プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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アカネ視点です


六十五枚目 茜天

 私はシンズルのいる教会に行った。

「ちゃーっす」

「アカネさんこんにちは」

 実は相談があってここに来た。

 

 教会にいた子供たちが無邪気に近づいてきた。

「じゃれんな。やめろ。登らるな。私は山じゃないぞ~」

「きゃっきゃっ」

 子供たちが私にじゃれついてくる。

「子供たちもアカネさんが来てくれて嬉しんですよ。なんだかんだ子供たちには優しいですからね」

「まぁそう言われると悪い気はしないな。カードハンターの仕事は人としての精神を削るけど、こうしていると人としての道徳性が治る気がする」

「実は私もなんですよ」

 褒められると照れる。

 

 懐から紙を出した。

「実は仕事を持ってきたんだ。報酬はいつも通り7:3でいいよな」

「いつも思うのですが、私がそんなに貰って大丈夫でしょうか? 私は公平に行くべきだと思うんですよ」

「私は戦えればそれでいいからな。10:0でもいいんだけど、それだとシンズルがうるさいからな。7:3だとギリギリ文句言われないかなと思っただけだ」

「そういうことなんですね。気遣いとかではなかったのですね」

 まあ戦闘狂キャラ演じているから割とすんなり受け入れてくれた。

 

 シンズルはお辞儀をしてから奥まで走った。神父に許可を取りに行ったのだ。

「あの神父なら不法侵入と脅しをしなければいいですよって言いそうだがな。律儀だねえ」

 私はその二つをしているのであの神父には嫌われているのだ。私もあの神父は嫌いだからおあいこだな。互いにシンズルがいなかったらトゥルーファイトしてためらいなく勝ちに行くぐらいには嫌い。

「ふほーしんにゅうってなーにー?」

「やっちゃいけないことだ。これをしたら人生ムダにしちゃうからやらない方がいい」

 しかしばれなければ大丈夫。

 

 シンズルが嬉しそうに走ってきた。

「許可をもらいました。おねえちゃんが出かけているからって悪いことしちゃダメだよ」

「えーやだー」

「うるせぇ! 私が言うのもなんだが悪いことはしちゃダメなんだよ。分かったか!」

 子供たちは泣きそうになって教会の中に入った。

 

 オボロボットカーを召喚した。黄色くて天井低くていつ見ても変な見た目してるんだよなあ。

「金がないから贅沢は言えねえがよ。自分で動かすのは案外面倒くせえ」

 ちょっと遠めだからなあ。

 

 オボロボットカーに乗った。

「私が動かしますからね」

「それだけはご勘弁……いただきたい」

「大丈夫ですって」

 この眩しい笑顔の前じゃ何も言えないのが歯がゆい。このままじゃいけないってのは分かってるんだけどね。

 

 仕事の現場についた。

「ここが仕事の現場だ。なんでもいっぱい出るんだとよ」

「何がですか?」

「トバクファイトで身ぐるみを剥ぐ奴らだ。法に触れてはないから私らに負けたことにして始末させたいんだろ。悪事をしてない奴らを檻にぶち込むことは出来ないからな」

 トバクファイトに勝ったのにカードを取らない奴は嫌いだ。

「そういうことですか」

 居住区まで行った。

 

 ご丁寧に扉まであるなんてな。

「あのー。失礼しまーす」

 シンズルが何度も戸をたたく。

「うるせえ」

 ガラの悪い男たちが出てきた。

「ずみまぜん!」

 シンズルが泣きだした。こいつだけは許せん。

 

 デッキを構えた。

「二人ともいい女じゃねえか。負けたら俺様のものにしてやるぜ」

「なるほど。なーに言ってんだ。お前だけは絶対に許せねえから、私が負けることはねえよ。見ててねシンズル。今倒すから」

「何も悪いことしてないのにいきなり来て扉を叩きまくったことに怒ったらこうなってたぜ。正義とは何なんだ」

「正義とは私とお前にはないものだ」

「「トバクファイトエントリー」」

 倒してやるよ。

 

 あっさり片付いた。

「こんな雑魚デッキじゃ、どんなに回し方が良くても私には勝てないぜ」

 取り敢えず一番レアなカードをもらって、シンズルに渡した。

「そもそもハンデスだったから相性が良くて勝てたと思うんですけど」

「それはある」

 墓地ソースだから墓地を増やしてくれるハンデスは実際ありがたい。

 

 男が殴りかかってきた。脚を引っ掛けて転ばせてから思いっきり踏んで、ツボをつき、しばらく動けなくした。

「絨毯になってろバーカ」

「私はこんな下劣な人がアンゼを使っていたのかと思うと泣きたくなりますね」

「アンゼはハンデスに使えるからなあ。あと普段子供たちの前で強がって泣けない分いっぱい泣いてもいいけど、今はダメだ」

 泣きたくなるって言ったら本当に泣くのがシンズルだからね。そこがかわいいところ。

 

 シンズルがしゃがみ込んだ。

「入っていいですか?」

「ダメに決まってんだろ」

「アカネさんがんばってください」

 シンズルは手を振った。

 

 居住区に入ると薄暗い洞窟になった。魔法カードの力で空間を変えているのか。

「ご苦労なことだな」

 ふと後ろから殺気を感じた。

「危ないなあ」

 ガラの悪い男たちとマイコニドがいた。

 

 マイコニドは胞子を噴出した。

「これで眠らせようとしたってことだな。陳腐だなあ」

 後ろからくすぐられた。しまった。バーンウィザードにくすぐられてる。

「あひゃひゃひゃひゃ」

 マイコニドの胞子を吸って気絶した。

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