだから新人はダメなんだ」
「元五番手がなんかほざいてら。古株なだけじゃだめだやっぱ」
「なんだと。ライめ。ふざけるな」
「俺の方が身分が上なんだから様を付けろ様を。ライ様だろ。まあいずれ呼ばなくてもよくなるから見逃してやるよ」
元五番手さんがなぜか嬉しそうにする。外部と協力してここの組織ぶっ壊すから、呼ばなくても良くなるっていう意味だったんだけどなあ。そんなに裏切ってほしいのか。
6つのイスの中から5と書いてある椅子に座った。
「いい加減出ていけ」
元五番手は現三番手の言うことを素直に聞く。俺に対してもこう素直になればいいのになあ。
「集まったか」
身長3mぐらいはあるだろう人間が現れて、0と書かれた椅子に座った。
「「「「「マイロード」」」」」
こいつが首長だ。名前は二番手しか知らないらしい。暗黒邪教怒労蛮苦団は俺ら幹部と首長は名前で呼ばないからな。
今週奪ったカードを手裏剣のように打って首長の前に刺した。
「たった三枚か。スライムにエルフマジシャンにスナイパーハーピー……どれもいいカードだ」
「どれも俺が野生のモンスターを自ら捕まえたぜ。しかも全部スーパーレアだ。他人の取ってきた雑魚カードを十枚二十枚プレゼントされるよりはうれしいだろ」
「我らを愚弄するか」
「先輩方は黙ってくださいよ。首長様の前で醜い言い争いをするんじゃねえ」
「チィッ」
幹部になれば新しいカードが貢がれ放題の日々ではあるが、そういうのは断ってる。それをすれば黒覆面ヤローと同じだからな。
一番手は十枚のカードを差し出した。
「こちらもすべてスーパーレアです」
「なかなかトリッキーなカードですね」
「あとピンハネル伯爵家周辺で滅龍 アジ・ダハーカという見たこともないレアカードを確認できました」
「なるほど。そちらも覚えておこう」
アジ・ダハーカだと。
俺は思わず机をたたいていた。
「静粛にしろ」
「いやいい。悪意があってやったわけではなさそうだからな」
「それは俺が取りに行く。その持ち主は因縁の相手だからな」
「なるほど。いいだろう」
まずはアジ・ダハーカを取り返すか。
それぞれがカードを貢いだ後に二番手が自らの左手を指さした。
「そろそろ時間だな。これをやろう」
俺の前にカードが一枚俺の前に現れる。魔導回復生命体もこうしてもらったな。
「いつ見ても首長様の創造の力はすごいな」
「そのカードが何なのかは作った私でさえ分からぬ。なにせランダムで裏向きだからな」
机の上のカードをとった。アジ・ダハーカによさそうなカードだな。当てつけか。