プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~ 作:黒点大くん
よし。これで行けるぞ。お嬢様の勝ちだ。
「
「ぐああ」
場がすっきりした。
実技という体でお嬢様にも対処してもらったら一気に楽になったなあ。あの数を一人で対処するのは難しい。
「結果的に領地も多少増えましたわ」
「防衛で勝っても領地が広がるのは良いですね」
末期の鎌倉幕府が聞いたらうらやましがりそうなシステムだよね。
お嬢様は地図を広げた。
「今はこのぐらいの領地になっていますわね」
「爆発的に増えてますね」
これもすべて爆発で雇用主の弟の悪事がバレたせいだ。
空間に穴が開いた。
「今日はもう定員オーバーのはずなんだがなあ」
デッキを構える。
クマがすごく、髪がぼさぼさしたショートカットでゆったりした服装の女の人が現れた。
「カネスキちゃん。こんにちは」
「ごきげんよう」
知り合いかな。誰だろ。
お嬢様にコッソリ耳打ちする。
「この人がどなたなのか知っているんですか?」
「有名人のドロウちゃん。私はラジー・フラム。フラム伯爵家の長女だよ。君はドロウちゃん。これで知り合いだね」
「ええ。そうですね。それではまた。積もる話もあると思うのでお二人でゆっくりしてください」
ラジーさんが手をつかむ。
ラジーさんが腕を引っ張り上げる。
「行っちゃうの? カードファイトをしようよ」
ラジーさんはデッキケースを揺らす。
「お嬢様ぁ……」
「まあカードファイトが絡まなければいい人ですわよ」
お嬢様は生贄の山羊を見るような目で俺を見た。
ラジーさんのデッキが赤く光る。
「俺じゃないですよね」
「ドロウちゃんだよ。あっそうだ。戦術は教えないでくれないかな。私ドロウちゃんのこと名前しか知らないから、互いに知らない方がフェアだからね」
めんどくさそうだなあ。
ラジーさんの一ターン目だ。ちなみにラジーさんのジョブは暗殺者である。貴族とはミスマッチな感じだなあ。
「チャージ。コスト1でマジカランプを発動。このカードは場に置き続けるよ。ターンエンド」
マジカランプねえ。また俺の知らないカードが来たよ。見た感じただのランプだな。
俺の一ターン目だ。
「ドロー。チャージ。ターンエンド」
六ターン目まで動きがなかった。お互いドローとチャージしかしない時間が過ぎ去っていくのは、ちょっと気まずかったね。
ラジーさんの七ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3でバーサーカーを召喚。さらにコスト2でダメージスイッチを発動。このカードは場に置かれ続けて、すべてのプレイヤーは自分のターン中にダメージを受けなくなる」
バーサーカー……攻撃力は6もあるが、防御力は0で半分の確率で味方に攻撃してしまうモンスターだ。今の状況だと場ががら空きな俺は一気にピンチになる。クワトロブーストの最後の一枚でペルーダが来るとか運がないわ。
「バーサーカーで攻撃。効果を発動するよ。コインの裏か表かを宣言して外せば自分に攻撃しなければいけないんだよね。他のモンスターがいる場合モンスターに攻撃するんだけど……今は関係ないよね」
コインが現れた。
「私は裏かな」
表が出た。バーサーカーはラジーさんに攻撃する。まあダメージスイッチのおかげでダメージはないんだけどさ。
「ターンエンド」
何をしてくるんだ。
俺の七ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト5で毒棘甲羅竜 ペルーダを召喚。ターンエンド」
手札にはダイヤモンドスパイクがある。これで次のターンに……
ラジーさんの八ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3でバッドラックを発動。このカードは場に置き続ける。発動時に一枚ドローする代わりに自分のコイントスで表が出た時、裏として扱う。バーサーカーでペルーダに攻撃。表」
コインは表が出た。が、バーサーカーはラジーさんを攻撃した。
「ターンエンド」
何が目的なんだ。不気味すぎる。
俺の八ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト8でダイヤモンドスパイクを発動。ペルーダに使ってターンエンド」
ラジーさんの九ターン目だ。
「ドロー。バーサーカーで攻撃。表」
裏が出た。
「ターンエンド」
「何がしたいんですかね。真剣にやってください。怒りますよ」
「やる気は大いにあるよ。ただ初見だと意味不明なだけってのは認めざるを得ないよ」
もしかしてエクストラウィンか。しまった。
俺の九ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト7で焼鳥屋に賛成するにわとりを召喚。コスプレイヤーの効果手札に戻してステータスをコピーする。俺でバーサーカーに攻撃。破壊。ターンエンド」
ラジーさんの十ターン目だ。
「ドローする前にマジカランプの効果発動。プレイヤーが三回以上攻撃された場合、この魔法を破壊してデッキか手札か墓地から火の魔人 イフリートを場に出す」
炎の巨人が現れた。蒸し暑いぜ。冬に召喚してくれ。