プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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九十六枚目 カードハンター基地

 四番手をカードハンターの組織の専用部屋に連れて行った。

「子守……でちゅか。いい身分だなパパさん。かわいい子供ごと死んでも知らねえぞ」

「黒覆面か。暇だから皮肉を言いに来たのか?」

「ああ暇で暇で仕方がないんだ。何しろ今は忙しくない時期だからな。ついこの間まで忙しかったが、新しく雇われた奴が有能だった」

「それは良かったな」

「でもそいつ人事面では無能だから忙しくなりそうなんだ。黄金よりも貴重な暇を享受しているところなんだ」

 皮肉に皮肉を返したら愚痴を言われた。

 

 四番手は首をかしげる。

「おじさんだぁれ?」

「おじさんにはねアクイ・エルタストという立派な名前がある。まああそこの緑覆面のおじさんとかには黒覆面って呼ばれてるけどね」

 バカにしやがって。いつかその憎たらしい覆面を剝いでやるよ。

 

 白い覆面の女が黒覆面ヤローの隣に座った。

「カシヨちゃんがまともな服装してるとか悪いもの食べたのかな? 医者呼ぼう」

「まともな服装だとコイツに嫌われるからな」

「立派なパパさんですねえ。あと普段の貴方の格好はまともじゃないですよ」

 煽りがワンパターンだぜ。

 

 四番手が白い覆面の女を指さした。

「このおばちゃん前にもあった気がする~」

「おばちゃんか、おばちゃんね。ふ~ん。マグマドラゴン召喚」

「蒸し暑いからそれ止めろよ」

「まだ一応十代だから。そのことを知ってもらったうえで、おばちゃん呼ばわりしたことをドロ……この子に謝らせたいだけなんだよね」

「ごめんなさい」 

 マグマドラゴンが消える。 

 

 机の上に金色の覆面人間が落ちる。あいつが男なのか女なのか俺にも分からねえ。

「どうでもいい喧嘩はやめたまえ」

「自分の命さえどうでもいい奴に言われても説得力がない。それにワンテンポ遅れてるぞ」

「そう、すべてがどうでもいい。ワンテンポ遅れていてもどうでもいい。どうでもいいから流されるまま下流から上流に来ても気にしない。でもどうでもよさが極まるとうざったい」

 まあこいつはどうでもいい奴だ。

 

 どうでもいい奴は机から降りた。

「テーブルの上にいることはどうでもよくない」

「どうでもいいさんでもそこはどうでもよくないんだね」

「どうでもいいさんだと。いい意味でどうでもよくないあだ名だ。今度から使わせてもらおう」

 空間の穴が開く。

 

 ハントマスター様が空間の穴から出てきた。

「みんなもう終わった?」

「ハントマスター様ですか。今のはコントじゃないんですけど」

「面白かった」

「ハントマスター様が面白いと思っていてもどうでもいい」

「相変わらずほとんどすべてに無関心なところがいいね。どうでもいいさんのそういうところ好きだよ」

 ハントマスター様は一番高い椅子に座る。

 

 ハントマスター様は俺を見た。

「ところでカシヨの膝の上に座ってる子は誰なのさ。新しい幹部?」

 ハントマスター様の背後から燃え盛る大きな鳥や、紺色のローブや、鉄の歯を持つ巨人の首や、口から青い炎を出し続けている毛むくじゃらのドラゴンが現れる。覚悟が決まってても怖いもんは怖い。

「いいえ違います。幹部とハントマスター様以外この部屋に入れてはいけないことはよく存じています。ただ、カードを生み出せる力があるので……」

 白色の魚人が現れた。

 

 ペルーダとにわとりとギロチンフェイスデビルがテーブルの上に現れた。

「おじさんを傷つけたらただじゃすまないんだから」

「おいやめろ」

 四番手の口をふさぐ。

 

 魚人が首を振ると、ハントマスター様の背後のモンスターはすべて消えた。そして四番手が召喚したであろうモンスターも消える。

「言葉が足りなさすぎるよ。それを先に言ってくれればいいのにねえ。まあ見逃してあげる。噓をついてたら危なかったよ」

 ハントマスター様の背後の化け物が消える。

「寛大な措置ありがとうございます」

 ハントマスター様は自分を害するものに対して灰すら残さないことを平気でするからな。まあ害を与えなければ安全ってことだ。

 

 ハントマスター様は手を叩いた。

「気を取り直して今月の報告に入ろうか」

 ハントマスター様は今月の報告をまとめた。

 

 ハントマスター様は五枚の金貨を机の上に投げる。金貨は虹色のメタリックカードパックに変わった。

「いいカードが出たがどうでもいい。あげる」

 どうでもいいさんの引いたカードをもらう。

「まともなカードだな。あと貰ったものを他人に渡すなんてどうかと思うぞ」

 このカードは俺のデッキと相性がいいな。

 

 ハントマスター様はため息をついた。

「私は気にしてない。じゃあ解散。あっそうだ。倒して一番になりたい奴はカードファイトで私を倒しにおいでよ」

 ハントマスター様にトゥルーファイトを挑んで負けそうになったところを、うやむやにしてくれた時からこの命ハントマスター様のもの。ハントマスター様を倒して成り上がろうというゲスじゃない。

 

 部屋から去って四番手を連れ出そうとした。

「この子にこれ渡しといて」

 ハントマスター様にブランクカードをもらった。

「君は使っちゃダメだよ。使ったら怒るからね」

 何かお考えなのだろうな。

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