プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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カシヨ視点です


九十四枚目 辛うじて

 アカネとシンズルに偶然出会った。ちょうどよかった。コイツらは金で都合よく記憶をいじれるから信用できる。

「カシヨさんどうなされたのですか?」

「お前がまともな服装するとか明日は槍か雷が降るだろうな」

「残念だな。かれこれ十日はこの格好をしているが、雨が降ったことは一度もない」

 できればこんな格好はしたくなかったが、四番手が離れるから仕方がない。

 

 眠っている四番手を指さした。

「コイツは盗賊ゴブリンにとどめを刺されそうになったところを、盗賊ゴブリンごとビッグマンティスに攻撃されて記憶を失った。ちなみにその盗賊ゴブリンは生き残ってたからコイツが死んだように偽装させた」

「ソイツ暗黒邪教怒労蛮苦団の四番手だよな。見たことあるんだけど」

「髪も短くして靴も変えたんだがなあ」

「まあカシヨさんがタダで子供を拾うわけありませんからね。孤児院が保護します」

「コイツのタクティスは記憶とともに消えちまった。今のコイツはレアカード持ってるだけのザコだ」

 シンズルにそんなこと考えられない事は知ってるけど、そのタイミングで言えば野心的にしか聞こえねえんだよなぁ。釘は刺しとく。 

 

 いつの間に起きたのか四番手は椅子に座りながらバタ足する。

「おねえちゃんたちだぁれ~?」

「それにしてもかわいいですねえ」

「よく見れば顔はいいからな」

「トバクファイトでコイツを手に入れようとするやつらが複数人いたぐらいだからな。そいつらのデッキ全部奪ったけど」

 おかげで懐が潤った。他にもカードを生み出せたりと利用価値があるからコイツを連れて歩いている。釣り人にとって何度も使いまわせていっぱい魚を釣れる疑似餌ほどありがたいものはないのだ。

 

 アカネは俺を見つめる。

「間違いがあるかもしれねえから、私が連れて行きたいんだけど」

「残念ながら、俺は美女にしか間違いを起こさない」

「万が一と言うこともある」

「カードファイトで決着を付ければいい」

 コイツから金の臭いをかぎ取ったのだろうな。また一人釣れたという訳だ。

 

 繫盛しているおかげで騒がしい店から出た。ちゃんと勘定は払ったぞ。

「おねえちゃんたち何するの? おじさんをいじめちゃだめだよ」

「おじさんだってよ。よくわかってるじゃねえか。コイツ天才だな」

「たとえ事実でもあまりそういうことを言ってはいけませんよ」

 この二人……俺が気にしてることをいじりやがって。二十代後半だからまだおじさんじゃねえんだよなあ。

 

 ……こいつら二人は金を払わなきゃ信用できない奴らだということを失念していた。

「あのおじさんは気が短くてどうしようもない奴なんだよ」

「おじさんをわるくいわないで!」

「ごめんごめん」

 四番手はふくれっ面をした。

 

 四番手の目に怒りの炎がつく。

「あなたのようなこいがたきがいるからおじさんのおでこがひろくなるんだよ」 

「服はまともでも頭が蒸れる覆面スタイルを貫いているからですよ」

「潰してやるよ。カードファイトエントリー」

「カードファイトエントリー」

 アカネのデッキが光った。

 

 アカネの一ターン目だ。

「チャージ。コスト1でタクロウライターを召喚。ターンエンド」

「いつものか。なんで四枚入れられるのに三枚しか入れてないんだよ」

「四枚目を持ってねえ」

 破壊したらちょっと面倒なことになる。

 

 俺の一ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト1で大アルカナ発動。そして小アルカナ発動。さらに俺はコストを1軽減してコスト0でナンバーロスト ザ・フールを召喚。ザ・フールの効果で互いの山札の上をめくる。俺はコスト16 ザ・タワーが出た」

「コスト5の百鬼夜工業が出た」

「一枚ドロー」

「小アルカナと合わせて二枚ドローか。結果的に手札は一枚しか減ってないってわけだ」

「ターンエンドだ」

 アルカナデッキは小アルカナを初手に加えられるか加えられないかで勝率が変わるからな。

 

 アカネの二ターン目だ

「ドロー。チャージ。コスト2でクイックリロード発動。一枚ドローして手札を一枚捨てる。手札からサプライズホバーボードを捨てるぜ。サプライズホバーボードの効果でサプライホバーボードは場に出るサプライズホバーボードでプレイヤーに攻撃」

 カシヨ生命力:10→7

「おじさんがんばってー」

「そこはおにいさんがんばってだろ」

「ターンエンド」

 おじさん呼ばわりすんな。治せ。

 

 俺の二ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト2でバリアマジシャンを召喚。ターンエンド」

 アカネの三ターン目だ。

「バリアマジシャンか。そんなもの役に立たないんだよね。ドロー。チャージ。サプライズホバーボードの効果でバリアマジシャン破壊する。ターンエンド」

 サプライズホバーボードの効果か。厄介だな。 

 

 俺の三ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト3でプレイヤーバリア発動。俺の場にモンスターがいなければ一ターンに一度だけ攻撃で受けるダメージを0にする」

「なんなんだそれ」

「新たに手に入れたカードだ。アイツのおかげだな。ターンエンドだ」

「あとであの子に感謝しとけよ」

 これで美女ならさらに良かった。

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