プレイしていたVRカードゲームの世界にTS転生したらしい ~カードゲーマーは異世界でもカードから離れられない~   作:黒点大くん

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九十七枚目 人間は中身

 部屋から出て四番手にカードを渡した。

「なにこれ。しろ~い」

「ハントマスター様がお前に下さった力だ。大事にしろ」

「わかったー」

 四番手はしぶしぶ答える。

 

 四番手は歩きながらデッキをいじっている。

「落とすからやめておけ」

「だいじょうぶ。おとさないから」

 嫌な予感しかしねえんだけどな。

 

 四番手が転んだ。

「うへ~ん。いたいよー。わぎゃああん」

 四番手はギャン泣きする。これ見た目よりも子供っぽくなってるだろ。めんどくせえなあ。

「カシヨか。こんにちは。育児中でちゅか」

 目つきの悪い男が壁に寄りかかりながら睨んできた。ヤケに道に脚が出てるから、おそらく足を引っかけられて転ばされたんだろうな。

 

 目つきの悪い男はまともな立ち方をした。

「貴族の嬢ちゃんに打ちのめされて、複数人で徒党を組むカスで、侵入した組織のナンバーワンにもなれないヘタレアンドカスにまともに子供を育てられるかな。少なくとも俺の方がマシだ」

「欲しいならくれやる」

 またコイツの力目当ての輩か。体目当てなら脚引っかけて転ばせて、顔を傷つけさせるような真似しないからな。

 

 しかしコイツからはただの小物じゃない何かを感じる。

「ありがてえな。こんなすげえ力持ってるやつ奴をくれてやるなんて。まあ基本的に人間の価値は中身で決まるものだけどさ。まあそいつはその中でも特にすごい。だって若くてかわいいからな。俺が汚しても価値が落ちない程度には美しい」

「あげるなんて一言も言ってないが。そんなに力説されてもやれねえもんはやれねえ。あと基本的に中身で価値が決まるなら外面汚れてても価値は落ちねえだろ」

 いいこと言ってるけど、なんとなくうさん臭さしか感じねえ。見ず知らずのガキを転ばせるからかな。

 

 四番手は泣き止んでふくれっ面をした。のん気な奴だ。

「おじさんひどい」

「お兄さんと呼べ」

「そんなことどうでもいいじゃないですか。その子をくれよ」

 目つきの悪い男は人を何人も海に沈めてそうな目から鋭い視線を俺に向ける。

 

 男は咳払いをした。

「職業病が出た。まあシンプルにトバクファイトで勝ち負けを付けようね」

「やだね。コイツは渡さねえ。俺にとって大事だからな」

「これってじっしつプロポーズだね」

 やたら鼻息が荒い。

 

 バシバシ叩いてくる四番手の手を払う。

「痛いから叩くな。やめろ。あと俺に幼女趣味はねえ。十五年はええよ」

「十五年ほど預かりますよ」

「やだね。デメリットの方がデカイ」 

 十五年後に十五年たつ前に家出されたとか言えばずっと使い続けることが出来るからな。

 

 目つきの悪い男は不機嫌そうにした。

「なるほど。組織に入ってるカードハンターは腰抜けと聞きました。最初は偏見だと思ったよ。でもあながち間違いじゃなさそうだね。だって実例が目の前にいるから」

「言いやがったなお前。潰すぞ。俺が勝ったら詫びに好きなカード一枚奪ってやる」

「わたしのためにあらそわないで~」

 記憶喪失のくせに恋愛劇のヒロイン気取りかよ。

 

 目つきの悪い男はバックステップをして距離を取った。

「「トバクファイト」」

「「エントリー」」

 潰してやる。相手のデッキが赤く光った。

 

 男はチャージだけして一ターン目を終える。俺の一ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト1で大アルカナ発動。ついでに小アルカナの効果発動。そしてコストを1軽減してコスト0でアルカナンバーロスト ザ・フールを召喚。効果で山札の上をめくる。コスト3 ラッキードローを引いた」

「俺はコスト5の賢くて善なる存在が出た」

「負けたか。まあいい。手札が増えるだけだからな」

 俺より運のいい奴に負けることもあるからな。それに小アルカナのおかげで手札が増えるのはこっちも同じだ。

 ドローするか……って引き当てちまったぜ。十三番目のカード。とことんついてねえ。

 

 うむむ。なんかついてねえな。

「コスト13のアルカナンバーサーティーン ノーネームの効果発動。こいつは俺の場にモンスターがいないとき、手札に加えるか表向きにしたらカードの下に置かなきゃいけねえ。まあ小アルカナでドローできるからいいんだが……」

 ターン1制限がないので今のドローでザ・テンパランスをドローできた。

 

 13+1で14だから、コイツが使えるんだよね。でもここで勝たなきゃ意味がない。

「チートか」

「チートなもんか。山札の上をめくって勝てば俺の生命力は0になり、負ければお前は好きな墓地のモンスターをタダでよみがえらせることが出来る」

「墓地に何もいないから負ければ大丈夫だよ」

 勝っても負けても何のメリットもないのがね……。

 

 山札の上をめくった。

「コスト3 ザ・エンプレス」

「コスト4 アンゼリミッター:ブレイン」

「助けられたぜ。手札のアルカナンバーフォーティーン ザ・テンパランスの効果発動。山札の上をめくる。俺はコスト20のザ・ジャッジメントが出た」

「コスト5の賢さの試練をあたえるものだ」

「俺はこれでターンエンド」

 一ターン目にして三枚。

 

 目つきの悪い男の二ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト2でバリアマジシャンを召喚。ターンエンド」

「俺が使ってるだけに厄介さは俺が一番知っている」

 まあ実のところダメージ与える手段ほぼないからさほど脅威でもないけど。

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