プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
闇街道を歩いていると大きな声が聞こえた。
「これは確かめざるを得まい」
声のする方向に行ってみた。数十人のカードハンターと組織カードハンターの黒覆面がいた。
不愉快だなあ。
「組織カードハンターは私たち個人カードハンターとは違って一人じゃ何もできない雑魚しかいないのはみんなもよく知ってるよね」
十数人がうなづいた。
「個人カードハンターは俺たち組織カードハンターとは違って集団になじめないのに強いふりをしているだけの雑魚しかいないのはみんなもよく知ってるよね。」
数十人がうなづいた。。クソォ。みんなしてバカにしやがって。
デッキを構えた。
「アカネよ。こんなことをしている場合じゃないだろう。邪魔だ」
「挑発すればカードファイトしてもらえると思ったのに」
「みんながみんなカードファイトしたいからカードハンターをやっていると思うな」
「ちぇ~。今日こそは黒覆面と戦えると思ったのにな」
黒覆面の言ってることは全体的に分かってる。
黒覆面は場所が書かれた紙をバラまいた。
「なんなのこれ」
「これは暗黒邪教怒労蛮苦団の本拠地だ。そこの」
「暗黒邪教怒労蛮苦団だってぇ。とても強いボスがいるところだよね。それがどうかしたの」
「人の話を遮るな。戦闘狂は座っていろ。どうなったのかはこれからいうつもりだったんだ」
「そうだったのか。なるほどなあ」
大人しく座った。私話分かる系戦闘狂だもんね。ただの戦闘狂だけじゃキャラ薄いもん。名前が良く売れてなければ不戦勝も出来ないからね。
黒覆面はわざとらしく咳払いをする。
「内通者の密かな協力によって本拠地が分かった。座標から割り出すのは結構苦労した」
「本拠地はこの紙に書いてあるところでしょ。強いボスと戦えるなんて嬉しいなあ。しかも無法地帯じゃんか。ワクワクするなあ」
「とある筋によると某貴族の令嬢にも伝えたらしいから警備兵にも気を付けるように」
「俺たち何も悪いことしてないし捕まらないんじゃねーか」
「言っておくが勝手に他人の家に入るのは犯罪だからな」
常識的にトバクファイトは負ける方が悪いからね。でもそれはそれとして不法侵入はダメ。
黒覆面はため息をついた。
「暗黒邪教怒労蛮苦団の序列三位から聞いた話によると、暗黒邪教怒労蛮苦団はとある商人が子飼いにしている組織なんだそうだ」
「なんだと!」
「上層部がそんな知られちゃいけないこと他人に言うかよ」
正論だなあ。
黒覆面は首を横に振る。
「三番手から五番手までは暗黒邪教怒労蛮苦団を壊滅させるために入ったそうだからな。顔を見られていないから、服さえ調達すれば楽に入れて聞き出せる」
まあ実際黒覆面は謎だからね。どこぞの貴族に仕えているとかスラム街で細々暮らしてるとか色々なうわさがある。
黒覆面は人一倍信心深いカードハンターである信心のシンズルの近くに移動した。
「しかも本来神から渡されて神殿に運ばれカードショップに並ぶはずのゴッドカードパックの袋の中身を詰め替えて雑魚カードで荒稼ぎをするという非道を行っているらしい。暗黒邪教怒労蛮苦団は売るためのカードを奪うためだけに秘密裏に作られた組織だ。神をないがしろにするような奴は許せるか?」
「わたしゆるせません。もちろん私も似たような者なのですが……」
「だよな。それにな。カードハンター全員で襲えば信者からカードを奪えるかもしれねえぜ。やるっきゃないだろ」
辺りが沸き上がった。カードハンター業界は楽したいからカードハンターやってる屑が多いからね。私はキャラが薄すぎて上司にまともに顔も名前も覚えられず真面目に働いてても無断欠勤扱いされるのを10回繰り返したからカードハンターやってる。まともに稼ぐのは諦めた。
シンズルはあたふたしている。かわいいなあ。まるでメガラビットみたい。
「あの……アカネさん。本当にいいことなんですよね?」
「良い事じゃないよ。こいつらは現実の見れない屑だから楽したいだけ。カードハンターなんて世間的にみればひっくるめて屑で、こいつらはカードハンターの鑑なんだからさ」
シンズルは泣いてしまった。
シンズルはカードハンターにしちゃ珍しくいい子だからね。
「も、もちろん潰れかけの孤児院の子供たちを養う資金を調達するためにカードハンターを仕方なくやってるシンズルは別だけどさ。それにシンズルは脅しも不法侵入もしてないじゃないの。本当に何も悪いことはしてないから」
「励ましてくれてありがとうございます」
「よしよ~し」
シンズルは泣くのをやめた。
黒覆面の右に空間の穴が開く。
「上司の許可は取ったのか?」
「ああ。ちゃんと取ってある。無法地帯だからどうあがいても不法侵入できないことを言っておこう」
「では行ってまいりたいと思います」
シンズルは走ってうっかり転びそうになる。シンズルの腕を引っ張ってから一緒に空間の穴に入った。
空間の穴の先で屑どもと暗黒邪教怒労蛮苦団の団員が戦っていた。
「おーおーやってるねえ。適当なところで私たちも混ぜてもらおうかな」
「は、はい」
全くいちいちかわいいなあ。
「撫でてどうしたんですか?」
「何でもないよ」
うふふ。