プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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八十九枚目 俺にはどうしようもない。諦めた

 俺の10ターン目だ。

「ドロー。コスト5で大地の読心術発動。ターンエンド」

 ラーナちゃんの山札の一番上はフェネクスか。

 

 ラーナちゃんの10ターン目だ。

「ドローはしない。これで次のターンの攻撃も封印する」

「そうきたか」

「アルティメットスピードラットで辻斬りサキュバスに攻撃。ターンエンド」

 うむむ。辻斬りサキュバスの生命力が減っていないということは攻撃力は4未満だな。攻撃しなきゃ破壊されるとはいえ攻撃力を開示するとはおまぬけである。

 

 俺の11ターン目。デッキにモンスターを破壊できるカードがあることを祈ろう。

「このデッキのことが分からない。勝負の前にちゃんと見ておくべきだったなー。ドロー」

 引いたカードを見た。一瞬銀色に光ってた気がするけど気のせいだな。

「このカードか」

 来たぞ。

 

 これが来るなんて思わなかった。カードジョブオンラインガチ勢だったころにだいぶ使ってたから懐かしいね。

「なんでデッキに合わないこのカードを入れてるんだろ」

「多分入れてないカードをデスティニードローで引いたかもしれないぞ」

 そんなイカサマみたいなことがあるのか。

 

 10-4×2=2。最低でも2残る。よし。平気だな。

「コスト5でクラッシュシューターを召喚」

「なんだそいつは」

「こいつの効果は単純明快。自分のモンスター一体を破壊して破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える」

「その程度なんということもない。なにせ効果ダメージは受けないからな」

「まだ言い終わってない。このモンスターを墓地に送り、相手モンスターを一体破壊して破壊したモンスターの攻撃力の倍のダメージを受ける。基本的には高次元獣の攻撃力は0だ。言いたいことは分かるだろ」

 ラーナちゃんの顔が青ざめる。

 

 理解したようだな。

「クラッシュシューターの効果発動。クラッシュシューターを墓地に送り、究極の高次元獣 アルティメットスピードラットを破壊する」

 俺の生命力が8減った。

「攻撃力も分からないのにそんな賭けに出るとは……度胸ありすぎだろ」

「防御力4の辻斬りサキュバスにダメージを与えられてなかったからね。算数をちゃんと理解していれば無事なんですよ。辻斬りサキュバスでトドメ」

 ラーナちゃんの生命力:10→6

「騎士に戻してたんですね。ターンエンド」

 そのことを考慮してなかった。

 

 ラーナちゃんは何もせずにターンを終えた。

「ドロー。辻斬りサキュバスでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」

 ラーナちゃんの生命力:6→2

 

 ラーナちゃんの11ターン目だ。ラーナちゃんの山札の上が光っている。

「ドロー。コスト8で高次元ショック発動。自分の場と墓地に次元と名の付くカード以外存在しない場合に使用できる。相手に3ダメージ」

「あ~。クラッシュシューターか。やらかした~」

 ドロウ:生命力2→0

「油断したな」

 場がすっきりした。

 

 デッキを返す。

「ようやく強者を倒すことが出来た。我は今まで弱者しか負かしたことが無いから、非常に満足している。感謝しよう」

「普通こういうのって勝ったら無くなるものでしょ……」

「我がそうではなくて何が悪いというのだ。ある程度の実力者が本気で我に挑んで負けるだけで無害化するのだから、そっちの方が楽だと思うが。そういう性質の我に感謝しろ。後そういうことは小声じゃなくて堂々と言ってほしい。聞き取りにくいから」

 これだけ元気だとしばらく消えなさそう。

 

 あっそうだ。

「でも高次元獣が意思を乗っ取るとかなんとか言ってましたよね」

「カードが人を操ることはない。もちろん人の意思が増えることもない。ああいう風に言ったら大抵のカードファイターが英雄気取りで戦ってくれるから、言ってるだけだぞ」

 おかしいんだよなあ。説明がつかないんだよなあ。

 

 ラーナちゃんが目をそらす。

「なんでラーナ様の性格があそこまで変わったんですかね」

「次元の巫女はスゴイ人間だからこの世界の人間は無意識的に凄まじいストレスをかけちゃうんだ。それで無意識的に性格が後ろ向きになったんだよね。後ろ向きになった人格をカードファイトの間だけ乗っ取ることにしたから基本的に無害。強者を負かしたので満足した」

 人格を乗っ取ってるしストレスを生み出してるから有害。

 

 ラジーさんが目を覚ました。

「次元の巫女の力には闇であれば闇に染まり光であれば光に染まる強大な力ってあるけど、それは何なんだ?」

「ストレスを気にしない人間は性格が変わらないってのを大げさに言っただけですよ。でも困ったことに光は史上一人しかいなかったんですよね。その光も闇の末路と変わらず最終的に悪なのが心に来るものがありますね」

 大げさすぎる言い方だ。

 

 ラーナちゃんはデッキから手を離す。

「ドロウちゃんこんにちは。なんでこんなところにいるの?」

「ちょっとラジーさんに用があったんですが、用は済ませました」

「ああ。なんとか無事に終わったみたいで良かったよ」

「ラジーお姉様はまた過労でベッド行きですか。いい加減になさってください」

 俺はワープゲートで帰った。後日ラーナちゃんから知らないカードが増えてると言われたが、俺にはどうしようもない。諦めた。

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